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 本コーナーでは、"髭の講師"の澤田が研修で実際に体験し、見聞した事例を、日誌風に纏め報告しています。
 これまでの研修日誌はコチラ。 

1.話す機会を逸することは自身を粗末にする事

 活躍の楽しさは、関わる人に自身の持ちうる宝物を提供し、「あのときにお話しいただきありがとうございました。おかげさまで現在はこのように良き状況となりました。」との感謝の言葉を返礼されたときである。誰しも、頼りにされ、施しの結果に対する「あなたのおかげです。いてくれて良かった」との承認欲求を喜びとして享受できることは活躍の喜びに他ならない。そして、 「またお願いします」の笑顔での声がけに、居甲斐(居場所)の実感があり嬉しいことでもある。その宝物とは、ご自身の持ちうるビジネスパワーで、知識であり、考えであり、技術であり、人間味である。そしてその持ちうる宝物をお役立てする施しの架け橋となるのは実は話すことである。従って,折角お役立ての機会があっても「訊かれたあのときに話せば良かった」と悔いを残すことがあれば、それは自身を粗末にしていることに他ならない。

 確認してみよう。話すとは、自分の都合ばかりを考えて、巧みに話すのではない。話すということは、話して終わりではなく、話したことには責任が伴う。それは、聴いた相手の行動を左右するからである。それは、聴くことは学びであり、この学びによって新たな考え方および知恵を生み出し、新たな行動を喚起する事に他ならない。その行動実践が、「あの時、聴いた話がきっかけです。おかげさまで良き状態となりました」」との言葉がけとなるのである。従って、話す目的は、相手OK、自分OKの「お役に立てる架け橋」なのである。その架け橋の連鎖は、話し手にとっては、訊かれて話せる→機会の場を得て話せる→聴いて頂くそして聴き手は→理解・納得を得て→試し・実践し→より良い状態・条件を得た喜び→そして、話し手に感謝の言葉を・・と連鎖していく。

 もちろん、すべてが連鎖するとは限らない。それは、聞き手が決めることであり、「話の善し悪しの決定は聞き手にあり」が原則だからである。例えば、難しい言葉、内容がわかりにくい、難しすぎる、期待と違った内容、一方的、上から目線での話し方・・・であれば、相手は聞くふりしても、理解、納得とはいかず、聴き続けることは難しい。ましてや、「せっかく話してやったのに」との話し手の傲慢さは、単に一方的に我が儘に話した結果に過ぎない。

 お役立ての話しは、必要な事を必要なときに・必要な人に・必要なだけ・必要な方法で話す事であり、必要な事とは相手もOK、自分もOKの考え方であり、必要な方法とは、筋道立てて、わかりやすく、感じよく話せることである。

2.対面演習で確認・診断し進歩のヒントをつかむ

 そのスキルアップは不可欠だからこそ、筆者の研修では必須項目として、ビジネス話法を組み入れる。それは、新人研修、中堅社員、リーダークラス、管理監督者層のいずれでもあり、ベテラン層、また創業者研修にもお役立ていただいている。

 とりわけ、コロナ禍での対面によるコミュニケーションが希薄だったこともあり、昨今では対面時の話し方スキルアップの依頼も多く、実際に話す演習を取り入れての指導、支援を軸としている。それは、周知の通り、話し方上達法に関する書籍は実に多い。(筆者著「実践感謝話法の極意」も出版)従って、こうすれば良い、こうしてはいけない・・知識は豊富であるが、実際に、直に対面した時はいかほどか、その確認・診断の機会は、演習による研修の施しである。それは、わかっている、できそうだ、すでに原稿書き、一人リハーサルもしたといっても、各自の緊張感も伝わるし、恥をかきたくないとの心情もくみ取れる。もちろん、話上手と自負心の受講者もいるが、仲間のスピーチを目の当たりに観て、それまでのゆとりに変調を期した状況も読める。

ここで、演習例を紹介すれば、それは、次の支援・指導である。

①準備なしの体験演習
 
 特に、準備なしのお題拝借スピーチは(封書に入れたカードに書かれたテーマで即実効性が高い。実効性とは、日常のビジネス場面での、話しは「いきなり訊かれる」それに「即、答える(意見・異見の主張・判断)」そして、「なぜならばと根拠、理由、説明」を加えた単純明快にやりとりする話力が求められるからである。それは、職場で、ミーテイングで、会議での質疑、また営業の折衝の場など様々であり、日常の活躍場では最も必要な話力である。この演習を単純明快一分間話法と称しているがここでの、対応話力が現在真に持ちうる能力なのである。

②準備しての体験学習
 従って、挨拶、朝礼のスピーチ、会議のプレゼンなどなどは、筆者にとっては準備しての特別な場対応としての話力であるとしている。このスキルアップには、筋道作り、必要資料、実物を用意し、2~3分のプレゼンテーションを実施する。多分に各自なりに、聞き手なしのリハーサルらしいこともあり得ての演習である。もちろん基本条件を講義で確認し、スピーチシナリオ提供しての演習である。時には、演習場面をビデオ撮影し、再生、画面を自己診断し、演習およびビデオ再生を生かして受講者仲間からのコメントで直言交換はそれなりの実効を生む。

 いずれにしても生きた話力は、実際に聞き手を目の前にして、話している自分に対しての聴き手の反応を目で確かめながら話す事に他ならない。それは、話を受け入れている状況は、聴き手の表情、振る舞い、目線のあわせに必ず現れるからであり、聴き手は話し手に対して、良き話し手になるよう支援してくれているのである。例えば、目線をそらせば「興味が薄れました」頷けば、「わかります。」うなずきが重なれば「わかりました。」そして、終わった途端の笑顔は、「やってみます」と楽しみ、解決を見いだしたシグナルともいえる。対面型話の楽しさはここにある。それは、率直なる心のコミュニケーションが、目に表情、ゼスチャー、実物による実感、耳に入る語調、スピード、声の抑揚・高低が直に伝わり、正しく伝わるからである。

3.生涯現役の活躍は、話力を磨く事も肝心
  周知の如く、職業人生のあり方は一様ではない。終身雇用制は再三見直され、与えられた役割を忠実にこなしていればということでもない。さらに、組織の一員としてチームに貢献するメンバーシップ型の勤務形態だけでなく、専門力を生かして複数の雇用関係を結んで勤務するジョブ型人財としての勤務形態もある。そして、この二つの勤務形態を組み合わせてハイブリッド(複合・副職制度)型の勤務形態も今後進んでくるであろう。いずれにしても現在の活躍舞台を最大に活用し、将来に向けての決め手人間としての「売れる能力」を育て上げねばならない。その売れる能力とは、実績を重ねであり、それは、「お役立てのキャリアアップに他ならない。その宝物は専門力を高める、人間力を磨き、決め手を生かした伝わる話力を持ちうる人の存在感である。それは、自ずと活躍現場において、「あの人の訊いてみよう、頼んでみよう」との信頼感のある人として生涯現役の活躍を楽しめる「寄ってきていただける人」といえる。 ならば、それぞれの活躍舞台における生涯に向けた話力の磨きはどのようなポイントがあるのであろうか。それは、

◎新人の時は、決め手づくりの基本を学び、職場に新風を吹き込む存在となる

 ①対人関係を創り深める話し方
 ②挨拶・自己紹介・一言の品格良き話し方
 ③育てられ上手、叱られ上手な訊き方、聴き方、話し方
 ④自分の活躍を印象づける報告・連絡・相談の話し方
 ⑤新人らしい提案をたのしむ話し方

◎リーダー時は、人を生かした実績づくりの責任感と指導力に磨きをかける
 
 ①方針説明・協力依頼の話し方
 ②モチベーションアップの話し方
 ③会議発言の話し方
 ④大勢対象のスピーチ力
 ⑤寄ってこさせる聴き方
 ⑥部下育成の話し方

◎ベテラン時は、信頼感を高め、頼りがいのある人としての存在感

 ①専門力継承の話し方
 ②新たな学びを楽しむ訊き方
 ③相談を受ける聴き方
 ④自身を売り込む話し方
 ⑤改善・提案の話し方

であろう。是非、「私には、これがある」「あの人には、あの才能がある、あの人の強みは、〇〇だ」ということを相互に認め合い、「お役に立てる」相互支援の実践を通して、「おかげさま」との話し方・聴き方の交わし合いが共に活躍のしがい(楽しみ)を高め、組織集団の強さ作りになることは言うまでもない。

4.積小至大継続的体験学習の機会を・・

 ならばどう話力を錬磨していくと良いか、それは、本人の取り組みへの心へ、そして共に磨き合いのできる機会作りである。

①学び始める吹っ切りから話せる自信を重ねる

 小規模企業のトップO氏は会社名と氏名を名乗ると、そこで声は途切れ、23秒の沈黙の後、「これからも頑張ります」と精一杯のひと言を告げて、深々とお辞儀をして着席した。すかさず受講生仲間からは、温かい拍手が送られた。そんないい雰囲気で筆者が指導を施したのは、「職人気質のOさんが、大っ嫌いな話し方をやってみようと決断して、実習に取り組まれことは、素晴らしいことです。この吹っ切りが話すことの上達の第一歩です。途中で止まりました。それでも何とか話し続けようとして、23秒沈黙がありました。その間、皆さんの視線を浴びるのは厳しいものがあります。黙って、この場から退散するという選択もあったかもしれません。しかし、そうはされなかった。ひと言結んで終わられました。ここに大きな価値があります。」と取り組み姿勢を分析して、称賛の言葉を送った。

仕事についても同様に、最初はうまくいかず、どうしていいのか迷いながら、続けているうちに、慣れてきて、何とかなって来る。話すことも同じ。話力のスキルアップは『他の人に劣ることを恥じるよりも、昨日の自分に劣ることを恥じよ』の体験学習が良い。

 いかがであろうか。誰でも話せる力はあり、周囲からの声がかかるのは、それを認めて期待している証である。最初は、話すのが苦手という意識と、うまく話したいとの思いの間で葛藤がある事も事実。ここで確認しておきたいことは、誰が、どのような心で話しているかが問われる事実である。この人は信用できる?

 例えば、上から目線で話す話し手であれば嫌悪感がわき、また、流ちょうな話しぶりであっても、作り話や、借り物の話、虚勢(きょせい)や詭弁(きべん)を弄(ろう)した話しぶりは、必ず見抜かれてしまう。

 加えて、人間性の評価というものは、話の場だけで見られるものではなく言行一致か、普段の生活態度、仕事への取り組みの姿勢、周りの人へのかかわり方など、総合的に評価されるものである。まさに、「話の味は人の味」である。

 時を経て、O社長は、地元の経営者の学び会(110名)会長に推挙され、圧巻なのは、会の周年行事でのホテル会場で150人の前で堂々と挨拶された。それは、びくつきの自己紹介の体験からスタートした継続する話し方の学びの成果でもあろう。

◎話し方教室的場を設けよう

 いかがであろうか。話力の錬磨は継続的体験学習の機会があることが良い。筆者は区社会教育で「心豊かに生きる話し方教室」を主宰し30余年お役立てを継続しているが、受講者の生活・活躍の場(企業・社会活動・諸団体・家庭・・)で、関わる人からの褒めの一言などから「うまく挨拶できました」「司会をして喜ばれました」「職場の人に指導がうまくいきました」「いつもはつらつとした言動を褒められます。と紹介し、それは、この教室で話す事に自信がついたからです」・・・の喜び合いのあるやりとりは筆者のお役立てできる楽しさである。

  記してきたように、話力の向上策は、対面型研修を継続することが良い。例えば、社内、組織単位での話し方教室を設置することにある。月二回、終業後2時間、6~10人クラス編成が良い。なぜなら,これまで、各社、各団体での教室を依頼設置しお役立てをしてきた実感は、やはり、確認・診断を重ねることによる学び合いは効果的であり、それは、二宮尊德翁の説く積小為大(小さな努力の積み重ねが大きな成果に繋がる)のごとしであるとの実感である。

(令和5年10月 研修・講演髭講師 ビジネス教育の(株)HOPE  澤田 良雄筆)

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