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 本コーナーでは、"髭の講師"の澤田が研修で実際に体験し、見聞した事例を、日誌風に纏め報告しています。
 これまでの研修日誌はコチラ。

 

◆5月病というがどこの話しですか
 5月病となにかと取りざたされる時期だが、新人が当初の不安から「この会社だからいけそうだ。だって褒められた、認められた事が嬉しいから」の実感があるなら、このままこの会社で良いのかなどのふらつき感情は起こらない。たとえ入社して、3年で大卆3割はやめるとの説がまことしやかに論じられようとも、それは他社、他署の実態であり、自社、自職場、ましてや指導する新人は10割定着の新人であると信じ、共に成長する寄り添いの指導マインドと指導実践が成されている。

 改めて、新人の気概を筆者の指導企業の広報誌などから確認して診よう。まず、半導体、電子・電気機器、精密機器メーカーS社での問いかけは「新社会人の意気込み」である。この回答には

「コロナウイルスの災禍の中、当社へ入社できたことは嬉しくおもいます。1日も早く仕事を覚え、貢献できるように、何事も全力で取り組み、精一杯頑張ります。」

「私は慎重な性格ですので、手先が器用なのでこの長所を生かして何事にも丁寧に取り組みたいと思います。」

「社会人としては、まだまだ未熟でいろいろと至らぬ点もあると思いますが、先輩社員の皆様と共に、精一杯仕事に取り組み、会社に貢献できるように、努力していきます。」

 また、学生時代の専門的学習に関しては、「学生時代に学んだITやプログラミングについての知識を生かして、新しいことを臆せず取り組んで生きたいと思います。精一杯努力します。」

 さらに、遠方からの入社した新人は、「親元を離れて自分自身の力で何事も進めていかねばなりません。勿論、仕事を大事にするのは絶対ですが、それ以外をおろそかにしないよう考えています。それは、私生活の質が、仕事のパフオーマンスに影響すると考えているからです。責任感をより一層強く持ち、一人の人間として成長します。」と記している。

 そして、不安のヘの気概は「新しい環境での生活、働く始めることは不安もありますが、希望を持っています。自分はまだまだ未熟なところが多いと思いますので1日も早く戦力になれるように頑張ります」・・・がある。


  いかがであろうか。3割の新人になるだろうか。現在「Z世代」との言葉が注目されているが、その特徴は、1996年から2015年の生まれの人で現在の年齢が5才から24才の層を表している。当然今年の新人も含まれるがその特質で注目するのは、スマートフオンやSNSを当たり前のように使いこなすデジタル化に長けている。従って、インターネットを介して自分の考えを発信したり、人脈を広げたりと、いわばネットコミュケーションが日常化されているともいえる。ならば、このパワーは企業にとって新たな風として生かす楽しみであると共に、大いに発揮する事への期待である。

◆将来像も描いてのスタート

 さらに、10年後に向けた初心を問いているのは、工具類トップメーカーN社グループである。その問いは「10年後になりたい人物像」である。回答には、

「グローバルに活躍できる人」「周りに頼られる存在の人」「学ぶ姿勢を怠らず、技術力で勝負する人」「信頼される人」「他人に優しく健康な人」「困ったらこの人に聞けと言われる人」「自分に自信を持てる人」「社内で頼りに技術を力を持った人」「信頼され大きな仕事を任せて貰える人」「誰かのスーパーヒーロー」「真面目で最後までやり抜く人」「身に付けた様々なスキルを教えられる、話しやすい人」「今より自分を出せる人」「自立した考えを持つ人、心身共に健やかで公私ともに充実した人」と紹介されている。まさに逞しく、存在感を得た頼られる影響力を備えたプロ像である。それも企業の目指す、国際的位置づけの志も秘めている。

 このように発信された各自の内容は、配属先でも受け止め、「期待できる」と育てる楽しみを高揚させる。勿論、新入社員に関するに情報は、広報誌のみでない。各社では最善の情報提供策を講じているが、筆者は、各社の研修時には最も重要視して活用して取り組む事項である。

◆実現の喜びの育成は共育を楽しむ

 さて、新人も入社1ヶ月近くなる。どんな成長状状態であろうか。「一人前になる、その第一歩は学生から企業人に早く脱皮せよ」とは小生が新人に説く言葉であるがいかがであろうか。多分に理想と現実の違いに戸惑い、あれこれ自己中の拙論にはまり「こんなはずではなかった」などの心境にはなっていないだろうか。

  今年も育成方法には、オンラインの活用もあり、自宅勤務方式での取り入れもある。従って、対面での指導機会とのベストマッチイングが課題なのだがいかがであろうか。何れにしても、職場・指導者は、新人と真っ正面から向かい合い、共に当社社員として成長する共育を楽しんでいく現実を重ねることに他ならない。それは、当社社員としての考え、行動規範、言動、仕事の基本を徹底した教えと、その育みの重ね。作業指導には「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば・・。と褒めのシャワーを掛けることも効果的である。その掛ける人は指導者のみでなく、職場全員である。だからこそ、新人の「良い職場、良い人達のおかげで楽しく働いています」の言葉はともに共有しているのである。

 さて、今年の育成のキーワードを確認して診ると

◆「考える」このキーワードを求めて、ならば・・

 入社式でのトップの挨拶に「考えることを大事にしてください」との期待される言葉が目についた。それは働き方改革の時勢による「個性を生かす」「ただ言われたことをやるのでなく自分を生かしてやりがいを得たい」「楽しく働く」との若者の働くマインド傾向に対応している事でもある。

 研修では、この期待に応えた活躍ぶりは、訊く、聴く、相談することを積極的に説く。それは、訊く(質問)、聴く(正しい理解)事は学ぶ力であり、学びを生かして考えを巡らすことがチームメンバーとしての貢献心得であり、好き勝手に考えを巡らすことではない。相談するとは、提案内容が組織との整合性如何の確認と、未熟さをカバーしてより良い提案内容にする上で、上司からの支援を引き出すことであると指導している。

 その前提は、新人の新鮮なる発想が所属部署で受け入れられ、実現することが指導者の楽しみであり、企業の採用前提である。その為の実践は次の二つのコミュニケーションの実践が良い。

①寄ってくるコミュ二ケーションを生かす

 ならば、この「訊く」「相談する」の寄ってくるコミュニュケーションをいかに活かしているであろうか。よく耳にする言葉に「何かあったら言ってきてください。と言っておいたのに」「忙しい時に、あれこれ言って来て!」とか「言ってくるはずだ、言ってくるべきだ」「言ってこないから大丈夫らしい、ようだ、だろう」の無精はないだろうか。また、「新人のくせに・・」「忙しい中で指導してやっているんだ、この事ぐらい解れよ」などのこんな真意はないだろうか。これでは、どこに「新人に寄り添って、指導していきます」の心地良い言葉の実態があるのだろうか。

 なぜ、敢えて確認したか、それは、新人の現実は、「訊きたいが」「相談したいが」との迷うことも多い。なぜなら、指導者の忙しい事象を観ての迷いでもあり、加えて、訊きづらい人間性や、現実に観てきた言動ぶりによる人間性の不信が芽生えていることもあるようだ。従って、「訊きに来て下さい」との言葉には「このような人になりたい」「聞きやすい」、「丁寧に教えてくれる」この条件を踏まえての言葉なのである。

②引き出すコミュニケーションの実践

 そこで、心して欲しいことは引き出すコミュニケーションの実践である。それは、「何か・・」あるのだろうと指導者の察しの配慮により、「あのー?」のこの言葉を新人から 掛けさせるだけで良い。なぜなら、そこから自然と「何か」「実は・・・」と話しは進展していくはずだからである。実は、小生は、新人指導ではこの「あのー」と声がけすることを指導しており、質問の仕方の上手さなどは現実はいらないとしている。それは、対応する指導者の「引き出すコミュニケーション」がいかされるからである。なぜなら、引き出しには、指導者側の訊く、聴く、そして内容の確認をし、その対策方法を指導として施しの実践に他ならない。ここに寄り添っての指導が現実化するのである。次に心して頂く実践は、小さなコミュニケーションの重ねの願いである。

◆気配りのひと言シャワーで成長の喜びを・・・

 
 先に記したように、新人の想いが活躍ぶりに生かされ、実施されているか、さらにその実現の成長がどうかを、ひと言のシャワーで喜びとして享受される支援の施しの実践が気配りのコミュニケーションなのである。それは、教えたことのフオローである。なぜなら、教えることは相手に、従来の言動を変える要求であり、それには、新たな努力を強いるといえる。例えば、挨拶一つでも「もう少し笑顔が加わると良いね」との指導は、本人なりに良いと思っていた表情の仕方を、笑顔ですることを組み入れる要求であり、本人にとっては、馴れたことを変えるのは抵抗があり、新たな苦労が伴う。従って、指導されたことの実践継続していくうえで、「素直に取り組んでいる自分の態度を観てください。」「これだけ良くなってきましたどうぞ評価してください」との欲求が芽生えてくる。この心を汲み取っての気配りあるひと言のシャワーすなわち「笑顔が良くなってきたね」「実践してくれてありがとう」とひと言掛けることが良い。このシャワーは心地よく「ちゃんと観てくれている」「自分もできる人となっている」との指導者への信頼が深まる事は周知の通りであろう。ちなみに、認め、労いのこ言葉例として「頑張っているね」「よくできてきたね」「さすがですね」「ここまでできたね、素晴らしい」「期待に応えてくれてありがとう」さらに、「上司も褒めていましたよ。」「お客様が感じの良い社員ですね。と言っていましたよ」と第三者の評価を重ねていくのも良い。

 ここで、育成時のシャワーがけの具体的実践の10ポイントを提起してみよう。

①想い、決意の紹介内容に対して、現時点をから累積した変化を観て、その努力を評価する。そこには、想い、決意と関連づけての良さの説明が生き、理解と納得を得る

②本人が、気がついて欲しい、観て欲しいの欲求を察して、その点に着目してはっきりと褒める。それだけ努力をみてくれているとの喜びを高揚する。

③地味なことでも継続している行動に目をかけ褒めていく。案外派手な行動に目が行きがちだが当たり前の事でもきちんと成す事は素晴らしい事である。

④教えたことに対して、行動変化が目についたら、直ぐに認めの言葉をかけ、何がどうでき たか、その事はなぜ良いかを説く。


⑤報告内容は、訊ねて、隠れている努力、考えの良さ、取り組みの良さを引き出し、 ズバリと褒める。結果までのプロセスでは必ず努力が伴っているとの察しが生きる。

そして、言葉がけ時の心得は

⑥こういう所が良い、なぜかと言えば・・と具体的に褒める。具体的事実への着目はそこまで観てくれているのかと嬉しさは高まる。

⑦くどくならないよう褒める。叉あれもこれも重ねない。褒め所が印象に残らないし、褒められた実感が薄れる。時には煽てととられる事もある。

⑧改善事項は、褒め所を際だて、このような良い点は、他の本人の不安事項でも必ずできると引用する。ここから、本人の無理かなーが払拭される。

⑨褒め言葉には「ありがとう」「ごくろさま」の感謝、ねぎらい言葉も効果的である。認められた、お役に立てたとの喜びに通ずるからだ。

⑩関わりのある人に紹介し、適宜、「指導者が喜んでいたよ」と声がけ頂くよう働きかける。時には、朝礼時に全員に実践事実を紹介する事も良い。


 この実践は、対面指導だからこそ可能なる寄り添いの直なる育成を継続できる楽しみである。昨年よりも育成環境の整いが可能になりつつあるからこそ実践できるシャワー掛けるである。

◆さあー対面型コミュニケーションを生かそう

 アフターコロナが問われる現在。人と人とが直接な意思疎通を生かし得ることが最も大事である。それは、直に向き合って成すコミュのケーションだからこそ、文字、言葉だけの理解でだけではなく、察する、気づき合う、汲み取り合うこの深みある相互理解が成される良さであろう。実は、人と直に接し、言葉の交わし合う対面型コミュニケーションの機会が少ない新人が持つ、対人関係が苦手とする克服への施しでもある。それでなければ、アフターコロナでの直に会っての対面コミュニケーションの持つ良さを生かす事はでき得ない。

 新人の気概をより高め、描く将来の自我像の実現に向けた支援、指導者としての育成の楽しみを是非楽しんで頂きたい。そこには、育成する側にとっても成長の良き機会である。

 新たな人材の企業への期待条件も多様化している。それは、働き方改革、人生100年時代、ライフワークバランス・・の諸説が飛び交うことから、まさに企業での職業人生の有り様が多様化し、個々に判断し決めていくことの必要性が問われている。

 従って、新人育成の目的、指導の有り様も多様性があるのだろう。しかし、脚下を照顧せよとの言葉があるように、足下をきちんと確認し、成す事が肝腎である。それは、育てられる、育てる双方の想いを融合させ、その実現に向けての成長の喜びを共に分かち合えることである。そこには定着云々の不安は無いだろう。

(令和4年4月 研修・講演髭講師 ビジネス教育の(株)HOPE 澤田 良雄筆)

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