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 本コーナーでは、"髭の講師"の澤田が研修で実際に体験し、見聞した事例を、日誌風に纏め報告しています。
 これまでの研修日誌はコチラ。
◆対面型コミュニケーションだからこそ磨こう多人数への話力

 オートドアートップメーカK社では、一般社員クラス・リーダークラス・管理者クラスの3コースの研修を実施した。半年間の研修期間で一次研修を実施し、各自が終項で設定した実践目標を半年間実践(上層者が達成に向けて支援指導)の全社ぐるみ人材育成である。当然単なる縦割りでなく低層から出された活躍現状、今後へ向けての方向性等を上層クラスに反映していく方策である。そして、今回は半年後のフオローアップ研修として、前回の履修内容の確認と、さらなる必要なるスキルアップを織り込んでの研修とした。今回の3コースの共通内容は、半年間各自の実践目標をどう実践し、その成果はどうであるかの報告会を取り入れたことにある。

 その報告方式は、各自のプレゼンテーションと質疑応答、終了後にはトップ幹部からのコメントを折り込み、次いで、「取り組みでのOKポイント、反省点、ならばどうする」をテーマとしてワークショップを設置した。ここでは、ポストイットカードを利用して、意見を書く、張り出す、関連付けし、まとめとする。この提案事項に再度トップ・幹部がエールと助言を贈る。まさにコロナ禍から、対面型コミュニケーションが再確認され、その良さを最適に生かした研修実施であった。

 そこには、対面型のビジネスの遂行機会を最適に活用する上での基本スキルはビジネス話法であるとの判断に基づき、とりわけ多人数を対象と、ミーテイング、スピーチ、プレゼンテーションの機会には、不可欠な能力であるとしてその演習を組み入れた。現実に、このニーズに基づく研修は、新人研修はじめ各層及び、若き経営者の研修でもお役立てしている昨今である。

  それだけ「いざとなったらどうする」の意中の不安があるようだ。K社での研修現場でも受講者の職種によっての得手、不得手はあるもののさらなる育成課題と担当部門と考察した。そこで、今回は、ここに着目しお役立てとする。

◇ビジネス話法の3本柱

 それは、業務を遂行していく人と人の関係は、交わす言動の打てば響く影響の仕合である。言は想いを伝える内容であり、動はそれによる行動の変化であり、勿論想いの、源は、相手にお役に立てる信念に他ならない。従って、伝え合いは次の3つの目的とその具体的方法である。

①対人関係を創り、深める=日常関係者とまた初の人との一言・会話の話力
②想いの実現に向けた協働関係を構成する依頼=説明・説得の話力
③多人数を対象とし一挙に動かす働きかけ=プレゼンテーション・スピーチの話力

である。その前提は「この人の話なら訊いてみたい、聴きたい、一緒に何かしていきたい」と親和感を持って,こちらの話しを聴いて頂き、理解→納得→共感→そして協働関係が構築されることにある。それは、嫌いな人の話は聴きたくない、この感情は拭えないし、やむなくの場合は指示事項として位置づけるのが現実である。だからこそ、都合の良いときだけ、相手を動かそうと話すことはタブーである。

 勿論、その実効(想いの実現に向けた効果)は対象者の特性、人数、許容時間等々の条件によって、即、十分なる結果が得るとは言いがたくとも、施した事実の重ねが実を結ぶことは多い。

◆多人数を前にしたときの6つの心得

 それでは、苦手意識が多々ある多人数を対象にした場合はいかに対応するか、先ず確認。話している現況に次のようなことはありませんか。

*早口  *声が小さく聞き取りにくい*語尾が消え、弱々しく頼りない印象・・・。
*聴衆を観られない
*一本調子のために事務的で冷たい 
*語尾が強く、威圧的

 いかがであろうか。 これでは、内容がいかに良く、かつ準備を整えたとしても良く伝わらない。多数人を前にしたときの心得は、一対一の場と違って自信なさそう、暗いでは聴衆は引っ張れない。そこで敢えて心する話しぶりは、

①大きく振る舞う
②少し大きめの声で話す 
③聴衆を味方として歓迎する

④明確な言葉で話す
⑤物怖じしないでゆったり感を持って話を進める
⑥感謝の心」を話に生かす  と言う事になる


以下、話す場を順次とらえてその対応スキルを提供していこう。


◆話はじめで実践する5つの極意

①肝心な場面は出だしの対応にある。気持ちがドキドキ、あがる感じが当然芽生える。この克服の第一歩は、ご紹介された時の「はい!」の言葉を明るく発して、立ちあがり聴衆に向けての会釈、一秒の間合いを取って場に向かう。そして、立ち位置を決め、聴衆に左右に目線を送り、正面を向き、「皆さん。こんにちは。(聴衆から返礼がくる)一拍おいて、「ご紹介頂きました○◎でございます」と名前の一文字一文字をはっきりと紹介する。ここまでの言動のスピード感、心の溜め具合が以後の話しぶりを決める。要は大勢の目線に押し込まれない心の確保が肝心なのだ。

②感謝の心を伝える切り出しの配慮をする。それは、複数人を対象とする話す機会は、機会を提供してくれた方に感謝、そして、様々な条件を持って参集して頂いた聴衆であるから、「お集まりいただきまして、ありがとうございます。この場を設けていただきました〇〇さんのお骨折りに感謝いたします。皆様に感謝し、精一杯お役に立ちますように話させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします」と前置きする。と、聴衆の表情に受け入れの微笑みが浮かび、ほっとした心持ちが沸く。次いで

③聴衆との親和感創り この方法は、聴衆との関連のある話題を生かす。その第一が、聴衆と親しい人の利用である。例えば、「この職場の○◎さんとは、入社が同期でして既に○年の交流です。従いまして、この職場の素晴らしさも紹介いただいています・・・。」そして、第2しては、聴衆との関連のある話として、例えば、「今日は、地元経営者の方々の集まりだと伺って参りました。・・私は初めてこの街に参りましたが、皆様の顔を拝見し、私も経営者でありますので、地域発展に貢献しているとの誇りと、エネルギーを感じます・・・」と奨めると会場の雰囲気に親しみが漂う。

④次に問い掛け、テーマと結びつける。例えば「皆さん、幸福になりたい人、手をあげて下さい」と問い掛け、笑顔で聴衆を見渡す。「ありがとうございます。実は幸福と話し方は非常に関係があるのです・・」とお役立てする「話のテーマ」と結びつける。問いかけの場面で聴衆との目線での交わしができ聴衆との心が通う事が良い。

⑤更に聴衆を引き寄せる話は切り出しの工夫として、不の言葉を活用する.例えば「○◎について不安はありませんか」「不満はありませんか」「不便」「不快」「不要」などの「不」の課題を投げかけ、実は、この解決について今回は話します。」このように、相手に興味を際立て、本題には入っていく。それは、誰でも興味のある事に耳を傾けるし、既に話すテーマが知らされていれば、テーマに関心を持って参加する人の期待の整合性を確認できる。

◆話す過程での13の極意

 さあ、スタートした。それなりの準備を整えての取り組みである。それは、内容の組み立て、わかりやすさをカバーする資料、現物、あるいはパワーポイントの用意、時間配分のメモなどを生かしての話の進めである。
 ここでの対応の極意を13項目誌上講義をすると、

①聴き手を味方に目をかけて=一度に自身の意思をお伝えできる感謝と喜びを目力で伝えます
②目から入る印象に留意して=今どんな心で話しているか、その人間性が問われます。それは、目で診断されます。従って表情、背筋、目線、手、足の開き、クセ、服装への留意する事です。
③感じの良い・分かる言葉の工夫=聴衆の特性も様々、専門語、社内語、流行語、ビジネス用語に留意する配慮です。
④多様な人が集まりますので、人権に配慮しましょう。性差、高齢、障害、国籍、人種などに配慮し、出席されている方に嫌悪感や反感を持たれないようにします。
⑤レジメを用意したときには、この流れを生かします。「一つ目には入ります」とガイドし、「以上で一項とし、次は・・」と見出しを付けて進めます
⑥「です。ます。」を適度につけて、スッキリ、簡潔に、間合いを生かします。だらだら話は聴衆は聴き疲れます
⑦ハキハキ、いきいきの好感度の高い、声とスピードで話す=様々な方にお聞き頂ける感謝の表れです。
⑧感情込めて、体を大きく使おう=ジェスチャーを活用します.ジェスチャーは演技でなく心を込め、解っていただく思いやりと熱意の表現です。
⑨用意された・資料・現物+言葉の組み合わせでわかりやすさを工夫します。
パワーポイント、資料を上手く組み合わせて話す時には「こちらをご覧下さい」と画面、ページ、行をガイドします
⑪時には問い掛けます。「皆さんはいかが考えますか」と3秒程度、聴衆に目線を配ります=回答は求めずで良いのです。この問い掛けに「答えなきゃいけないな」と一瞬の緊張感が聴き続けて頂ける働きかけだからです。
⑫ユーモアが生きる話す場になれてくる、それは心に余裕が生まれてきます。この心の豊かさがポッと出るユーモアです。それは、計算的に笑いを創り出すことではなく、ユーモアとは本来、蒸気という意味合いがあります。それは話し手の品の良さから産み出される洒落(しゃれ)のおかしさです。二秒位の間を持つとこの味わいでほっこリした心の交流ができます。
⑬話の終わりには必ず「…以上で…」の言葉で結び、丁寧にお辞儀して、スピーチを締めます。

 以上です。そして、聴衆を味方にした話の進めには、

◆アイコンタクトの実践のコツ

「聴衆は私の話の支援者」と感謝の心が、「どうぞよろしくお願します」切り出しの言葉であった。その言葉に応えて頂いている方々だとの信頼する気持ち」の実践が目での交流・交換のアイコンタクトである。従って、聴衆を観られれば話しぶりも落ち着きがでる。だからこそ感情移入も素直に成され、言葉に力が入り、表情も和らぎ、更に頭の回転もよくなる。アイコンタクトの具体的な実践の極意は

①うなずいてくれる人、聴いてくれそうな人に目を合わせる 
②話の段落「。」で二秒の間合いを持ち、目を合わせる。
③「いかがですか」と語り・問いかけで目を優しく掛ける
④全体をS字型、Z字型に顔を動かし
(前列、ナナメに流し、後列で止める)始動・終了時の人に感謝の心で二秒目線を合わせ、うなづきの仕草を工夫が良い。単に左右に動かすだけだと忙しく観えることもある。尚、右側(左側)だけに目が行くと「なんで・・側だけと聴き手からの不満が出る。  そして、長い話しになるときには、

◆聴かせ続ける工夫の極意

 話を聴くことは聴き手にとって努力がいる。従って、聴き続けることは疲れるし、飽きやすいし、眠気もでるし、他の事へ気が行くこともある。そんな自身と闘いながら聴き続けることもある。従って、聴く楽しみを継続して頂く聴き手への配慮は、

①聞き手の表情、仕草で集中度の傾向を何となく感じていく
②解答を求めない問いかけで考えていただく「皆さんはいかがですか?」と問いかけ2~3秒沈黙する.答えを聞かなくとも良い。ましてや名指しでの質問は避ける 
③動きを入れる 
 例えば *歩いて近づく *ジェスチャーを活かす*板書する*レジメを読む*実物を見せる・パワーポイントの活用する

④体験していただく
 *軽い運動 *言葉の唱和 *研修ゲーム *試聴・試食・・・。この場合は方法をしっかりと説明し進めることである


 このような変化を付けることにより、聴き手の疲れ感の軽減が可能である。勿論、単調なる語調での話しぶり、難解な話題や言葉の連続等に気をつけることでもある。

◆あがらぬ法を伝授すると               

「あがってしまって、真っ白になってしまった」「、原稿が飛んでしまった」などよく聞かれる言葉であるが、それは当たり前なことである。誰でも程度の差はあれどもあがり現象はある。但し、いかに早く平常心に切り替えるかである。その基本は<身の丈の自分の話でよし、今できる最高の話をすれば良い。よく見せよう。それなしでいこう>と心決めすることである。そして、自身に言い聞かせる言葉として

 あ=あがるのは、他人も同じだといい聞かせ *自分だけではないのである
 が=ガタガタしても自信ありげに深呼吸*ゆっくりした動作が高ぶりを押さえる
 ら=楽な気で批判恐れず体当たり*他の人に劣ることを恥じることはない 
 ぬ=ぬかりない準備でゆとりある心*主張・話題のめも・必要な物の揃えの範囲
 ほ=他の人こちらが思うほど気がつかず*原稿を飛ばしたと解るのは自分だけ
 う=嘘のよう話す度に自信付き*慣れは経験値、一歩一歩成長を楽しむ事で良し 

 要は、世界でたった一つの話が自身が話す価値なのである。 例え不慣れな話し手でも伝えたいことが本当にある人は必ず、聴き手を聴かせ続ける。それは、人の真実の心を揺り動かす力であり、心を打つからである。時折診る話し手で*巧みさが目立つ*話の内容の盛り過ぎ*話しぶりの演出過ぎ*気取りや*おごりある人*上から目線で話す人を、人は好感を持てず嫌う傾向がある。それは、話は、話し手の一方的満足を得るものでなく、聴く人々の相互作用により創り上げていくものだからである。


 記しながら、筆者が話し方教室の学びはじめのスピーチ場面を思い起こし、そこでの学びから、話せることの恵み(身体も含め)、聴いて頂く感謝に基づく誠実、相手にお役に立てる信念、そして、熱意を持って話すことに徹し、指導・支援のお役立てを成している今日である。学びはじめのスピーチ、それは、「学習課題の1分間の自己紹介を3日間原稿の推敲を重ね、丸暗記、そこに演技を付け「これなら、さすが素晴らしい人と称讃される」と意気込みその場に臨んだ。しかし、しかし、名を呼ばれ瞬間緊張感が走り、歩きに浮つき、挨拶し目を上げた瞬間、23人の目線に真っ白になり背に冷や汗、膝ガクガク、顔面蒼白、なんと28秒の終了でした。」惨めさに打ちのめされていた自分の耳に入ってきたのが「し、し、清水と申します」と吃音ながらも「ど、どもりますが、頑張ります。」と訴求する受講者仲間のスピーチであった。終えたときの表情は安堵感と明るく素敵であった。「格好いい、さすがと思わせる」こんな薄っぺらな想いで学びに飛び込んだ自身の軽薄さを自省し、以後、話す真の理解とお聴きいただく方々への感謝の心を持っての話し方を学び込ませて頂いた。現在 ビジネス話法指導にはこの体験があるからこその受講者に寄り添ったお役だてである。

 「あのときに教えて頂いたことが今でも生きています」こんな言葉を何年ぶりかにお会いした方から聴くことは嬉しい事である。

<筆者著書「人生100年時代心豊かに生きる、実践!!感謝話法の極意」(傳書房・教育評論社)>

(令和5年5月 研修・講演髭講師 ビジネス教育の(株)HOPE 澤田 良雄筆)

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