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  ホーム>髭講師の研修日誌

 本コーナーでは、"髭の講師"の澤田が研修で実際に体験し、見聞した事例を、日誌風に纏め報告しています。
 これまでの研修日誌はコチラ。
 

周知のごとく、厳しい環境下でも進化し続ける元気企業づくりは、全社員の活力を結集していくことにある。それには、経営理念に基づく変化対応戦略に、新たな思考と能力を加味していかねばならない。要は人的財産をどれだけ育て、生かし、企業の組織活動に活用していけるかだ。そこには「企業は人なり」の言葉どおり、人材(現在持ちうる能力)を人財(新たな能力付加で改革実績形成者)に、どう育成するかが問われる。

先般地元会議所主催事業として経営塾が開講した。ねらいは、経営過程で困難な問題に直面したとき、正しい判断と、決断する事が求められるが、それには、基礎となる経営理念、掲げている戦略の基本に立ち戻ることが肝腎である。そこから、行き当たりばったりでない、正しい判断に基づく、意志決定(課題解決)ができる。それには、ぶれない軸の経営持論を持つことに他ならいない」とし、中小企業診断士、大学教授、税理士、そして教育コンサルタントとして小生も講師団に加わった。研修項目は企業経営概論・経営学のフレームワーク・会社が長く続く経営術・会計を経営に生かす仕事術・経営者の人を生かした仕事術・そして、地元現経営者による「経営理念を生かした経営の実践」講義と対談である。研修方法の特徴は、午前中講義と、午後は内容を踏まえての受講者と講師とのグループ討議を組み合わせた密度の濃い研修である。参加者からの終了後の所見では大方、経営者としてのあるべき条件、成すべき事項の確認と、そして、受講者・講師とのやりとりで、現段階の課題に関する異見交換もでき、かつ今後の縁づくりができたと好評であった。

そこで、今回の髭日誌は、小生担当の人材育成に関して着目し、お役立てとして記してみる。

◆持続的経営には新たな想いが発信される

 先ず経営とはどう意味づけできるのあろうか。それは、想いの実現に向けて人・物・金・情報・自然(農業、漁業、林業・・)を生かして利益を生み出すことである。そして、経営の「経」は理念・創業精神等であり経営の軸である。そして「営」は戦略・スローガン・方針・中長期・年度目標等であり、変化に基づく最適な実施策と意味づけられる。また、利益の必要性を確認して診れば、企業の持続に向けての研究・開発・設備等の投資に不可欠であり、社員への賃金・福利厚生等の還元、さらに関わる人(業者、関連企業、販売社・・)の付加価値(利)創造への貢献である。そして、社会貢献として納税、地域貢献。ボランテア活動の推進であり、株主への配当を可能にする原資である。まさに利益の「利」りは利他主義であり、三方よし(売り手、買い手、社会)の考えに根ざしている。

 従って、毎年のトップの「新たな想い」は,このより向上に向けて年度経営計画として発信され、以後、社員一丸となって実現していくのである。その活躍は,どうしても改革することが必須である。それでなければ、目標数字の達成はあり得ない。例えば、売り上げ目標達成にも、新商品の開発、販路拡大、新たな売り方、新たな扱い商品の確保、物流方法の再考等もあろう。

◆想いの実現には育成は不可欠です

 ならば、改革の実現に向けての新たな発想・智恵が要求されるが、その発想には基ととなる能力に新たな学びを加えない限り不可能である。なぜなら、現存能力のみであるならば、どうしても類似なる知恵しか生まれまい。だからこそ、今ある現有能力の未活用点のの生かし得るヒント、さらに全く違う切り口での創造力の発揮には、新たな学びが不可欠である。その実践には、人材育成が不可欠である。だからこそ、「企業は人なり」と説かれるのは周知の通り。それは、経営における最大の取り組みは社員力を生かし、向上させる必然性を説き、いわば、企業の「企」の文字は人がダメなら止まると意味づけも出来よう。

  だから、理念、想いの共有化が不可欠であり、各部署では、年度目標を具現化するリーダーの方針に従い、達成する陣容を整え、メンバーの最適能力の最大発揮を促進する。そして、さらなる育成を施すのである。従って、もし、想い、目標の未達成であったならばそれは人材育成の不足であったともいえる。出講企業様の取り組みも様々である。

◆実践企業にみる人材育成への取り組み

 ここに三社様を紹介しよう。

●「当社の財産は人材なり。社員が成長した分だけ当社も成長する」とはの大手製油所構内の設備管理会社C社社長の弁。構内管理技術が売り物であるからまさに人的財産が生命。しかも大手企業の委託となれば統合の進む中で選ばれ続けるかは死活問題。数年、幹部から一般層まで繰り返し育成を支援してきた。お陰で「あそこの社員は元気がある、積極的、本日安全、最高品質、まさに頼れる」の評判を高めてきた。圧巻は、研修時に「絶対的挨拶で絶対的安全を成し遂げよう」の全社運動をぶち上げ推進した事である。その成果は親企業を訪ねてきた人から「挨拶の良い精油所ですね」声が届けられ、親会社からC社に「御社のお陰です・・」お礼の言葉が掛けられた。

●和菓子、洋菓子メーカーS社若手社員研修では、「私たちは食文化の向上を通して豊かで平和な社会の実現に貢献します」「食を通してお客様に夢や感動を与え、この地域を豊かにしていく使命があります。私たちがこの多種多様な食の楽しみ方を実感し、その良さを伝える力を養うことも必要となります。創業70年時、改めて創業者の「三万石の誓い」を確認しましょう。とI社長。これを受けて、創業者の想い(それは一口食べた時に思わずにっこり出来る安らぎの瞬間を届ける)そして、後ほど確立した誓いの言葉(上記)を再確認し、そのを各自の業務で生かし得る方策を提起し合った。

●また全社員が胸に「笑顔バッジ」をつけた印刷関連業のD社の研修も楽しかった。D社は印刷、健康関連事業の営業主体であるが,製造・管理部門も加わり、各地から集合しての全社員研修である。既に多様な研修を重ねてきており、笑顔バッチにふさわしい社員気質と社内文化が気持ちよい。トップは落研出身、実に楽しい人であり、出勤時には、近隣に住む両親に挨拶し、社屋が見えたところで社屋に挨拶し、室内に入るときは「今日も一日よろしくお願いします」と挨拶を交わす人でもある。トップの言動が社員の人間性を育み、社文化の育みになっているのである。

◆育成着目の必要項目の確認

 しかしながら、多分に「具体的にどう実施したら良いのか」「費用がかかる。今予算がない」「うちの社員はレベルが低いから他社の人とじゃ恥ずかしい」など、不安と面倒と、どこかに「今更」『無理しなくても何とかなってきた』の人材育成投資(時間・経済)に対する軽視が気になることもある。それでは、現状までの企業総能力(社員各位の能力を総合化)では変化の早い環境に競争力を高めた「新たな強さづくり」はできない。今までの経験値(経験年月)に経験智(経験から掴み出した智恵)を生かし、新たな学び得て、新たな改革事例を社員各位がそれぞれの役割・立場で創り出し、その総合力を累積した分だけ、企業の強さが他に勝っていくからである。それは、新・初・独(自)・難()のキーワードであり、持続的経営のそトップの変えていくための人材育成への取り組みが産み出す成果である。

ならば、ないをどうするその何をとして育成必要事項を確認して診よう。

1.経営理念・社歴、ビジョンや価値観の共有・浸透
2.組織の活性化等を含めた社員のモラールやモチベーションアップ
3.各部門での中核人材の育成
4.管理職の能力開発(経営センス・リーダー・マネジメント)
5.女性社員の能力開発、管理職登用
6.技術革新に伴う技術者(開発・研究)の能力開発
7.企業風土改革の推進

8.社員評価の公正感・納得感のある評価と面接力
9.対人関係力・チームマインド
10.コンプライアンスの徹底(法令遵守、倫理観)
11.危機管理・情報の一元化
12.環境問題への対応
13.現場の技術伝承への対応
14.グローバル人材(国際化対応)の育成
15.欲しい人材の確保と早期戦力化
16.事業展開(多角化、新規事業、撤退)に応じ機動的な職種転換教育
17.雇用対象者の多様化(外国人や身障者等の雇用)
18.40~65歳層及び高齢者のキャリアプランと活用
19.各部門・業務でのスペシャリストの養成
20.多能化(I(ひとつの専門)→T→Π(二つの専門)→O型(一人完遂)の育成
21.生産性向上(少数精鋭化の推進)
22.心身の健康管理の充実
23.ボランティア・地域貢献活動ヘの参画
24.雇用形態の多様化への対応(非正期・派遣社員の指導・正社員との融合等)
25IT、デジタル化推進への対応
26.自動化・ロボット化に伴う対応、人員配置転換
27.承継者の育成
28.コミュニケーションスキル
  などがある。この他、読者諸氏の特有の項目を付加していただくと良い。

推進実施の方法例   

 
ならば、実施策についてはどうするか。自身(トップ・幹部・上司)での施し、自社、そして、専門家の協力の取り付け、そして、関係機関の活用などに着目して10項目提起してみよう。

1)目標達成は育成なくして達成なり、(目標管理とのリンクしての指導)
2)企業における人材育成計画の作成(コンサルタントの診断による指導活用)
3)社内研修の実施・外部機関セミナーの活用(企画、講師の協力の取り付け)
4)自己啓発への支援策・ 受講経費の援助(補助制度を設定)
5)OJTの推進(上司の指導力の学習)

6)資格、検定の取得推進
7)人事政策との連携(採用・異動・昇格・目標管理・人事評価精度・・)
8) 社内諸活動の取り組み(小集団活動・安全・改善提案・3S活動・・・)
9)
朝礼・終礼の実践 (役割による体験学習)
10)
学ぶ企業風土の醸成(トップの学びによる実践が功を奏す)


そして、日常業務での意図的施しとして

●任せる事

 =
仕事の割り当てに思い切る。任された責任感から学ぶ勢いが増幅する。訊きに来る事は本音で学ぶ事ゆえ効果は高い。 守破離での活躍プロセスで基本ができうる信用から、任せ、責任持たせると、いよいよ持ち味を生かせる。だからこそ志事(自ら想いを創り取り組む)だ。認められた自意識の高さが「どうしても期待に応える・結果を出す」と覚悟を強める。だからこそ学習意欲も高まるのであり、達成できるよう支援指導することの無精はしない。

●報連相時の事実に基づく指導

 =報連相の受けは、単なる内容確認だけではない。その事実までの過程での本人の努力に着目し、労いとその方法について評価していくことがよい。実は本人が知って欲しい欲求なのである。また、考え方、施しについての不足部分は、すかさず指導していくことである。報連相時の認めの言葉は、次に向けての意欲喚起になっている。また、評価時の公平さには報連相時の事実データーに基づく説明が、部下からの納得性がたかまる。


●トップ・上長が施す一言の指導

 =
一言の掛け(ねぎらい・感謝)の言葉)は社員の嬉しさを助長する。「Aさん誕生日おめでとう」「Bさん、奥さんの誕生日おめでとう」「Cさん、お子さんの入学おめでとう」こんな一言実践している社長もいる。関心持っての情報を見事に生かした一言である。それはモチベーションの向上にもなる。

●確認事項
 
=そして、確認すべき事項は、

 肝腎なことは「能力は、単なる評論家的自己満足でなく、試し、実践の鍛錬による習慣化し本物にする」事であり、「学ぶとは言動が変わること」である。その証は、目標達成率に魅せる実の結びにある。未達成は育成の不十分さにあり。

 ◎投資としての「時間、金」を最適に生かし「売れる決め手を持ったプロとして、稼ぎ出す力」を蓄える社員の育成は会社・当人双方にとって楽しい。

◆先に向けた花開きへの育成

 それは人の持つ可能性は無限にあり、磨き方、高め方の学習方法は無限にある。例えば、大谷選手や将棋界での藤井棋士(王位の快挙も凄い)も、一朝一夕にこの成績を産み出す実力を身に付けたのではあるまい。多分に多様なる取り組みの試みと、鍛錬を重ねての実力を備えたのであろう。ビジネス界での初、新た、独自の商品開発・新技術・新システム等々も同様である。それは、ようやく世に出たものであり、この事実は、降って沸くわけでもなく、長い研究、数え切れない試作、失敗の連続による得られたデータからの、新たな見いだしの実りの快挙である。それはまさに、トップの学ばせ方の仕掛けと本人の学ぶ力の結集による先に向けた変えていく鍛錬の継続力の賜である。

 人生100年時代、世界的規模での鳥の目・時流を読む魚の目、足下を見る虫の目、そして相手の立場たったコウモリの目の多面的視点で変化を捉え、多様化された思考、しかも、働き方改革などの活躍条件が提示される現在である。

 
肝腎な事は、社員各自が現在の選んだ活躍舞台でいかに「働きがい」を享受するかである。そこには、成長できた、認められた、お役に立てた喜びの実感がある。その源は育成と学びの合体に他ならない。

 コロナ過でも、対面研修の機会が多い現状である。各社、団体、行政の人材育成のお役立てに今回記した事項を踏まえての尽力は楽しい。

(令和4年8月 研修・講演髭講師 ビジネス教育の(株)HOPE 澤田 良雄筆)

*新任上司力研修、コミュニケーション・部下指導スキルアップの研修をお手伝いします。
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