◆まず実践例を紹介します。どう思いますか
まず、筆者がま出講及び所属諸団体で関わる方々の一言実践例を紹介しますと、
◎来客されると所員が一斉に立ち上がり、「いらっしゃいませ」と笑顔でお辞儀を添えて迎え、お帰りになるときには再び立ち上がり扉が閉まるまでお見送りする。(W会計事務所)
◎帰宅したら、玄関に脱いだ靴を磨きながら、靴に「今日はありがとう」と声がけする。泥がついて汚れている時には「こんなに汚してごめんなさい」と言いながら、きれいに靴磨きをする。(建設工具メーカーS社経営者)
◎便器に名前をつけて、「〇〇さん、どうもありがとう」と声がけしながらトイレ掃除をする。(住宅メーカーA社経営者)
◎工場での使用機械に名前をつけて、毎朝声がけしながら掃除をする。(製紙メーカーG社社員)
◎朝、帰社時のトラックに「ご苦労様」と労いの言葉をかけ、丁寧に掃除をする。新車の購入時には、トラックを主役にした入車式でお祝いし、長年運行していただき、廃車が決まった時には退車式を行い、長年の務めをねぎらう。(運送会社M社経営者・社員)
◎出勤時に、自宅近隣のご両親にあいさつし、社屋にあいさつする。退社時には「ありがとうございました」と社屋に感謝の言葉をかける。(印刷業D社経営者)
◎毎朝、仏壇、神棚に「昨日はお守りいただき、ありがとうございます」と感謝の言葉を申し上げ、毎週末には墓参する。(O幼稚園経営者)
◎毎朝車に乗る時「今日も御世話になります」と声がけする保険N社経営者)
◎そして筆者は、研修会場に入るときには、「お招き頂き有り難うございます」終了し退出時には、「御世話になりました。おかげさまでお役立てができました。有り難うございました」と丁寧にお辞儀をします。
これは、ほんの一例ですが、感謝の言動を当たり前のように実践されています。まさに「凡事徹底」の実践です。そこには人間味溢れる素晴らしい感謝の交わし合いがあります。
この「一言掛ける・一言プレゼントする」この言動は、昨今だからこそ大事なコミュニュケションです。その代表的言葉は「ありがとう」です。1日何度この言葉を心に抱き、何回口に出しているだろうか。「ありがとうと言う人」は、人から施された事による幸せの時、「ありがとうと言われた人」も喜んでいただけたと感じる幸せの時、と考えると、幸福度はこの言葉を交わされた分だけ高まることになリます。
確認して診ましょう。次の言葉(心・言葉例))を如何に施しているでしょうか。
①お陰さまで(支援いただいた、ご心配いただいた、ご指導いただいた・・)
②助かりました(協力いただいた、困った事への助力、厳しい指導をいただき・・)
③お世話になりました(長い支援、多大な尽力、困難な事への解決示唆をいただき・・)
④気を使っていただき(気持ちを汲んでくれた、敢えてこちらの事に配慮いただき・・)
⑤御配慮いただきまして(事前の施し、根回し、ご無理な事への対応頂きまして・・)
⑥ご心配いただきまして(気に掛けていただいた、弱い点へのカバーいただき・・)
⑦ごちそうさま(心づくし、食の楽しみ、おもてなしいただき・・)
いかがであろうか。この言葉が飛び交うほど、職場、諸処の会、家庭、友人間で喜びが相互に享受され、良き関係が深まる事となります。このような良き環境だからこそ、つまらない、対人関係があれこれ、働きがいが無い、この会にいても何ら価値がない・・の退社、退会の心情は生まれることはありません。
とかく、言わなくてもわかっている「だろう」「もんだ」「らしい」「ようだ」との不精はないだろうか。「そんなことはあたりまえだ」と謝念を持てない自己中心、自分の欲望だけを求めている人はいないであろうか。そこに課題の元があります。
◆末広がりの8つの心と言葉を確認しましょう
周知のとおり人の関わりは、一言の掛け合いで出逢いがあり、そして、互いに認め合い、学び合いによる相互理解が縁づくりに発展し、そして相互支援により共に良き活躍、人生を楽しんでいきます。更に、良き友を紹介することによりその縁は広がって行きます。正に、先に向けて、末広がりに人と人との関わりによる楽しさ、喜びが享受されるのです。そこには、次の8つの心の持ちようによる、ひと言が交わされています。確認してみますと、
①おはようございますという明るい心
②はいという素直な心
③すみませんという反省の心
④私がしますという積極的な心
⑤ありがとうございますという感謝の心
⑥おかげさまでという謙虚な心
⑦お先に失礼いたしますという気配りの心
⑧どうぞという譲る心
いかがであろうか。いつでも、どこでも、だれにでも、互いに交わすことができればハッピーな人との関わりができます。それは、人生100年時代、心豊かに生きる極意です。
◆日本人の心として幼稚園児に教え込む5つの心と言葉
筆者が敬するO学園理事長の二つの幼稚園の園庭には、二宮金治郎の銅像を設置しています。ご存じの薪を背負って読書するお馴染みの姿です。大きさは、身体だけで1メートル、台座込みで3㍍あリます。身体は御影の一丸石を彫った物で、ふっくらした良い顔立ちです。この顔立ちは、京都に在住する尊徳翁の子孫のご推薦の顔立ち姿だとのことです。実は、O学園の建学の精神は、「若竹の伸びゆくごとく子供らよ、まっすぐに伸ばせ,身を魂を」と示され、しなやかで,伸びやかな竹は、日本の自然美のひとつ、そこに子供達の姿を重ねのびのび育って欲しいと想っての育成規範です。(2,025年50周年記念誌から)
その教えの一環として実践されているのが、「大切にする日本の心として次の五つの心を言動」があります。それは、
① 「ありがとうございます」という感謝の心
②「はい」という素直な心
③「すみません」という反省の心
④「おかげさまで」という謙虚な心 そして、
⑤「させていただきます」という奉仕の心
です。この5心と5つの言葉を育みとしています。お気づきのとおり先に記した8つの言葉との重複もあります。幼児の時からの習慣化は見事な教育法ではなかろうか。 そして、尊徳翁の道心(生きる道筋)としての実践の説いた4つの行動の有り様を園児に話されています。その四つとは、まずは、
第一の実践は「至誠」(しせい)=まごころ、嘘をつかず,誠実な心で人や仕事と向き合うこと
二つ目は「勤労」(きんろう)=物事をよく観察し、社会に役立つ成果をよく考えながら働くことが大切
三つ目は分度(ぶんど)=足るを知り、身の丈に合った生活をすること収入に合った分度(基準)を決めることが重要。
そして
四つ目は推壌(すいじょう)=勤労と分度によって生み出された余剰のお金を家族や子供のために貯めること。又、他人や社会のために譲るこの事は、人は物質的にも、精神的にも豊に暮らすことができるとの教えです。
察しのとおり、「園児としてはきちんと理解はできずとも、記憶にとどめていることが将来、出来事に出会ったときに,この教えを反芻し,こういうことだった」との理解し、お役に立てる想いの施しです。現実に卒園児が、その体験を話してくれることも多く、ことのほか嬉しい」語るO理事長なのです。改めて、この5つの言葉、4つの教えを各自の実践の確認にお役だていただければ幸いです。それは(日本人として、)自身であり、関わる人への指導如何はとの問い掛けです。
◆上司が施す前向きな一言が活躍の喜びの実感を醸成します
トップが社員に施す実例として印象に残る出講企業の一例として、新潟県下の設備機械を開発製造するS技研社があります。創業30年、「新潟県魚沼から、世界へオンリーワンの機械を発信する」のビジョンを掲げて発展してきました。総勢85人(現在100人)、15年で500種類の機械開発実績を誇る企業です。土曜日研修に対象者全員が参加しました。オーナー社長は創業時から何が支えかと言えば、それは常に自分に、社員に前向きな言葉をかけてきたことだと断言します。その言葉を紹介しますと、
①勇気ある言葉として=私はやれる、君ならできる
②お互いを傷つけない言葉として=それなりに努力した事だ、失敗も時にはあるものです
③お互いに喜びを与える言葉として=ここが良いね。お陰様、よく頑張ったね、やったね
④お互いに喜びを分かち合う言葉として=良くやったね、ありがとう、共に良くやったね
⑤聞いていても何となく嬉しい言葉として=素晴らしい、期待どおり、喜んで貰えた、あなたのおかげです
⑥お互いに勇気づける言葉として=君だからできる、応援するよ、きっとうまくいくよ
ということです。
「なるほど」「わかっている。」と思いつつも、上位者になると言うは易き、行うは難しはなかろうか。実は、これらの言葉がけには、社員・部下思いの一途さが問われます。だからこそ、S社長は「社員が創る・造る喜び、成長する実感が感動になります。これが当社の目的の一番です。そこから顧客満足、会社の発展があります。また、かつてはパート、契約制度があったが現在は全て正社員。皆身分は同じ。それだけ心を一つにした働く集団なのです。ですから、「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらせ、やっている姿を感謝で見守り、信頼せねば人は動かじ(新潟の偉人山本五十六語録の活用)との教えを生かして、社員の人偏(人の持ち味)のついた働きを大事にしてきているのです。」と話された。勿論、自身がへこみそうなときこそ、先の6つの言葉は一拍おいて言い聞かせているとのことでした。正に上司の姿勢が部下力を決めていくのです。
この会社なら、この上役ならの信頼関係はここに元があります。社員を鼓舞し、喜びをプレゼントする言葉を加えて紹介すると、それは
①励ましのひと言
=「頼むよ、君なら必ずできる、期待しているよ、ここまで進んだのさすがだ、もうすぐだ良かったね、もう一息君らしさを加味しよう
②ねぎらいのひと言
= 大変だったね、遅くまで(朝から早くから)協力ありがとう。」「暑い中(寒い中、
遠いところ)お疲れさま、ご苦労様、忙しいところ・・
③感謝のひと言
=
「ありがとう、お陰様で助かったよ、良くやってくれた、頼んで良かった、私も助かっ たよ、借りができたね、頭が下がるよ。
そして、自分の至らなさは素直に認めた
④お詫び、反省のひと言
=
「すまん、配慮不足だった、迷惑かけてごめん、気がつかず迷惑かけた、苦言言ってくれてありがとう、今後気をつけるよ。
です。そこには、上司としての温かい人間性と、自他の可能性を信ずるプラス思考があります。だからこそ、社員・部下が共に、明るく、元気で、楽しく物事に取り組んでいくことができます。
相田みつおの言葉に「そこにその人がいると、ぱっと一つの花が咲いた様なそんな人になりたい」があります。各位が類した人のことでしょう。
◆今こそ、ひと言のコミュニケーションが肝心なのです
確認して観ましょう。人と人との意思疎通は直に向き合って成すコミュのケーションだからこそ、機器活用による文字、言葉だけの理解でだけではなく、察する、気づき合う、汲み取り合うこの深みある人間味豊かな関わりができます。この事は、昨今課題とされる「対人関係・・」「仕事が合わない・・」の退社理由の真意は案外、この一言のプレゼント不足にもあります。なぜなら、「この会社だから安心。だって、気に掛けてくれている、褒められた、認められた事が嬉しいから」の実感があるなら、このままこの会社で良いのかなどのふらつき感情は起こらないからです。
なぜなら、人は、認められタイ、役割を果たしタイ、成長しタイ、好かれタイの「4タイの欲求」を持っています。従って、今回記してきた、各自、各社の実践例、S社社長、O幼稚園の教え、場に応じた各種の言葉を掛ける事は、この欲求が満たされ、喜びに転化できるからです。例えば、「おいしかったです」のひと言でも認められた、お役に立てた、好かれている等と感じ、嬉しくなるものです。
ひと言のプレゼントはいくらしても金はかからない。ならば、関わる人に不精せず心を込めてどしどし施していきましょう。
O幼稚園の設置した二宮金治郎像の尊徳翁は「積小為大」との言葉で継続を説いています。積小至大とは、小さいことをコツコツ積み重ねて行けば、やがて大きな成果がもたらせると言う教えです。仁徳のある人とは、相手の立場になって考える温かい心を持った人・決断するときは決断するそれは温かみを持った決断で実践する人との意味合いがあります。
「おかげさまで・・」「有り難うございます」この交わし合いの微笑み合いは、パワハラ、定着対策・・などの昨今の課題は多くはありません。お目通しいだきましたことに「ありがとうございました」と感謝の一言を記し結びます。
(2025年5月 研修・講演髭講師 澤田 良雄筆)
**髭講師のお役だて*実施に向けて気軽に当メール返信でご連絡お待ちします
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