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 本コーナーでは、"髭の講師"の澤田が研修で実際に体験し、見聞した事例を、日誌風に纏め報告しています。
 これまでの研修日誌はコチラ。 

◆パリオリンピックでのメダリストに拍手
 スポーツの祭典パリ五輪の熱戦に、熱い応援、固唾をのみ、そして大きな拍手で戦績を祝う毎日でした。今回のメダル獲得数は、金20個、銀12個、銅13個とこれまでの海外大会では最高の獲得でした。まさに見事な活躍成果で、その活躍ぶりはメダリストのインタビューに応える言葉からも伺い知れました。目についたその言葉例を一部紹介してみますと、

*「妹の分まで、兄が頑張らねばならないと・・」=柔道個人金メダリスト・混合団体銀メダリスト阿部一二美選手

*「現実から誰ひとり逃げずに立ち向かったことが結果に結びついたと思う」=フエシング男子フルーレ団体金メダリスト松山選手

*「本当にメダルを目指していたのでほっとした。やっぱり努力は裏切らないと思った」=競泳初出場銀メダリスト松下選手

*「金メダルしか見て来なかったので二回戦で思わぬ敗戦、しかし、私を信じて励ましてくれた皆さんのおかげです」=3位決定戦に勝利銅メダル獲得 レスリング尾崎選手

*「金メダルを獲りたかった悔しさはありますが、最後に決められなかった自分の弱さのある課題も見いだしましたので、練習して行かねばなりません。地元に銀メダルを持って帰る嬉しさがあります」=スケートボード女子銀メダリスト赤間選手

*「今できる最大限の恩返しが出来たかな」突然の故障を抱えながら銅メダルを獲得、コーチに「軌跡だ。世界一だよ」言わしめた=卓球女子団体銀メダル・シングル銅メダル獲得の早田選手。・・・

などなどがあります。

◆苦労は目標に近づく楽しさ

それは、たゆまぬ努力の賜、それも他選手より以上の努力を重ねた結実です。例えば、卓球個人銅メダルの早田ひな選手の指導者は、「早田選手は、ずば抜けて上手の印象は無かった。しかし、卓球を学ぶ姿勢が際立った。納得するまでサーブを打ち続け、又、強豪選手の映像を見て、体の動きを学んでいた。このようなコツコツと積み重ねることを惜しまない努力を継続する才能があった」と紹介された。ちなみに、激戦だったシングル3位決定戦相手選手(韓国)の言葉には「私に勝つと言うことは私よりも努力をされたからです。」とすがすがしい言葉を発信していたことも印象的でした。

 ふと、1964年東京五輪重量挙げ金メダリストの三宅義信氏の言葉を想い出す。その言葉は、「オリンピックに勝つには、ライバル選手が1日何本上げるかを調査して、それ以上の数量を自分は上げてきた。それは楽しいことです。なぜなら「苦労は目標に向けて確実に近づくことになるからです」との言葉であり、直接拝聴し「さすがの結果はここにあり」なのかと納得した。今回のメダリストでも、「楽しかった」と語るのはその心情に通じるのであろう。

◆一瞬の結実に世界一がある

 そこで、このメダル獲得までの過程は如何であったか。メダリストの言葉から学ぶことは、一応に、自ら掲げた想い、また目標に向けて、錬磨を重ねて現時点の極限レベルまで高めての戦いの結果、そこには、心・技・体それぞれが、最高であり、勝負は、走る、打つ、跳ぶ、投げる、スタート、止める等々の一瞬の技の勝負、この「一瞬」の結実が・・・その厳しさは改めて心に響く。

 さらに、団体競技ともなれば、全員が最高で無ければ足を引っ張る厳しさがある。例え、カバーし合う事にチームの良さがあると言ってもそれは相手が弱いときの論理であり、高いレベルでの戦いでは一瞬のカバーは出来ず、代表戦であれば一切の手助けが出来ないことも現実です。

 かって、ヘルシンキ五輪男子バレーを率いた松平康隆監督の方針は、「一人一人が世界一になること」と掲げて、「世界一のセッター猫田、世界一の大砲大古・・」を育て上げ、見事金メダルを獲得した事実もありました。

 今回での一例では、男子体操総合での「絶対諦めない・つなぐ・・」を合い言葉に、励まし合い、各自が最高の技を出し切っての金メダルの獲得でした。「この勝利は奇跡ではない。必然です」この言葉には、各自が磨き蓄えてきた世界一の技術に裏打ちされた事実であろう。

◆対応スピーチに謝念がいきます

 
さて、仕事柄、インタビューへの応答スピーチにも着目してみると、インタビューに答える選手の言葉の心中には、謝念が伺えます。それは、「コーチ、練習に支援いただいた方々へ」そして、「小さいときから見守って頂いた家族」、さらに「日本の皆さんが、最後まで支えて頂いたおかげです。」と涙と笑顔の言葉となって話されます。このシーンには感動し、思わず「よくやった、みなのおかげ・・・。その通りですよ」と強さと、謙虚さの人間力に自然に拍手が沸くのです。

 改めて「ありがとうございました」「おかげさまでメダルが取れました」と感謝されるその主な対象の方々を確認して診ると、次の4点が浮き彫りになります。

 ①専門分野で的確な指導を施してくれたコーチであり、健康・食事管理、体力調整トレーナーの方々
 ②小さいときから、見いだし、厳しく、かつ温かく寄り添い頂いた家族、学校・職場・地域の方々
 
③会場での応援者、各地で応援して頂いている方々
 
④主催機関、会場整備、運営関係者の方々
 へ向けてです。

 まさに、選手の成績の陰にはこの人ありです。それは、技術力を高め、磨き、そして、メンタルの強さを鍛え、極力怪我せず、最適な肉体の調整を徹底して施した方々の尽力への感謝です。だからこそ、成績を勝ち得た第一声は「やりました。おかげさまです。」言葉がほとばしり、指導者とがっしりとハグとなるのです。そして、満面の笑み、涙の交わしです。併せて、会場では現地応援に駆けつけた人たちと小躍りしての歓喜の交換、時には、名前のコールで互いのこれまでの努力を讃え合います。そこには「よくやってくれた」「有り難うございました」と心身での謝意の交換です。

 勿論、全力出し切って、惜しくもメダルを獲得出来得なかった選手始め関係各位からの「ありがとうございました」「よくやりました」との謝意は同様です。

◆類した場面は身近にもあります

 実は、このような事態は、五輪に限ったことではありません。大相撲では優勝力士のインタビュー、各種スポーツ競技の各種大会時の勝者、年間成績の表彰・・多数あります。また、スポーツ以外での企業や、社会活動でもその実績や活躍ぶりに対して賞讃及び表彰例も実に多いのです。例えば、役職終了時へ賞讃、営業成績、優秀提案、イベントでの優勝、ヒット商品、諸集団活動発表会表彰、永年勤続者、さらには優秀技能者としての行政からの表彰、社会活動では長年の活動の役職表彰、スポーツ大会での優勝、さらには、春、秋の褒章、叙勲もあります。もっと身近に引き寄せれば、金婚式、88才の祝い、成人式、誕生会・・・もあります。

◆謝念がいきた返礼スピーチの極意

  そこで、これらの表彰、賞讃、感謝、インタビュー・・に対する返礼スピーチの極意を提起しますと、まず、共通する話の筋道づくりは、

●ご支援頂きました方々へのお礼の言葉
●その対象となった活動、試合中のへの取り組み紹介
●そこまでの、継続活動の紹介
●今後の想いの紹介
●今後も御指導、ご支援へのお願い
 
となります。

 そして、この流れで、特に紹介したい具体的事実をいつ、誰に、どのようにご指導、言葉、支援頂いたかをエピソード・話題として提供し、指導支援を際立てます。そして、「この事により、今回の成績、祝い、授賞に結びつきました。本当に有り難うございました」と結びます。

◆以前話題になったメダリストの言葉から学ぶ
 過去メダリストの話題になった言葉も数多くあります。例えば、

*「気持ちいい・・・。ちょうーきもちいい・・」水泳 北島康介さん
*「すごく楽しい42.195キロでした」マラソン 高橋尚子さん
*「今生きてきた中で一番幸せです。」水泳 岩崎恭子さん
*「初めて自分で自分を褒めたいと思います」マラソン 有森裕子さん
*「最高でも金、最低でも金」柔道 谷 亮子さん
*「胸を張って3位の表彰台に立ち、胸を張って日本に帰ろう」ソフトボール 監督宇津木妙子さん
*「途中でこけちゃいました」 マラソン 谷口浩美さん
*「勝って泣いたのは記憶にない・・・。」 レスリング 吉田沙保里さん
*「子供に恥じないよう、プレイすることを心がけていました。20年かけて銀メダルが取れた・
  あと20年かけて金メダルだね」
 アーチェリー 山本 博さん。    

そして、
 
「円谷さんと一緒に走りました」 (円谷さん=1964年東京大会マラソン銅メダル ・次回メキシコ大会に大きな期待、  自殺)  メキシコ大会マラソン銀メダリスト 君原健二さん

 などなどがあります。各位の思い出に残る言葉は誰のどんな言葉ですか。

 ふと、マラソンメダリストの有森裕子さんの「メダルの価値はその後の人生が輝いてこそのもの」との言葉を想い起こしました。

 「皆さんのおかげです」この喜びの栄誉は、将来の新たな栄誉を創造する糧としたスタートにもなるのです。早速の例では、男子ゴルフ銅メダリストの松山選手は、直後のフエデックス・セントジュード選手権では米ツアー10勝目を上げました。

 昨今の研修でも、大手製鉄所協力企業でのベテラン研修、政令都市C市役所中堅・一般技能員研修・・の研修現場で、講義話題とし、意見交換することもこの機会だからこその効果的お役立てです。

 改めて、メダリストの活躍ぶりに拍手すると共に、今回は獲得できずとも、選ばれての活躍舞台に出場した栄誉ある選手各位に拍手を送りし、次への躍動の覚悟に「陰ながらの応援をしています」とエールを送る今日です。

 (2024年8月 研修・講演髭講師 澤田 良雄記)

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