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 本コーナーでは、"髭の講師"の澤田が研修で実際に体験し、見聞した事例を、日誌風に纏め報告しています。
 これまでの研修日誌はコチラ。

 

◆北京冬季五輪の活躍に学ぶ
  北京五輪、我が国のメダルの獲得数は18個、冬期最高数であった。獲得選手には初出場での獲得もあり、メダルのランクを挙げた人、さらには、なんと4個を獲得、しかも銀3個に最後の競技では金と見事な実績を魅せた選手もいる。一方「メダルは取れ無かった、しかし、自己の最高の力を発揮できたことが誇りである」という選手もいますし、さらには、出場はしたが報道の目立ちの少ない選手もいた。しかし、いずれにしても出場できたことは国内の選考大会の勝者であることは事実である。改めて健闘された選手に拍手を贈り、そこまでの鍛錬の継続力に敬意を表する小生である。それは、自ら掲げた想い、目標に向けて、以前よりも 、前回出場時よりも力を付け、さらに磨き、現時点の極限レベルまで高めて出場した事実であるからだ。だからこそ結果に対して悔しさはあっても、悔いは無いとの言葉が心に響くのである。
ぜならば、そこには、心・技・体それぞれの現存力は最高であり、その相乗パワーを最高に発揮なされたからである。相乗パワーの最高発揮は並大抵のことでは無いはずだ。それは、たとえ鍛えた技が最高であっても、メンタルのほんの小さな欠如があれば実を結ぶことはないだろうし、また、技術、心がいかに強かろうと、一寸した怪我、体調不良があれば、技・心の相乗力は削られる事になるからだ。

 さらに、団体競技ともなれば、全員が最高で無ければ、個人の心技体の欠如が総力の足を引っ張る事にもなりかねない厳しさがある。その時には、カバーし合うチームの良さがあるから大丈夫だとの考えもあるが、それは相手が弱いときだからこそ通用する論理であろう。

 また、心に響いた言葉として「一瞬」があった。一瞬とは、跳ぶ、投げる、スタート、止める、繋ぐ等々の場面であり、その一瞬の判断、決断により、「良し!」と心意気が乗っての瞬発力の技の発揮であったようだ。さらに、この一瞬に天が力をくれたとの、思いがけない力が加担されたとの感想が加わることもあった。多分その力は、ここまでの、厳しい鍛錬を診ていた天からの褒美であろうか。従って、今持ち得る心技体の相乗パワーを、ここぞと思う場面で最高発揮できたからこそ、勝負結果に対して歓喜の涙もあるし、例え結果が悪くとも悔しさはあるが、悔いは無いとの自己評価になっているのである。勿論 各自の最高に発揮できる技術力に差はあることは事実である。

◆飽くなき学びの挑戦を愉しむ

 さて、この力は,一朝一夕で創造することができるか”それは否である。なぜなら、今回のこの一瞬に向けての挑戦、鍛錬の習慣化は幼少の頃から、あるいは十数年以上取り組んできた選手だからである。それは、苦闘の連続であったかもしれない。かつて重量挙げ金メダリストの三宅義信氏から説かれた言葉に「苦労は楽しい。それは目標に近づくことだから・・。」と直言されたことがある。苦労、努力は、金メダルを掴むその瞬間に一歩近づく事実を重ねるのだから楽しい。との解説であった。だからこそ、新たな苦労の見いだしは,国内だけの鍛錬の機会や、指導者の選択に限らず海外に行くこともある。そして、思い切って変える自己改善での身近な鍛錬では、食生活を変える、嫌いだった走りの練習に敢えて取り組む、肉体の改造への取り組み・・・等々多くの新たな苦労を課しての実践例が紹介されている。 また、団体競技例では、メンバーの協働生活を長きにわたって行い、飽くなき競技への議論を交わす。それは反省と更なる強みを創りだし、個々の力量アップへの相互支援による学習力と習慣化となり、同時にチームパワーの高めのとなる。このチームパワーが実践の場での一瞬に心と、智恵と技とがチームの結集として発揮されるのである。だからこそ、例えミスがあってもそのプレーヤーを攻めない。「いいよ!」次に行こうとの笑顔のチームパワーがより強さを産み出しているようだ。ふと、メンバーが紹介した「笑顔がある事は、諦めていないことです」との言葉が蘇る。なんと、素晴らしい言葉でありマインドであろうか。

◆導き、支援者へ謝念がより学びの充実を生む

 世界最高の闘いとは、このようにちからを付け、高め、実を結ぶのだとの学びを享受できた五輪であった。加えて、メダリストのインタビューでの応答にも学びがあった。それは、今回も「感謝」「おかげ様」の言葉が必ず最初に紹介された事にある。感謝の対象は、心技体それぞれの高めに、的確な指導を施してくれたコーチであり、支援しつづけてくれた家族だったり、企業等の支援組織にもあり、そして、地元はじめ国内外の人々への感謝であった。勿論、厳しい天候や気温に左右される競技会場の最善の条件整備への関係者に向けられた声に我が国の選手らしさを感じた事は言うまでも無い。
 まさに、選手の闘い、成績の陰にはこの人ありといえよう。それは、力を付け、力を磨き、力の実の結びには、自身の飽くなき進化への想いに向けた苦労を愉しむ努力の重ねがあり、その努力を最適にさせていく指導力があり、継続できる環境の充実である事が再認識できる。

◆新たな年度の取り組み時、成長パワーをどうする

さて、企業活動、社員個々とっても、新たな目標・戦略・戦術を掲げた時から、力を付ける、磨く、実を生む取り組みが不可欠である事は同様である。その実践は人材の育成に他ならない。従って、「社員の成長は我が社の成長。だからこそ人材育成に取り組む」とのトップも多い。しかも、求められる育成能力は、社内での活躍視点で無く、競合企業、世界に対応力レベルである。それは、持続させる企業活動の一環をとらえてみても、新たな開発力の種の発掘、そして、実の結びの過程は世界規模でのネットワークであり、社内外、国内外との協働関係づくりを必要しされている。さらに、市場は地域から国内、そして国外と拡大されていく。とすれば、企業での新たな目標を掲げた人材育成の推進は、いかにあろうか。立ち位置に準じて確認して診よう。まず、

●トップは、自ら学び、育成投資に最善を施す。それは、企業はトップの器以上に大きくならないからであり、トップの人間力(見識・人間愛・改革力・度量・・)の年輪が大きくなった分だけ社員を認め、より成長への環境条件の向上に尽力するからこそ社員力がアップし、生かされる。なぜなら、企業活動の最終決断はトップにあるからである。従って、例え社員の持つ凄い力があっても、生かす手腕はトップによってその発揮が左右される。

そして、社員の活躍舞台である部署では、

●上司は、自身の目標、戦術の実現は、部下育成によって決まるこの事実を本気で腹落ちすることである。それは、目標は新たな高い頂上であり、部下の現有能力では行き着かない。育成せずにできるというならそれは、ここまでの目標レベルの低さであり、部下の能力を最大発揮させていない証である。だからこそ、部下の目標設定に対する上下両者の納得は、不足能力の育成方策を示しているのである。その方策としては、自己啓発の支援、学びの機会(社内外)の提供、直接指導、多能化の育成プランなどを提起することに他ならない。部下メンバーの目標の未達は上司の育成への無精にもある。

そして、部下あるいはメンバーは、

●部下、メンバーは、仕事の新たな仕方を編み出さねばならない。それは、スピードを高める、効率を挙げる、品質を高め、不備不良による付加価値を生まない時間を作らない。その為の能力向上であり、方法の改善である。その実践は、新たな改善へ知恵は、新たな知識、情報、技術の習得による学びのインプットにより、アウトプット(あらたな方法)が産み出される道理だからである。従って、学ぶ事は変える力であり、変えた分だけ仕事力は磨かれ、高まる。ならばどうする。

その学習力を駆使する具体的実践は、上司からの指導、社内研修の受講、自らの参加申請による学びの機会等には貪欲に学び込みを楽しむ事である。肝腎なことは「力は、単なる評論家的自己満足でなく、試し、実践の鍛錬による習慣化し本物にする」事である。その証は、目標達成率に魅せる実の結び如何にある。

さらに、人生100年時代といわれる将来に向けて、自己投資として「時間、金」を最適に生かすし「売れる決め手を持ったプロとして、稼ぎ出す力」を蓄える事である。

 しかしながら力をつけた努力が報われないことがある。その現実は次に向けた力の高めで悲願達成との言葉に変わることになろう。それは、人の持つ可能性は無限にあり、磨き方、高め方の学習方法は無限にあるからだ。今回の五輪でも人類初の技術、大会新記録の事実表現や、また、将棋界での藤井棋士の快挙もあった。ビジネス界でも、類する事実として、初、新た、独自の商品開発もある。それは、ようやく世に出たものもある事は周知の通りである。この事実は、降って沸くわけでもなく、長い研究、数え切れない試作、失敗の連続による得られたデータによる新たな見いだしの実りとしての快挙である。

それはまさに、本人による学ぶ力と指導者の学ばせ方のちからの結集による変えていく継続力の賜である。

◆期待条件に対応した15の力

 人生100年時代、世界的規模での鳥の目の視点で変化を捉え、社会貢献、多様化された思考、働き方改革などの活躍条件が提示される現在である。ならば、対応した社員力とはどのようなキーワードがあるか考察し、次の16力として提起してみよう。

①挨拶人間で常に周囲にオーラを醸し出せる明朗闊達力
②職業観に基づき、高い専門力を磨き、一目置かれる存在感を示せる実績形成力
③常にCS(顧客感動)を高める顧客目線で、自らの活躍施策を発想できる変える力
④上位者の示す方針に対して、個性を生かした継続改革で貢献できる稼ぐ力
⑤環境、社会貢献に国内外、社内外でも実践する社会性に富む言動力
⑥上位者の依頼事項を当事者意識で取り組み、主体的判断と責任感を持った遂行力
⑦新鮮な情報、知識を探索し、自らの仕事に落とし込んで柔軟に対処する構想力
⑧事業家マインドを持ち、人、モノ、金の最適活用で稼ぎ出す経営力
⑨異文化を受容し、国際的に適合できるグローバル感覚を持った多様なる思考力
⑩上司は部下、メンバーを生かし、育て、目標を必達できる育成力
⑪関わる人の信頼に基づく協力関係を築く、リーダーシップによる牽引力

⑫社内外に向けて幅広い活躍を実践し、人脈形成のできる対人関係力
⑬倫理観を強化し、絶対的に不祥事の発生がない信用力
⑭国内外で企業ブランドを、自ら評判を高めるセールス力
⑮プロは自分の金と時間で勉強する学習力
⑯将来のライフプランに、起業を目指す気概保有力

いうことである。

 コロナ禍だからこそでき得た北京五輪報道に時には釘付けとなり、競技経過、結果後の解説、選手の言葉、家族、出身地の恩師、友人等々の生の声をお聞きする範囲での多くの学びがあった。企業活動では、新たな年度を迎える準備の時期、新たな戦略、職場、個人の目標挑戦に向けての人財育成の推進は如何ようか。北京五輪での活躍から得た示唆を、どう生かし、その実践施策を習慣化し、持続的経営の肥えた土壌づくりに、また、生涯現役で活躍できる決め手人間の確立にお役立て頂く事を祈念しての今回の執筆である。

(令和4年2月 研修・講演髭講師 ビジネス教育の(株)HOPE 澤田 良雄筆)
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