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 本コーナーでは、"髭の講師"の澤田が研修で実際に体験し、見聞した事例を、日誌風に纏め報告しています。
 これまでの研修日誌はコチラ。 
 「あなたは話を聴かずにまくし立てる人ですか。」 「あなたは人の話を遮って話す人ですか」 「あなたはじっくりと耳を傾ける人ですか。」「神様は、人間に二つの耳と一つの口を与えた、話す量の2倍を聴くことに当てるように・・ いかがでしょうか

 新たな年を迎えました。それには、新たな想いを創る事として、抱負、目標、時には計画を立てたり、書き初めとして一語書くこともあります。筆者は、今年も1/7の早朝6:00からの地元経営者との勉強会(参加者25人)が今年の抱負を発表し合いました。主な言葉は、「健康第一」「明朗」「新たな事業に挑戦」「具=具体的成果を上げていく」「共感」「後継者として根を張る」「創業2年目、己を律する」「五体充実}「新しいことにワクワクする」「さらなる新たなことへ始動」「日々感謝」、「積笑至大=尊徳翁の積小至大(小さいことを重ねてやがて大きな成果を生む)の言葉から、笑顔の乏しい自己改善への取り組み」「妻の話を最後まで聴く、この抱負3年目です」「朝は来る(朝の来ない夜(苦・辛さ・迷い)はない)」・・が紹介されました。業種、企業規模,役職、トップキャリアの違いがありますが各自が色紙に書いた言葉を説明し、宣言する姿は実に楽しそうです。

 また、筆者主宰区社会教育話し方学級(高齢者多し)では,「丁寧に話す」「後ろ姿を意識する」「誠の心で話す」「あ・い・う・え・おの聴き方=ありがとう・いいね・うーんそうね・えがお・おー良かった の実践」、「俳句に挑戦」」等の言葉を掲げ初スピーチを楽しみました。何れにしても、巳年の意味合いは様々ですが、脱皮するヘビは「復活と再生」を連想し、不老長寿が強い生命力ある縁起が良い動物との教えにも通じます。つまり、昨年よりも一回り成長したいと覚悟することにあります。それは、事業であり、ビジネス能力であり、社会生活での楽しみなど様々です。その実現に向けての新たな自分磨きが抱負として呈されます。

 さて、そこには、脱皮への新たな学び策として何をどうすることがあるのだろうか。そこで着目したのが抱負例にある「妻の話を最後まで聴く」「あ・い・う・え・おの聴き方です。実は、研修現場でもこの「聴く」の不十分さへの課題も多いのです。そこで、今回の髭日誌はこの「聴く」ことに着目します。なぜなら、聴くとは、学びを楽しむことであり、相手の自尊心を高揚させることであり、何よりも自身の人間力を大きくし、信頼を得て協力関係を築くことだからです。

 ところで、文頭に掲げた3つのタイプあなたは如何でしょうか。

  聴いて頂きたい切望

  研修現場で上司へ要望として出される訴求内容に、「上司は悪い人ではないのですが、寂しいのは私の話を聴いてくれませんし、相談事でも、よく聴かずに私の話を遮って持論を等々と話します。」とか「指示された仕事を頑張り早く仕上げて報告に行ったら、「あっそう。後でみるからできた資料そこに置いといて・・」「そりゃないでしょう。ありがとう、早かったね、こんな言葉が返ってくると思ったのに、やる気なくすね。もっと、部下の頑張りにも気を配って、仕上げまでの努力の現実をしっかりと知って欲しいです」・・との話もあります。

  聴くことは相手の自尊心を満たすことです。従って、相手に最高の評価を与えることは相手の話に耳を傾けることです。それは、聴くことは、あなたの話を聴く価値があるとの意思表示なのです。従って 「私の話を聴いてくれない」「報告や相談事を言っても、あ、そう・・」では、やりがいがそぐわれ、活躍の士気は希薄となります。

 敢えて、昨今、課題とされる定着対策に絡ませても、退職理由の「自己都合」の前提に、働きがいが得られない、上司との対人関係の不服、先行きに望みを持てない・・の前提条件が潜んでいることも現実です。この真因に気づき、社員の士気を高め、チーム目標の達成を実現したいならば、相手の話にじっくりと耳を傾け、何を求めているのか、何を訴求したいのかをよく知り、認知欲求及び自己実現欲求の満足、その実現をサポートすることが肝心です。

  聴き上手な人は周囲からこう魅えてます

  それは、リーダークラスの研修現場で「部下からの働きかけにどんな事実がありますか」と投げかけると、「報連相をきちんとしてくれる」「気軽に話ができる」「意見を持ってきます」「ミーテイングが活発です」・・・の紹介があります。そのリーダーの話しぶりは実に楽しそうであり親疎感が漂います。まさに寄ってくるコミュニケーションの達人です。その真因は、聴き上手な人だからです。その魅力は次の4点です。

 1)自尊心が満たされる人は良き聴き手です

*自身の自尊心が満たされると寛容の精神が宿ります。ですから、相手の考え方にじっくり耳を傾ける心のゆとりがある
*自分が満たされているので、相手の要望に配慮することができる
*精神的に安定しているので、相手にミスを指摘されても素直に認めることができる
*批判を受け流すだけの自信があるのでおおらかな態度で相手に接することができる

 2)学び上手な自己改善を楽しめる人

 相手の話に耳を傾ければ学べることも多い。とりわけ、自身との異なった立場、年 齢層の人からの、異見(自分と異なる考え)は視点を広げる機会です。ですから自 己中心的な自分を改善できる

 3)話をよく聴く人は人望が高まります

  相手の話を一言も聴き漏らすまいという態度で一生懸命に耳を傾ければ利口な人と 評価されます。それは相手の話を理解できるとの認めであり、例え相手が勝手、威 張りの話しぶりがあってもそれを受け止める心の広い人との見方をされる

 4)「信じます」この姿勢が相手を心開かせます

 最近、刑務所の篤志面接委員として受刑者との面接の機会が多い。受刑者は懲役5年から20年過ぎの人です。緊張感と、話を引き出す(訊く)こと、そして答えの内容を聴くことに集中します。可能な限りの本心でやりとりを念じますので。冒頭 「あなたの言うことを信じて聴きます」と断言します。従って、目線を掛け、語調、表情に渾身の注力を傾け、その心中を汲み取る努力を傾けます。次第に目線が合い、うなづきの反応が顕著になり、こちらからの問いかけにも真摯に答えが返る

③聴き上手な人の施しの実践

 次いで、相手が話す楽しみを継続して頂き、聴き続ける実践策を4項記してみます。

1)相手の顔を微笑みで観る・診る聴き方です

 微笑みとは相手を胸に抱え込む包容力であり、観るとは、意識して関わることです。そこには、目線、表情、しぐさなど気に掛け、単なる言葉の表面的理解でなく、理解、納得を正しく成し、それ以上に、察するなどの心中を汲み取ります。
 そのためには、時点での理解でなく、以前からの事実を踏まえて線対応で聴くことです。「今、言っていることは、3ヶ月前に話していたことを引きずっているな、ならば、本音、本心を汲み取って欲しい意図もあり」と診断(診る)し、真意を汲み取ります。

2)話に興味を持っていることを反応で示す

  真剣に話している人にとって、手応えのない聞き方をされるぐらい気分の悪いことはありません。ましてや無表情だったり、攻撃的目線で聞かれたり、目線をそらしたり、何かをしながら聞く等の表情や態度で対応されたときには、自分が軽く扱われた感じがして不愉快きわまりません。素直な心で聴くことがどれだけ親しまれ、話す楽しみ、聞いて頂けている喜びを増幅させるのです。例えば、
 *賛同の時のうなずきや、面白い話は微笑む
 
*相手の方に身を乗り出し聴いていることを伝える仕草となります
 *「なるほど」、「そうですか」、「そこで考えついたのですね」・・の適宜相づちを送ります

3)訊くことです

  訊くとは質問することです。尋ねられることは、自分の考えが伝わり、さらに話を引き出されることは嬉しいことです。もっと話してください」「ここのところをもっと詳しく話して頂けませんか」「あなたの考えをもっとよく知りたいのです」このような訊く言葉は、相手にとっては嬉しいことです。

4)聴いた学びを、生かし、感謝です

  聴くことは責任があります。わかりましたとは変わることです。従って、聴いた話を実践に移し、以前の言動の改善に役立てます。その良き状態ができたときには「お話を聞き実践しましたら、こういう良き状態になりました。ありがとうございました」と一言の礼が話し手の喜びを創ります。
  又、部下からの提案に対しては「先日話してくれた案件を是非、取り入れたいのでじっくり話し合いましょう」と声がけします。

④ここで日頃の聴き方を診断してみましょう
  確認の10項目です。各項に5点法で診断してみると良いでしょう。

 1.親しみのある笑顔で聴いている
  2.わき見やナガラ動作をせずに、関心のある態度、姿勢で相手の目を見ながら聴く
  3.タイミングよくうなずいたり、相づちを打ったりして受容的態度を示す
  4.相手の立場に立ち、共に喜んだり、嘆いたり、怒ったり、いたわったり、ほめたりの
   共感を持って聴いている
  5.思い込みや、先入観、印象などの自分の感情に左右されず、純粋な気持で聴いている
  6.早合点したり、先読みしたり、あげ足をとったりせず謙虚な姿勢で聴き続けている
  7. 一部の言葉や印象にとらわれず、相手の言おうとすることの全体を理解するように心がけて、
   最後まで聴いている

  8 相手が言葉に詰まったりしたときには、さりげなく問いかけるなど話しやすいよう援助する
  9.不明な点は質問したり、あいまいな点は確認したり、内容を十分に理解するように努力している
 10.自分なりに理解したことを、もう一度要点を確認し、一人ぎめをしないようにしている

いかがでしょうか。

 今年末、「今年も良きでした」との評価は、抱負、目標をいかに現実化したかに他なりません。それは、巳の干支の「努力を重ね、物事を安定させていく」との意味合いにも通じます。そのためには、自身の新たな学びによる新たな考えの構築が不可欠です。その学びの方策の一例が聴くことによる学びです。筆者の今年抱負は「教えをいただく」としました。それは、先手で訊く学びであり、傾聴による学びです。

 そして、新たな実践事項の活躍には、協力を得る対人関係が肝心です。その条件は、

「この人だから」の信頼感です。その人とは、良き聴き手であり、人間味の豊かさです。それは、話の聴ける人であり、話したい人なのです。

*部下に訊き、学びと真意を汲み取る聴く機会を敢えて創りましょう。

*更に、 奥様・お子様のはなしを丁寧にお聴きすることを念じます。 なぜなら、表での見事な活躍は内なる方々の「おかげさま」があるからです。

  (2025年1月 研修・講演髭講師 澤田 良雄記)

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