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 本コーナーでは、"髭の講師"の澤田が研修で実際に体験し、見聞した事例を、日誌風に纏め報告しています。
 これまでの研修日誌はコチラ。 

◆WBCチームジャパンの強さは良きコミュニケーションなり

 時の話題であるWBC侍ジャパン優勝のキーワードは,選ばれた選手の「世界一になる」想いをチームの軸として監督・コーチと選手、選手同士の親和感、信用・信頼関係は見事であった。とりわけ大リーグで活躍する選手と若き選手との意気投合、教え、教えられる共に学び合いの関係も素晴らしい。だからこそ、仲間の活躍場面では皆一丸となって、勝つために今、自分はどうすべきかの全体最適の判断に基づく最高プレーに徹している。そこには、自分の際立てよりも「繋ぐ」に徹するチーム貢献もあった。だからこそ、固唾をのむ、そして劇的場面にチームのみならず、最大の人々が歓喜をもたらした。

 実は、筆者は、イタリア戦の時間は(一社)青年会議所の「今だからこそリーダーに必要なコミュニケーション力」のナイトセミナー、そして決勝戦の時間帯はオートドアーメーカーK社のリーダー研修「部下力を生かし育てる」一日研修であった。当然、試合経過を気にかけての講師業であったが、特筆すべき事は、受講者が試合を気にかけてのスマホちらほらは全くなかったことである。勝利の喜びは、終了後の懇親会で担当者の「侍ジャパンの勝利に乾杯」「世界一に乾杯」」との音頭で皆が蔓延の笑みで勝利を祝った。

 ふと思う。侍ジャパンのチーム編成は、WBCのために本拠とする活躍条件を踏まえて選ばれた選手で編成され、チームとしての準備期間から、本試合中「一緒になって過ごしたからこそ交わされた対面型のコミュニュケーション」が存分に成されたからであろう。と。従って、各選手には、役割を果たす存在感あり、成長予感があり、そして,活躍による貢献の実感を得ていたと推察できる。

 今回は、これらのことを踏まえて、職場活動でメンバーが存在感、成長感、貢献の実感を得る対面型コミュニケーションの実践法を確認してみよう。

1.協働力はコミュニケーションが肝腎

組織活動は、目標を達成するために関わる人々が互いに力を合わせる。 従って、リーダー的活躍をより楽しむにはコミュニケーション力を磨けば良い,ならばどうする。先ず、コミュニケーションの目的は、伝える事を通じて、相手との双方にとって良い関係が成り立ち、チームとしての活躍環境が良くなることである。従って、単にリーダーの都合の良い一方的発信ではなく、メンバーの活躍の楽しみを喚起し、チーム力を高める打てば響く心と言動の施し合いなのである。その方法は次の3本柱がある。

①親和感を深めるコミュニケーションこれには、一言、挨拶・会話・雑談・会食談話
②役割を楽しみ,達成感を導くコミュニケーション=なぜの役割確認・期待感の共有、任せ・指導・支援・・
③寄ってくるコミュニケーション報連相の受け、引き出し・察し・傾聴・・・

である。そこで、

◆今,大事なコミュニケーションの実践方法は

 新型コロナに関わる約3年間、ビジネスの実施方法も従来の対面様式が課題となりオンライン化や自宅勤務方式など、直接人と人の接触なくしての業務推進が主となった。従って

 コミュニケーションの方法は、電話・メール・オンライン・リモート、SNSなどのデジタル機器の活用など多岐にわたった。ならば、ウィイズコロナの昨今、コミュニケーションの実践法はどうすべきであろうか。それは、各方法のベストマッチングが必要ではあるが、今、最も施すべきは対面型である。なぜならコロナ化での対面型コミュニケーション不足による不安、不十分、不満・・等の課題を生じた。この解決には、人と人が直に接して交わす、話す・訊く・聴くコミュニケーションが不可欠なのである。それは、職場での身近だからこその最適なタイミングと頻度を高めることが可能である。ならば,具体的な実践はどうする。

◆日常の何気ないコミュニケーションが親しく人が寄ってくる

 その基は「気配りのできる言動」である。組織における気配りとは気がつく事であり、そこには感じる、察する、先を読める等の感度が要求される。具体的実践は3点。

①挨拶に一言の工夫が生きる

 気配りのあるコミュニケ-ションの実践は、朝の挨拶時でも「おはよう」の後に「昨日はご苦労様」のねぎらいの一言、「上手くなってきているね」とほめ言葉をプレゼントし、反面、疲れている人、元気のない人、仕事でもミスで落ち込んでいる人には、「こうしたらよいかもしれないね」とのプラスの示唆を与えたらよい。それには、自分のことばかりに没頭するのでなく、周囲の空気を読み、断片的に仕事・人を観ているだけでなく各自の兆候を掴むことが肝腎である。これだけでも、相手の心を汲むタイミング良い声掛けが、気配り上手のリーダーとなる。気配り上手のリーダーには親しく人が寄ってきて、心の通ったチームができる。そこには、

②冗談を言える空気を創る。

  良く、「うちのリーダーは仕事ができるし、頭が良いのですが,取っつきにくいんです。」といわれるリーダーがいる。これだと心の一体感はなかなか難しい。やはり,笑顔で語り,時には冗談を交わし会える親和感を醸し出すのがリーダーの人間味といえる。特に、枠に填めたがる余裕のなさ、真面目すぎの目立つ人は、楽しませる遊び心での仕掛けを敢えて成し、温もりの空気を創ると良い。例えば、休憩時間、出勤時、あるいは休憩、昼休みの機会、加えて,帰路での一杯飲みますか・・」など、声がけすると良い。こう説くと「今の若い人は誘っても来ない・・」と反論が出る。本当だろうか、こんな風評に無精の言い訳はなくして,先ず声がけでの実践を今だからこそ成すと良い。

③掛け合いのコミュニケーションその極意は

  この際、愉しい会話をどれだけ仕掛けることができるか.その極意は、

●何を話すかよりも、何を学ばせて貰うか楽しむ事である。その手順は、訊ねる→相手が応える話しを聴く←それは話す楽しみを支援する(うなづき・相づち)→そして聴いた話しを盛り込み話す,または,適度に深めの問いかけをする→すると相手から→問い返しとして「ところでリーダーは(?)」とこちらの話す機会が創られる。この掛け合いの交わし合いがよい。それは、相互理解の広まりと深めが自然とでき親しさが増幅できる。

●ここでの聴き上手は、相手の話す楽しさを謳歌、好感度を高めて、また話す機会を欲する。相手が話すことを楽しめる分だけ学びが多く、相手の特性に絡み合わせていくコミュニケーションが熟していく。くれぐれも話しすぎない,ましてや説法話は御法度である。

●簡単な訊く話題の工夫は、「テニスとタケ」を活用する。は、天候、季節感、ニ、ニュース・最近の出来事、は、好きな事、は、友達、タは、旅、は健康 である。勿論、どの事から訊いても良い。 

◆役割を楽しみ達成感の喜びを産み出すコミュニケーション

先日のオートドアーメーカーK社のリーダー研修前には,若手社員層の研修を実施した。修講で今後の活躍に向けて「当社をより強くするために私達が成すべきこと」 として導きからまとめ上げられた発表内容には、

  ①挨拶を自ら積極的にする。そこにはめげない気構えが必要
  ②タテ・横・ナナメにコミュニケーションを円滑化し報連相を気軽にする
  任された仕事を完全に成し、多面的視点で改善を実践する
  ④失敗を失敗で終わらせることなくその経験を次に生かす
  成果を重ねるために新しい知識を取り入れ続ける
  ⑥物事を、どの部署でも多面的にとらえていく
  ⑦常に社内外、お客様など相手の気持を意識した活躍に留意する
  頑張り、考え方は報告,相談を生かし、ほめ、認めを得た活躍を楽しむ

そして合い言葉は「今 できることの最高実践→そこには常に+ワンの追究。であった。いかがであろうか。部下の秘めたるマインドは高く,その活躍での実績形成には関わる人の協力を得て、その実際の活躍には,上司、同僚、他部門,社外の人達との適切なコミュニケ-ションの実践が約束されている。

 受講者各位はこのまとめ事項を、自身の具体的実践項目に落とし込み,以後半年間取り組む,そこには、上司の支援指導を絡ませての推進である。勿論,リーダー研修ヘの繋げとしてもいかす。確認してみよう。部下力を高め、愉しく活躍を支援するコミュニケーションの実践策は、

①担当する職務がもたらす喜びを丁寧に説く

 「働く」文字に注目してみよう。「働」の人偏は「各自の持ち味」であり。「動」は力を重んずると解する。即ちその活躍の有り様は,単に指示待ちでなく、「自ら考働する」事にある。その働きかけは、現在の仕事で新たな想いを創り、達成の成功体は人生の良き財産になるとの動機付けである。この第一歩は、一人ひとりの役割の素晴らしさを「何のためにこの役割があるのか」と丁寧に説明し、取り組む楽しみを喚起する。ここから、なんとしてもその実践に取り組む熱意が、新たな学びとなり、学びにより、的確な智恵を考え、粘り強い実行の継続力を生む。その結果、成果を生み喜びの享受となり、自己の役割の存在感と貢献の自覚ができる。その過程では、

②引き出す・受け止める・改善へのコミュニケーションスキル

 「今日中に仕上げなさい」「これはこうしなさい」式の命令調でなく「これはどのように仕上げたらよいかね・それはどうしたらいいと思うかね?」などと問いかけるコミュニケーションは、本人の考えや知恵を引き出す。これは考働を支援する働きかけだ。そして、「なるほど。さらにこの点も加えると良いね」と、引き出しによる考え方を是々非々での評価と,不備な点は是正、補いを施していく事が良い。この際の心えは、「なぜいけないか,どこが不足なのか、それはなぜかと丁寧に説明し、示す改善策については、そのことがいかに効果的かを説くことにある。しかしながら、このほどこしは一様でない。メンバーのキャリアの多少を踏まえて、引き出し、受け止め、支援の適切な見極めによる工夫が生きる。さらに

③任せ、出来た喜びを得る指導的コミュニケーション

 「出来た」の喜びヘの施しは、任せる,思い切ってやろうとの働きかけもある。良く聞かされる「同じ事ばっかりさせられる」「任せてくれない」「自分を認めてくれていないのではないか」の不満、不平が気になる。この要因は、仕事の幅、難易、職責の拡大など思い切って任せられないリーダーの勇気のなさがあげられる。これでは意欲を低下させると同時にリーダーに対する信頼感を弱めてしまう。そして、任せたからには「適切な支援・示唆等の指導的コミュニケーション」の施しが肝腎。 なぜなら、「任せた」その責任は「できた」との新たな自信を得る喜びを享受させることにある。思い切って、仕事を任せても放りぱなしでは、迷いや挫折感に陥ることにもなりかねない。任せたときにはリーダーの下支えは欠かせない.その機会は

◆寄ってくるコミュニケーション、それは,リーダーへの信頼の証

 リーダーからの発信コミュケーションに加えて、必要不可欠なのが部下から寄ってくるコミュニケーションである。ここでは2点確認しておこう。

   報連相の受け上手は,達成の喜びを近づけるコミュニケーション

  部下が、報告する事は=努力を知っていただく機会、連絡する事は=上司に安心を与え、次への業務推進ができる働き掛けであり、相談する事は=上司を信頼している証と、より提案の質を上げる機会である。従って、報告は受けるだけが目的でない。受けながら、努力を認め、頑張りを褒め、成果を賞讃する機会であり、相談の受けは指導の機会なのだ。ここには良し、との背中を叩いて頂く、さらにはより質を高めたいとのメンバーの想いがある。例えば,メンバーの提案内容は、リーダーの繰り出す最善策ではあるまい。なぜなら、リーダーだからこその情報力の豊富さ、権限の広さ、人脈の豊かさによるより効果的な打つ手の手腕がある。従って、この切り口からの指摘、アドバイスは、メンバーのリーダーの見識の豊かさ,先を読む力量に学びの機会であり、「リーダーはさすが」と信頼はより高まる。そして、メンバーが描く達成時の笑顔に近づくのである。しかし,すべて順調なメンバーばかりでない。このときは、

②観える言動から「察する」コミュニケーション

 悩み的心中は行動によりシグナルを送っている。それは言葉でなく,振る舞い、表情、語調に表れる。気にかけて観れば、挨拶、出勤時刻、歩きの後ろ姿、事への取り組み活力等の変化が一例である。その変化は相手からの「気づいて欲しいとのシグナル」であるから、この兆候に早期に気づき、尋ね、聴き入れていくと良い。多分に「リーダーがいつも気にかけている」この信頼感が安心した活躍感を促す。また、自ら話す苦手な人には。「何か意見があるのかな?・・」と呼び水を傾ける。このメンバーの「静かなる雄叫びの心を察するコミュニュケーション」がメンタル不全を未然に防ぐ予防管理であり、ましてや、突然やめます事態の未然防止になるのである。

③部下の貢献力を高める上下の架け橋役

  さらに、部下の仕事に対する建設的意見を吸い上げ、部門、全社へのつなげも可能な限り成す事がよい。部下の建設的意見には、必ず判断し,直ぐできる事、良き事だが現在は無理、それはなぜか、いつ頃可能な見込みなのかを、既に提供してある会社、部門の方針,そしてリーダーの考え等とリンクし説明をする。そして、上長への知らせもするとの応答を無精しないことである。また、上下関係での仕事に関する不満、不安など、何気なく気になる心情を察して、先手を打てば良い。

◆聴き方上手の実践

 何れにしても,メンバーに安心と楽しませるコミュニケーションは,「聴いていく」これに尽きる。「聴く」とは、単に声や内容を聞いているだけでなく、話しに耳を傾け、話の内容の奥にある心をくみ取ることまで意識を持っての対応である。この聴き方だからこそ「真剣に聴いてくれている」「気持ちよく聴いて貰えている」「共感して貰っている」と安心感が芽生える。反面、面倒くささが観える、目をあわせない、ながら聞く、反応を示さない、横柄な態度で聞く、攻めの内容を考えながら聞く・・こんな聴き方の人には話したい気が起こるわけがない。特に人は十人十色、リーダー自身の考えとの異見だからこそ、先ず受け入れてみる包容力のある上司の心の豊かさが肝腎である。ここで、日頃の対面時の聴き方を5点法で診断してみよう。

① 親しみのある笑顔で聴いている
② わき見やナガラ動作をせずに、関心のある態度、姿勢で相手の目を見ながら聴く
③ タイミングよくうなずいたり、相づちを打ったりして受容的態度を示す
④ 相手の立場に立ち、共に喜んだり、嘆いたり、怒ったり、いたわったり、ほめたりの共感を持って聴いている
⑤ 思い込みや、先入観など自分の感情に左右されず、純粋な気持ちで聴いている
⑥早合点したり、先読みしたり、あげ足をとったりせず謙虚な姿勢で聞き続けている
⑦ 一部の言葉や印象にとらわれず、相手の言おうとすることの全体を理解するよう心がけて、最後まで聴いている
⑧相手が言葉に詰まったときには、さりげなく問いかけるなど話しやすいよう援助する 
⑨不明な点は質問し、あいまいな点は確認し、内容を十分に理解するよう努力している⑩ 自分なりに理解したことを、もう一度要点を確認し、一人ぎめをしないようにしている    

 いかがであろうか。上司向けコミュニケーション研修の受講者からの大方の感想に「聴いていない自分」との反省が多い。それだけ、対面する意義の浅薄さからくる上から目線での一方的伝え方が多いのであろうか。仕事ができる、人を生かせる、人を育てる」そんな逞しいリーダーが組織の生命であり、メンバーの心豊かな人生設計を構想する影響力である。それには、日頃から「この人の為なら」「この人ならついて行く」の信用・信頼関係が不可欠。その実践は、人と人が直に接し合う機会を最善に生かした対面型コミュニケーションを楽しむ事に他ならない。そこには、リーダー、メンバーが輝き合い,良き結果を勝ち獲り、ハグし合う笑顔のチームの姿がある。

 侍ジャパンの活躍を解説する溢れる情報、また、各所で交わし合うWBC談義を観(み)、聴きしつつ記してきた本稿である。

    (令和5年4月 研修・講演髭講師 ビジネス教育の(株)HOPE 澤田 良雄筆)

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