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 本コーナーでは、"髭の講師"の澤田が研修で実際に体験し、見聞した事例を、日誌風に纏め報告しています。
 これまでの研修日誌はコチラ。 

◆高木美帆選手の国民栄誉賞のインタビューから学ぶ

 8月、スピードスケート界で活躍され、オリンピックで金メダル2個を含む通算10個のメダルを獲得した高木美帆さんに「国民に広く夢と感動を与えました。」との趣旨で国民栄誉賞が贈られました。受賞の言葉としては「本当に名誉ある賞を頂けて光栄に思います。スピードスケートの代表として承けさせていただきました」そして、「私に関わってくださった全ての方に感謝したい。」と喜びと、謙虚、そして感謝の言葉を話されました。まさに、実績と人間味の豊かさを兼ね備えた選手です。

それは、何をするかは様々でもやり遂げた評価に応える心情は変わりありません。なぜなら想い・目標を本心から掲げて、本気に取り組み、根気よく努力を重ねて、「やった!」との達成感を得て、組織・企業に貢献する喜びづくりだからです。この喜びづくりを企業で活躍する中堅社員(第一線リーダー)研修を先日担当しました。日本製鉄(株)の協力企業各社から選ばれた受講者です。担当研修テーマは「期待に応えたリーダーの活躍の楽しみ方(1日)」・・7社の勤続10年前後の将に世界一の鉄製品を造り出すリーダークラスです。

 従って、絶対安全・最高品質・最高技術を駆使する面々であり、その仕事集団のリーダーです。ですから、上司の補佐役であり、部下への指導支援・関わる人の円滑なる協力関係を踏まえ、仕事の進め方を変える改革力を有しています。研修の総まとめは、今後に向けた方向性づくりへの提案です。その発表内容を一部紹介しますと、

◆研修での気づきを生かした活躍ぶりを変える11の宣言

 ①始業確認から始まって終業確認で終わり、安全第一で作業をしていきます
 
②上司・部下に関係なくコミュ二ケーションを丁寧に取っていきます
 ③後輩・新人への教育訓練を通じて自己成長をしていきます
 
④若手社員、社員に寄り添って相手のことを考えた心配りをしていきます
 ⑤指導側としての指導法を多く身につけます
 
⑥専門・基本能力を向上し、常に新しい知識を取り入れ変化を創り出します
 ⑦一方的でなく相手を観て(目に入るだけでなく、内面にも観察)して、問いかけのミコミュニケーションで
   相手の意図を引き出します
 
⑧自分の意見を押し通すのでなく、異見(自分と違った考え方)を多面的思考を意識し受け入れます
 ⑨説明力アップは、大(項目)中(項目)小(項目)に関連付け、順序よく話を進めます
 ⑩ほめ方・叱り方は感情でなく、事実を確かめて愛情もって接していきます
 
⑪指導は、単なるハウツー(動作指導)でなくHOW,WHI(なぜ、何のために)と丁寧に施す。なぜなら、
  部下もやがて指導者になるからです

 いかがでしょうか。今研修での日頃の活躍ぶりの確認、診断のし合いから、各自が気づいた事項をグループで直言し、その内容を基に創りあげたG制作の宣言です。以後この宣言から各自実践計画シートを作成します。記入事項は、3項目の実践目標(何を、どのようにし、どうなる)を設定し、半年間、月毎に実践状況をチエックします。勿論、上司に受講報告し、実践計画シートを示し、支援メモを記入いただきます。研修参加は、職場ぐるみの活用だからです。

◆仕事集団を生かす第一線リーダーの楽しみ方

さて、受講者からの問い掛けに「どう集団をまとめていったら良いのか」「自分で動いてしまうことが多い、メンバー一人一人をどう生かしていったら良いのか、どう動かして自分の想いの方向に持って行けば良いのかわからない・・。」こうした問いも多分にあります。この問いかけには筆者の一番強調することは「自分だけで踏ん張るな、他の人の力を生かし得るか、他の人の力を借りるかをたのしみなさい」と支援します。それは、経営者の学び合いの説きに「打つ手は無限」との言葉があるからです。紹介してみましょう。

          <打つ手は無限>

 すばらしい名画よりも とてもすてきな宝石よりも もっともっと大切なものを 私は持っている どんな時でも どんな苦しい場合でも愚痴は言わない 参ったと泣き言は言わない 何か方法はないだろうか 何か方法はあるはずだ 周囲を見回してみよう  いろんな角度から眺めてみよう 人の知恵も借りてみよう 必ず何とかなるものである なぜなら打つ手は常に無限にあるからだ

 これは、当初、挨拶すら苦手だった人が、話し方を学ぶ機会に挑み、以前は逃げ回っていた挨拶、スピーチにも、ご自分の体験を掘り下げて話し、多くの人の共感と感動を生む話し手となりました。この人とは、倫理法人会(国内外8万社の会員)産みの人、故滝口長太郎氏であり、逆境からの商売発想、私なら無から生み出すとの理念の基に事業展開・発展を成した実力経営者でした。そして、提唱された言葉が打つ手は無限です。実は、話し方の指導、支援は筆者がお役立てをいたしました。このご縁もあり、私にとってもこの言葉に何度も迷い時に救われました。いかがでしょうか。「人の知恵も借りてみよう」是非、生かせる言葉です。

 ただし、協力頂ける条件は「この人のためだったら是非お役に立ちたい」言われる人間力が肝心です。そのためには、相手のために「心情的貸し」の施しを成していることです。心情的貸しとは、相手からの協力に多少なりの無理があっても可能な限りの対応で、「ありがとうございました。この借りは、いつかお返しします」の交流があることです。「力を貸してくれない」この嘆き、それは自己都合のみでの対人関係によります。心情的貸し、借りは、組織活動には必然的にあります。

◆メンバーの活躍の楽しみを助長する7つの実践

 それでは、このような集団づくりに向け、リーダーとしての具体的にメンバーに施す働き掛けは何をどうする。それは、7つの「り」として提案しましょう。

①「ハリ」を持った主人公意識での仕事への楽しみづくり

 何のためにこの仕事をするのかわからずして意欲は湧かない。チーム目標と自身の役割、自らの想いを繋げて達成を楽しむ取り組みづくりを説きます

②「ノリ」のある一言ことばを先手でかけ、のりの良いムードづくり

リーダーは、自ら大きな声での挨拶、返事の親しさで安心感を宿し、挨拶の交わし合いのある集団を創ります。そして、励まし、認め、ねぎらいの言葉を惜しまず先手で掛けます

③「トオリ」の良い「報連相」を自ら仕掛ける

 適切なコミュニケーション無くして風通しの良い一体感は難しい。朝礼、ミーテイング、自らの声掛け、気になったときのショート面談、適切なメールの活用。このやり取りを通して、知識、技能、知恵の指導、示唆を与えます

④「ソリ」(ウマ)の合った人間関係、協力、信頼関係を創る

 メンバー間での不協和音、上下間の信用・信頼関係が希薄ではチームワークは強化できません。少数精鋭現場では縦と横の相互支援が前提。それには、仕事の見える化、そして時折の懇親、会食・・のイベントの実施。これらは、若手社員の親和の向上に役立ちます。若者は参加しない・・本当にそうかな。幹事役を任せて実践してみよう

⑤「ドオリ」(道理)にあった仕事、マナー、倫理観の指導徹底します

「このくらいは」の甘えが、ミス、クレーム、不祥事を起こす。できることの最高実践を徹底する指導はどうしても欠かせません。具体的には、仕事の基本、ルールはきちんと指導、マナーの指導、約束の遵守、コンプライアンスの強い意識指導、理不尽な主張の是正などリーダーが自らの示範力で指導します

⑥「カエリ」のある信賞必罰的評価を生かす

 経過のチエックで、誉め、叱り、アドバイスを交えた評価、指導後の変化に誉めの一言、依頼事項にねぎらい感謝の一言をプレゼント。そして、目標達成に対する称賛、未達成に対する励ましをタイミング良くかけていきます

⑦「クバリ」のある先取りの対応

 気配り、目配りを敏感に施す感性を磨き、気づき、状況を読み、先を読む、メンバーの心中のシグナルを察します。この実践は、メンタル不全、退職の申し出のまさかの出来事を未然に防げます。勿論危険予知による事故の未然防止になります

 このようなメンバーへの働きかけは、メンバー個々の意欲が高まり、仕事集団の活力形成力を高めていきます。それは、次の良さを生み出すからです。

①メンバーの能力が上がる

②不平不満が少なく士気が高まる

③理不尽な態度や行動が少なくなる

④労をいとわず、ごく自然に不得手なことにも手を出すようになる

⑤できればやらずに置きたいと思うことを敢えて取り上げるムードが強くなる

⑥新しいことに挑戦していく

⑦仕事のレベルが向上する、

◆良いときばかりでない。やがて花咲く楽しみがある

 「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く」(相田みつを)という言葉があります。人生でも、仕事でもいつも良いときばかりではない。登りもあるし下りもある。昨今の自然災害に観る「まさか」に遭遇することもあります。そんなときに不遇な自分だと感じる事があるかもしれません。しかし、この時だからこそ自分を鍛える機会として生かします。なぜなら、不足、未熟な自分を素直に認められる条件が明らかになり、ならこうしてみようとの新たな取り組みが明確になるからです。「打つ手は無限」がここに生きます。それは、大きな花を咲かせるこの時の学びの肥料づくりが、根を強くし、茎の栄養分となる事と同様です。周知のとおり、根を張った草木は少々のことでは倒れない強さとしなやかさを兼ね備えて伸びていきます。厳しい体験は、より豊かな人間性を育むことにもなります。

 改めて国民栄誉賞受賞の高木美帆選手の言葉を味わってみますと、そのすばらしさが観えます。その一端は平昌2018年冬期五輪ではチームパシュート(団体追い抜き)で金メダルを獲得しました。この競技は3人で隊列を組み、400㍍を6周滑走し3人目の選手がゴールした瞬間のタイムで勝負が決まります。実にチームワークと綿密なペース配分が重要しされた過酷な競技です。この金は悲願の獲得でした。この見事に咲くまでの過程では、思う通りの結果を得られなかった現実も多々あったことでしょう。その都度の新たな鍛え方を創造し、地力の強さを凄さのレベルまで創りあげた花の咲き誇りです。それは、各選手であり、選手の総合力結集への挑み続けです。

 「やった!」「できた」と皆で喜び合い、共にやり甲斐を楽しみ合えることは人生100年時代の職業人生での花咲く足跡づくりです。特段その牽引役としてのリーダーだからこその「リーダーのおかげです」と感謝の言葉を承ける冥利は格別です。今研修終了時の筆者の結びの挨拶はなぜか胸が詰まり絶句しつつでした。対面研修ならでの共に創りあげた一隅の花、講師冥利でしょうか・・・。

         (2026年9月 研修・講演髭講師 澤田 良雄)

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