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  ホーム>髭講師の研修日誌

 本コーナーでは、"髭の講師"の澤田が研修で実際に体験し、見聞した事例を、日誌風に纏め報告しています。
 これまでの研修日誌はコチラ。

 

◆新入社員への第一の問いかけ 

 岡山県法人会の本年度の新人研修に出講した。15年間継続してのお役立てであるが昨年はやむなく中止であり2年ぶりである。受講者は68人、県内中小企業の新人であり、製造、諸サービス、IT関連、自動車関連整備、営業など業種、職種は多種多様である。会場は感染防止対策を完璧に成す事から、一机一人がけの整えであり広大である。従って、1日研修をいかに楽しく学びあえるか、「何のために」の実施目的に向けて、その実効に向けて細心の気配りと研修スキルを駆使して取り組んだ。 まず、受講者への最初の問いかけは「あなたは、良い職業に就きました」「あなたは良い会社に入社しました」<いかがですか>と2点を問いかける。しばしの沈黙をおき再度「いかがですか」と確認する。無言の反応は様々である。コロナ禍での就活であり、内定に安心し、そして晴れて入社式を迎え、「良し”!頑張ります」と覚悟を決めての企業人としてスタートした。以後34週間過ぎたが各社の感染防止対策の対応により、出社あり、在宅勤務あり、施される研修もオンライン方式も実施されてきたこともあり、多分に理想と現実のギャップに戸惑いもあろう。だからこそ、原点、初心を再確認するサポートとしての質問である。ここでの原点・初心とは、「この仕事に就きたい」との志である。そこにはこの仕事をするのが「好きだから」とのワクワク感あふれるみなぎりの活力を秘めていただろう。それは、真意の程度の差があろうが、面接時でも履歴書に記した内容に結びつけ、強調し、思わぬ質問にもどうにか答えていた。そして、入社時の自己紹介でも、「その志(夢、目標)の実現のために頑張ります。どうぞご指導御願いします」と挨拶もしたであろう。この回帰を促すことにある。受講者に目配りをする。すかさず、「あなたとあなたは、小さく頷きました。会社名とお名前を紹介して下さい」と依頼する。戸惑いながらも「Pホテルの◎◎です」「Dガス(株)〇〇です」ありがとうございました。皆さんお二人に拍手を御願いします」とお願いする。「さて、この二つの問いかけを「何のために」したかと言いますと・・」と話を進める。

●ふっとこんなではなかったなと思ったら初心を確認せよ

 「それは、入社後の現在、「こんなはずでなかった」「つまらない」「辛い」などに類した心持ちがふっと沸いた時、この自己対話を生かし、心機一転する事を望むからです。でなければ、迎えてくれた先輩、関係者は寂しくなろう。それは、先輩自身の入社時を思い起こし、後輩へ期待し、早く一人前になるようサポートしようとの楽しみがなくなるからです。お二人のうなずきには、先輩が思い起こす新人の魅力としての素直さ、誠実、一所懸命さ、イキイキさそして学ぶ力が見えていたからに他ならない。もし都合良く、面接、挨拶時、その場での創り上げたストリーであっても、受け止める側はそうではない。口にしたこと、文字で記した事は約束であり、その実践する責任でもあります。」と確認する。そして、もう一方の切り口から「お二人は、会社への貢献をしました。なぜなら、会社の為に頑張りますと発言したことの実践だからです。先ほど会社名を紹介しました。この事は、会社名を知って頂く、しかも評判を高める貢献だからです」と説く。

 従って「今日一日、単に学ぶことでなく、会社への貢献を楽しみ、明日、研修報告する時には、宣言した初心を、このように実践し、会社にお役立ちしましたと話してみよう。学校は授業料を払って学ぶ機会、企業は給料を保証されて学べる機会である。だからこそ「学ぶ」とは新たな実践を加えて貢献することを楽しむ事です」と受講の動機付けをする。

◆新人だからこその貢献が楽しめる10条件 

そこで、初心を元に活躍する次ぎの10条件を提示し、すでに各社で指導されているであろう内容のフオローヘと進める。

 ①注目の中で新人としての華となる
   (華とはイキイキ、挨拶、笑顔、熱心さ、一生懸命、学ぶ意欲そして素直な人柄)
 今出来ることの最高実践を重ねること
    (あの時にやっておけば良かったの悔いは絶対につくらない、それは自分を粗末にする事)
 基本能力は徹底的にモノにする、 それは100点満点なり
   (プロも元はアマだった。それは基本の完全マスターの専念から・・。)
 プロとは、さすがの能力→を生かして成果を上げ→金を獲る人
   (能力は人材(履歴内容・今後の指導)、成果は実績、その評価によって賃金は決まる。
 ⑤仕事は選べない、ならば適性はつくるモノ
   (向いているかいないかではなく、モノにする挑みが、やがて適性をつくり、好きになる)
 ⑥人は選べない、ならば苦手な人こそ、こちらから心を開く
    (単なる印象での好き嫌いは御法度。異なった持ち味の人だからこそ学べる)
 ⑦解らなかったら訊く、困ったら相談する、この素直さが不安無し、ミス無 しの極意なり 
   
(見栄をはる、未熟な事の自覚無しは、ミスを生む、ストレスを抱える基)
 ⑧叱ってくれる人に感謝、本気で育成してくれる師匠である
   (指導者の鉄則は指導した事ができれば褒め、駄目なら更なる期待でびしっと叱る。)
 ⑨マナー知らずは嫌われる、ビジネスにはネックである
   (先輩、上役、お客様を敬う心が、言葉、振る舞い、表情の品格をつくる)
 ⑩早く一人前になるとは、専門力と人間性の両立
   (自分だけで成長できない好感度高い新人、だから育てがいがある、当然専門力も高まる)

  とし、以後の研修経過では、この具体的内容を講義、全体演習で確認し、目に止まる事実について取り上げ、10条件と結びつけていく。例えば、メモする受講者に着目し、企業名と名前を紹介頂き、他にメモしていた人はどなたか挙手願い「この人達に拍手して頂く。」なぜ拍手を頂いたのだろうか。それは、メモすることは解っている、できる、でも実践しなかったら自分を粗末にする事である。それは「今、できることの最高実践を重ねる」ことである。また、演習ヘの協力依頼して、舞台に上がって頂いた受講者には「一分間の自己紹介をどうぞ」といきなり御願いする。戸惑いもあるが、一所懸命スピーチする。終えた瞬間「〇〇会社の◎◎さんに拍手を」と皆に声がけし拍手を頂く。すかさず「この事は、仕事は選べない、ならば適性を創り、好きになる」との実践です。入社後好きな事だけできるわけではない。「なんでそんなことしなきゃならないんですか」と反論し、未熟な自分に甘えたら愚痴、不平不満で相手を責め、自分を正当化することになる。「先ほどの〇〇さんの「解りました。頑張ってみます」この向かい様が今後生きてきます。それは、「やってみたら案外できそうだ、なんか面白そうだ、そうして続けていく内に好きなってしまいました。」と話す先輩は多いからです。「皆、自分がやればできる可能性を持っているのにそれを生かすことをしない事も自分を粗末にする事です。プロも元はアマだった。本当は、好きな事ができる楽しさでの就職でないならば、今、与えられた業務に、よし、やってみよう、私もできるかもしれない。ここから出発するとよい

●入社動機あれこれ入社後あれこれの話題はあるが・・ 

  承知の通り、最近の入社動機は、安定志向、勤務条件が楽である、福利厚生が充実している、無理しないこと・・・が大方であり、この仕事をしたいからとの職業観はない人が多いとの世評がある事も確かである。しかし、本当にそうなのだろうか。それは、学生の学びの範囲、ネット情報による推論での学生の学生説であろう。入社して現実にそのような事実がどれだけあるのだろうか。三日で退社、一週間で退社、3年で3割退社などの面白さの情報に、大事に育てよ、パワハラはするなとの指導環境の課題が、アルバイト学生から企業人ヘの脱皮できずの新人の輩を産み出す要因になっていないだろうか。もし、ミスマッチな新人ならば、制度化されている試用期間中にお引き取りいただく事が得策である。なぜなら、新人が退社したからと言って企業活動は止まることない。厳しいですというならそれは、職場を強くする絶好の機会である。例えば、業務方法をIT化の活用、一人多種作業の多能化、真に必要・不必要な作業の再仕分けなど現陣容での打つ手はあるだろう。働き方改革のコロナ禍対応と併せて考えるのもよい機会でもあろう。

◆指導時にはそのことが「何のため」「なぜ」重要かを丁寧に説く

 受講への取り組み態度は素直、一所懸命、学びとる意気込みが派手さは目立たないまでも秘めてる受講者が大方である。貴社に入社社員も同様であろう。そこで、指導時にも「何のため」「なぜ」そうするかを施して頂きたい。まず鉄鋼所N社協力企業での研修現場で若手指導での実践例として次の9項を紹介してみよう。

①自分が習う立場で教育する。そこには「何故」「どうして」の説明を丁寧にする。

②概念や仕組みが、どうして決められているかきちんと教える

③きちんと説明し、実際にやらせて、ほめて自信持たせる

④何を意識して行うか、何のための方法や装置なのか説明、十分な話し合いをする

⑤自分の知りうる体験から、その必要性と理由に基づく対処方法を施す

⑥「決まりは守らせる」そのためにも、その必要性を教育すると同時に自分が模範となる

⑦聞いてこられやすい雰囲気を日頃から創っている

⑧若い人は、ほめると自信がつく、教えたことがきちんとできればほめている

⑨ただこうしろといっても不服なようだ。論理(仕組み、理由など)を説明している。

などがある。共通しているのは、ただやり方だけの指導でなく、「何故か、どうしてか」の説明をしっかり指導していることである。正しい仕事のできる育成には、ハウツーでなく「何故どうして」のハウホワイの指導実践であり、「なぜできない」「そんな事は言わずとも解るはずだ」と攻める前に、それは「何のため・なぜ」の指導無精にありはしないかの確認にある。

◆「何のために」この真意追及を怠らないこと

 「何のために」の追及は、新人指導だけに限らず日常の業務推進でも不可欠である。建築機材国内トップメーカーのS社H社長は、経営者の学びの場、倫理法人会で「コロナ禍だからこそ、改めて業務の現況を再点検し、今後のよりよい企業活動を構築するよき機会である。そのキーワードは「何のためにそれはするのか、なぜしているのかの真理の追究にある」と提起した。その真理とは、経営理念であり、それに基づく戦略との整合性の追求である。との事だ。案外、そうしてきたからとの既成概念での取り組みでの多忙を極めはなかろうか?との課題提起である。周知のとおり、昨今の企業の取り組み事例にコロナ禍でのオンライン、テレワーク、ZOOM、リモート推進での利点にこの類いの取り上げの多い。H社長は「なぜの5段階」で変える事の企業活動を推進し進展の業績を重ねてきた手腕は高い。だからこそなぜの原因追求型から「何のためにそうする」との原点回帰に基づく一段と次ぎの高めに向けた活動への取り組みである。そのためには、更なる人財育成が不可欠とし、一層の「人だから持ちうる力」の最高活用とDXとの融合に力を注いでいる。「何のためにそれをする」まさに、この企業環境だからこそ問いかけたいことである。

◆「何のために申請する」それはアフターコロナの企業進展の実現だから

 この活用に向けて、地元商工会議所主催「企業再構築補助金申請対応セミナーを開催した。小生の役どころの部会の実施であり、時節柄多数の受講者が熱心に聴き入った。講師は中小企業診断士K氏が担当。K氏は家具メーカー経営者であり、受講者の立ち位置に即した指導に定評がある。そこでの強調は「なんのための申請か」それは、現在の強みを近未来に向けて生かす絶好の機会として、再構築し、より発展を期す為である」と軸付けした。そのためには、SWAT分析で強み、機会をきちんと掴みだし、この実現に向けての再構築の着目ポイントを明確にする。そして、実践策として、新たな製品(商品・サービス等)の開発、新たな販路開拓、新たな顧客創造するストリーを明確にし、利益創出の数字を示しての経営計画書の作成を説いた。制度説明、構築への取り組み方法、申請方法など十分ある準備を整えての講義は理解を高め、修了後K講師への質問、相談が多く寄せられた。


 「何のために」。何事も、目的をきちんと踏まえての最適な論理構成による説得力を持つストリーがどうしても必要な昨今である。コロナ禍での「学びの現場」で掴んだ「何のために」との言葉に着目して記してみた。コロナ禍だからこそ、個々に、また大勢が方向性を共有化して実を産み出す源は、この「何のために」を本心、本気で探り、現場、現実から掴み出した論理的データーを元に、成すべきことを提案し「なるほど」との理解・納得を得ることが肝心だと確認できた。そこから、アフターコロナに向けた新たな活力が湧き出すのである。

 「今日はありがとうございました」と新人受講者が講師席に来てかけてくれる感謝の言葉は、エネルギーを感じると共に、小生の喜びの実感である

◎新人フオローアップ研修、新任リーダー研修、指導実践講座・・・などお手伝いいたします。どうぞお気軽にお声がけください。    髭のつぶやき

(令和3年5月 研修・講演髭講師 ビジネス教育の(株)HOPE 澤田 良雄筆)

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