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 本コーナーでは、"髭の講師"の澤田が研修で実際に体験し、見聞した事例を、日誌風に纏め報告しています。
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■生涯現役を楽しみ続ける人の二つの軸

 春、晴れやか、華やか、それに新たに気の張る時節である。コロナ禍でも新入社員研修、新役付き者研修でお役に立てる楽しい日々である。そこで訴求するキーワードは

「人生100年時代、いかに生涯現役で活躍する自身を育て上げるか」としている。現役とは、お役に立てる決め手を持ち、頼られる存在感ある人として生涯に渡って活躍を楽しめる人である。その決め手は次の二つの軸である。

   一つは専門力であり、これには専門知識(広く、深く、新鮮、論理性)技術(匠、熟練、多能、独自、応用)、新を生み出す開発力(経験を生かした改善・改革、想像性、破壊と創造、挑戦と継続による結実)であり、さらには仕事以外の特技も加わる。いわば、自身の「売り物はなにか」と問われたときの決め手である。

   二つ目は人間力である。これには、人間味(感受性、温かみ、謙虚、人望)、協力を取り付ける掌握力 (信頼、適切な評価の施し・感謝心)、指導力(是々非々の育成・感化力)、人徳(利他の施し、言行一致の実践、倫理的実践観)である。

 この二つの軸を持った人財は、いわば「憧れの人」として、現在でも更に将来でも寄ってきてくれる人が絶えない存在感を確保している。

□一隅を照らす人 その存在感で良い

 それは、現在であり、将来においてでもあるが、ただし、その憧れの大きさは、決して、大きな実績の達成者とか、広く有名人としてでなくても良く、敢えて言うならば「一隅を照らす花」でも良い。地味だが、目立たないが、しかし「あの人がいたおかげで」と感謝を得るお役だてのできる人も多い。昨今のスポーツ界での凄い成績を獲得した話題選手のスピーチにも必ず「チームの皆さんのおかげです」と感謝の言葉があるのはその一例といえる。各自が自ら選び続けて活躍する職業人生の舞台は、職業に貴賎はないし、どの業界でも大中小零細の規模を問わず、その道の第一人者であり存在感のある人に他ならない。 更に企業組織に着目すれば、工具トップメーカーN社は「当社は全体最適とのスローガンを掲げ、一人一人が担当する職種、立ち位置で成すべき役割を最大に果たし合う。この強さが選ばれる企業としての社会への貢献力であり、企業活動の目的である」としている。

□今できる最高の施しで、貢献を重ねる楽しさが将来を創る

 しかしながら、一朝一夕にその決め手人財にはなれまい。先日、出版業を営むI氏と談義を交わした。I氏はかつて小生が拙著を初出版したときのご縁で、その見識と先を読む推論には多くの学びを頂く敬する人である。交わす話題で、この人生100年時代にどう生きる、どう活躍するかに論点を置いてみた。諸処の異見交換する中で「小生は講師活動でも、一隅の花である。それは、野に咲く野花にすぎない。しかし、小生の花の醸し出すエネルギー、提供できる独自の良さの提供、そして、観て頂く事によるほっとする一息、そして新たな歩みだしヘの背中の押しでお役に立てている実感は嬉しい」と紹介した。

 例えば新人研修後の感想文に「新人は何もできないわけでない。挨拶でも最高実践する事が自分を粗末にしないことである。まず、新人として与えられた仕事を存分にこなすこと、そこに、自分が秀でた得意分野(就活で売り込んだ筈)を活用する楽しみを持つとの話しは、気負いと不安感を持っていた自分に安心と一歩踏み出す勇気を頂きました・・」と記している受講者もいる。

 この感想を引き出す源は何か。それは、研修企画および講師として既に40年余、延べ6,000(日以上)日とは、研修講師として1日研修はじめ多数日数の研修で、受講者に密着しての現場、現実、現人(個々の人の)指導、支援を第一義としているからである。従って、大きな会場での講義でなく、受講者の特性(業種、職種、役職、企業規模、企業の歴史、理念、そして対象者の学歴、年度の傾向・・)を踏まえての落とし込んだ講義・演習の工夫を担当者と摺り合わせて実施に入り、研修現場での進むみに従って診えてくる全体の変化、個々人の変化を捉え、最適な褒めと、アドバイスを施す事である。まさに泥臭く、一桁の受講者数でも親身になって向かい合う一輪の野花の強さである。だからこそ上記の新人からの「ほっとした」との安心感との言葉を引き出せるのであろう。

 この信条は、新人研修に限らず、リーダー、ベテラン層の研修でも各所に演習を組み入れ、その演習で気付いた改善点を示唆し、ほんの少し変えていく成長が、決め手を磨く事である。更に、立ち位置が変わる、役割が変わる度の錬磨がより決め手磨きとして高まっていく。その過程は「他の人に劣ることを恥じるよりも、昨日の自分に劣ることを恥よ」の自己の可能性を信じ、着実に本物化していく。そのパワーがやがて「あの人に訊こう、頼んでみよう」との将来に向けての決め手ある存在感の確立に近づく。このストリーを軸としての指導支援である。

 つまり、新人は、学び、新風を施す人、リーダーは上に立つ人としての存在。ベテランは一目おかれる「いてくれる人」としての存在感、そして、やがて定年ならば、その後は自分が選んで活躍する場であり、活躍条件や、働き方は自己決定でも良い。専門力でも、企業での専門力だけでなく、特技での活躍の場もあり、人望により社会活動の存在感も依頼される。だからこそ100年時代を楽しく生きる実感が得られる。 単に息しているだけの100年では勿体ない。「お役に立てる存在感」は多分に「あの人のおかげで」と語り継がれる人であり、故永六輔氏が提唱した本当の死は「語られなくなった時」との言葉が思い起こされる。旅立った後でも「施した決め手が生きている」この現実は学びの糧としていることも多い。

□決め手を生かし貢献できる基本力は、感謝の心で話す力である

  ならば、決め手を生かして「おかげ様で」といわれる施しどきの基本力は何かと提起すれば、それはお役に立てる機会を頂いた感謝での施し時、及び、指導支援を頂く感謝の心で伝える話力である。それは、筆者が6,000日余日の研修でも必ず「話力・聴解力の向上の実践スキル」を織り込んできた実績に他ならない。その信条は、どんなに決め手を蓄えていてもそれをお役立て無しでは、自分を粗末にし、実に勿体ない。それは、宝の持ち腐れであり、しかも、「あのときに言ってあげれば良かった」こんな悔いや、「人は人、別に言ってあげる事ない」との冷たさは、その人の人間性の豊かさを磨くことはできまい。それでは、例え、専門力があっても「あの人に訊いて(尋ね)みよう」「頼んでみよう」との関わる人の心を喚起することは難しい。

実際研修現場で、話す事が苦手、もう少し話せたならとの言葉を多く聞く。また、「私は、話しがうまい」との自意識過剰な輩の不愉快に聞かされる場面もある。だからこそ、「もう少し、こうすれば」とお役立ち心がうずき、指導、支援に尽力してきた。勿論、話しの達人、スターを育成することではない。「もう少し話しに自信持ちたい」「、基本を一度確認したい」「自分の話しがどうか確認したい」との「もうちょっとうまくなりたい」との想いに応えての支援である。だからこそ、他の人と上手さを競うことでなく、話す事を職業とするのではない。現在の活躍期待に応えた持ちうるパワーでお役に立つための伝える機能としての話力の磨きである。

ならば、人生100年時代、現在の職業人生の舞台では、どのような感謝心で話力向上に取り組むかを提起してみよう。

□新人時は、将来の決め手づくりの土台を育てていただく感謝で話す

 専門力の進化は、守(基本)・破・離と右肩上がりに進む。その最も大事なことは土台である基本をしっかりと習慣化することにある。だからこそ、指導者が育てがいのある新人としての対応が不可欠。その話力は「ありがとうございます」「御願いします」と指導して頂く感謝であり、その時だけでなく、翌日、翌々日と重なる謝念に基づく継続にある。そして素直に「はい」と受け入れる返事が肝心。「何事にも一生懸命頑張ります」と綺麗な言葉で抱負を述べても、人・する事の好き嫌い、都合の良い言い訳を正当化しての返事は困りもの。それに敬いの心の表現としての言葉遣い、語調、表情、振る舞いに、新人らしい誠実・ハキハキ・熱意の伝わる話しぶりが「良い新人だ。指導するのが楽しい。ありがとう」と指導者からの感謝の言葉が新人にかけられる。育てられる感謝の心での新人としての話し方が早く一人前になる秘訣でもある。

 従って、新人時の必要話力のキーワードは「対人関係をつくり深める会話力」「育てられ上手の話し方」「叱りに感謝、その受け方」「報連相の実践」「プレゼンテーション」そして、「訊き方・聴き方」・・がある。

□リーダー時は協力頂き、その実践に感謝の心で話す

 上役は、自らの想いを関わる人の献身的な協力を得て、貢献の証として実績を蓄える楽しさがある。だからこそ、ここまで尽力してくれた方々への「おかげ様」の心で新たな協力を依頼する話し方にある。従って、感謝の心を生かした話し方は、単に指示するだけでなく、本人の能力の認めをしたうえで、なぜ、あなたに依頼するかを丁寧に説明する事にある。以後、その協力ぶりに気配りし、褒めの言葉の施しを無精せず、時に受ける相談には、自身の経験、見識、立ち位置での権限を生かしたアドバイス的話し方が望ましい。そこには、上から目線でなく相手の心中、能力を踏まえて、「ちょっとした気配りのある話し方の工夫」が良い。 従ってリーダー時の必要話力は、協力関係を構築する折衝、会議での発言・質問・応答、指導での論理的説明、上に向けた提案、モチベーションアップの一言、そして最も大事な聴き方・・・がある。

□ベテラン層は「双方のおかげ様」を生かして話す

 メーカーで活躍してきたベテラン層の研修は楽しい。大手N製鉄ではエバースマイル研修と称して、「いつまでも笑顔で活躍する」との合い言葉を共有しての研修だからである。メーカーであるから、受講者はその道の達人、職人肌の人が大半で、皆、入社時に目で覚えた時代から、多くの課題に取り組み新たに編み出した技能、技術に誇りを持ち得ている社員である。それに、「家族のおかげです」の謙虚さも厚く、更に社内外にお役に立っていきます」とのこれからの職業人生への気概を持ち合わせている。

 ちなみにベテラン層、定年者への周囲からの見方は二つのタイプがあり、それは「あの人まだいるの、この職場に残るの・・」と「あの人いてくれるの」である。 前者は論外、100年時代、職業人生の定年は、企業の定年で終わることでなく、自分で決めるのである。だからこそ「いてくれるの」との言葉は、頼ってくる存在感ある人は生涯現役であることを確認してきた。更に以後の周囲の人ヘの献身的施しが、新たにおかげ様の感謝をいただき活躍の場の継続、あるいは社外からの寄ってきてくれるお声がけが発生することが現実だ。ここに生涯現役の実像がある。

 ここでの話し方は、訊いて(尋ねて)きてくれる感謝の心で話す事である。それには、丁寧に話すゆとりで、自分の経験則での話題の提供と、若い人からの新たな視点での出される異見には、学びを頂く広い心で耳を傾けることにある。これがない、話し手では、頑固、古いとのイメージができ、秘めている専門力の施しの機会は失われていく。特に専門力の技能伝承は自己の分身を宿す事であり、以後、後継者が育ててくれるこんな嬉しいことはない。だからこそ、訊いてくれる、教えを請うてくれる・・その寄ってきてくれる心を喚起する話し方が良い。必要話力は説明力、現物、現場を活用した話し方、稲穂の一言の掛け(実るほど頭を垂れる稲穂かな)相談を受ける聴き方、指導話法・・がある。

 いかがであろうか。このように、現在の活躍の舞台で自身の決め手を育て、生かしての活躍が100年時代の存在感ある生き方を楽しめる事である。職業人生今、何歳、その舞台は?感謝される機会とは・・ならば話し方に着目し、そのちょっとした磨きに心することが生涯現役を実像化する事に結びつく。I氏は一言「それは感謝話法ですね」とつぶやいた。

 新年度の新たな活躍、また人財育成計画にも考慮する上でのお役立てになれば幸いである。

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(令和3年4月 研修・講演髭講師 ビジネス教育の(株)HOPE 澤田 良雄筆)

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