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  ホーム>髭講師の研修日誌

 本コーナーでは、"髭の講師"の澤田が研修で実際に体験し、見聞した事例を、日誌風に纏め報告しています。
 これまでの研修日誌はコチラ。

 

 新年度に向けて人財育成に関する指導依頼が多い昨今、研修目的、希望内容は様々であるがご依頼者の条件(業種、職種、組織での立ち位置。・・)を踏まえ、オリジナル企画を提案をさせて頂いている。特に支援事項として厚慮している研修内容は必ず話力・聴解力を組み入れていることである。なぜなら、いかなる職種、立ち位置でも活躍は、専門力・自らの人間力を生かした言動で「人にお役に立つ働きを楽しむ」事にある。その過程での最も駆使する基本スキルは伝える力であり、伝え方には、言葉・文字を生かす、物を生かす、昨今でのデジタル機器を活用するなど方法は多岐にわたる。しかし、その底に根ざす基本能力は話す力、聴解力に他ならない。

 ご存じのように、目にする図書には「話し方」に関するテーマが実に多い。それだけ苦手意識、向上意識の高い必要性が高く、既に30年余人財育成支援で、話力向上の実践指導してきた筆者にとっての実感でもある。

 従って、アフターコロナの環境下でも、新たな活躍の舞台を得、あるいは託された新職場で、人との関わりを積極的に楽しみ、新たな活躍で貢献を重ねて欲しいとエールを送り、その実現に向けて話力向上を是非との願いである。今回は、この切り口から、話力向上の指導実践策を紹介し、お役立てとする。但し、筆者の指導原則は「対面中心」である事を前提にさせて頂く。

◆なぜ話すのだろう、それは感謝の言葉が嬉しいからだ

 話す事は、話す事自体が目的でない。それは、自分の想いが、必ず相手にお役に立てる、だから話すのである。そのためにも、相手の理解を得て、納得を喚起し、共感を引き出し、ならば試してみよう、実践してみようとの活躍ぶりを変える事にある。その実践の結果を、聴き手から、「あのときに、「お話し頂いた事を実践したおかげで、業績も伸ばせました」と感謝の言葉を頂く。この事が話す真の目的であり、話す喜びに他ならない。筆者にとっても、先日、思わぬところでお声がけ頂き「久しぶりです。10年前になりますね。管理者研修でのスピーチコメントで、私の話しぶりに注目して「人生も山登りも同じ、登るときは頭を低くし、降りるときは頭が低い。人との関わりでも同様、上から目線で空威張りしている人に人は寄ってこない。成功を成している人は、共通して謙虚、誠実、真摯に人への関わりをしています。だから、「俺がおれがの「我」を捨てて、おかげおかげの「げ」で生きること」が、人の上に立つ人にとっては重要です。それは、多くの人の力を寄せて頂き、事を成していくのが管理者だからです。」と、未熟な私に率直に助言を頂きました。以後、部下への話し方に改善を加えてきました。現在、社長として活躍できているのもあのときの指導のおかげです。」との言葉は嬉しい。読者諸氏も「あのときに聞かせて頂いた」、「あのときに教えて頂いた」、「あの一言が・・」と「おかげ様で」と感謝された体験は多いことであろう。

◆話す目的と実践話法の確認

 では、話す目的とその方法を関連付けると次の4つの柱になる。それは、

①対人関係を創り深める=これには挨拶・会話・雑談がある
②正しく理解を得る=説明であり、伝える内容を正しく伝える
③変える意識を喚起する=説得。単に分かったではなく、なるほどの納得をうみだす
④改善する覚悟を決める=忠告・注意により、態度変容(心・行動の変化)を実践する

  事です。

 この、目的、方法が最適に組み合わされて、講話、テーブルスピーチ、会議での発言、プレゼンテーション、質問・応答、報連相、指示、提案、折衝、交渉、指導場面での話・・を日常諸処の場で実践されている。勿論、話す相手は、部下、上司、他部門、他社、お客様、家族、社会活躍での関わる人などその特性は多岐にわたる。

 従って指導現場では、話す準備でも、聴き手の特性を把握して「どうお聞き頂くか」を前提に、筋道立てて、簡潔に、わかりやすく話す準備を整え、場対応では、感じよく話す、聴き手に目をかけ、聞き手の内容の受け止め、反応状態を察して対応した話の展開を指導する。とかく準備というと、原稿を書き、暗記し、そこに演技を加えて「どう話すか」に注目するが、それは一考を要する。なぜなら、話しの場では生きた人と人との交わしであり、話しも生きている。従って、単に用意してきた内容を口から”放す”事ではない。


◆体験によるスキルアップの楽しみ方

 その模擬体験が、基本条件の確認を踏まえての演習であり、分かっている、できる、やっている、その現状の診断機会である。それは、改善ヒントを体得するには自己体験が最適であり、しかも、持論での体験でなく客観的診断による適切なヒントを掴むことに結びつくからである。筆者が施している演習例を4つ紹介してみよう。

①自己紹介・会話・他己紹介

 対人関係づくりを楽しむ話と、いかに相手の話を聴き、相手を知る事の大事さを会得する実感づくりである。すすめは、自己紹介カードを配布し準備をする。4人グループ編成で、一人づつ自己紹介スピーチ。その都度良き人の良き点を小生から褒め、全員で拍手。良さを基本事項として次に生かしていく。次ぎに隣り同士でペアーを組み会話演習。話題テーマは小生から告げ、自由に会話を交わしていく。ベルを入れ、次なる話題テーマを告げる、即、前のテーマを打ち切り新たなテーマで会話を交わす・・・何度か繰り返す。終了。

 まず、相手の人物印象を相互に紹介する。共に親和感が高まる。次ぎに「会話は楽しかったですかと」問う。「ハイ」の回答、「どちらが話しかけをしましたか」と問う。改めて日常の会話時の「自ら声がけする」「受け身の自分」を確認する。ここまでの演習で掴んだ話し手の良さ、聴き手の良さを診断し、そのOK、改善ポイントを説き、会話弾みのヒントをまとめ講義する。

 更に、いきなり隣の人の他己紹介を仕掛ける。「えつ」と驚く。自己紹介で聞き、人物印象を話し、会話で理解し合っているにもかかわらず困った状態に陥る。ここから、聴くことの責任、その場の点対応話しとするのでなく次のビジネス機会に線対応として会話を生かす事を説く。

②図形説明による正しく伝えるヒントを掴む

 「説明」とは、「説いて、明らかにする」と書く。この説明が「自分1人で飲み込んでいて、話の内容がつかみにくい」その結果、相手の納得が得られず、協力や信頼も得られない。これに比べて、説明上手な人は、周囲からの評価も高くなり、信頼を獲得できる。しかも重要点は、正しく伝わることである。伝える側の内容と相手が理解した内容に相違が生ずれば、以後のトラブルの発生の要因ともなる。そこで、正しく伝えるスキル体得に向けての演習は、条件をつけての図形説明の取り組みである。それは、説明者は、手渡された伝えるべき教材の図形は相手に見せない。そしてゼスチャー無しで言葉だけで説明する。聞き手は質問なし、画いている画は見せない。と完全なる一方通行方式とする。おわかりの通り、普段このやり方がおおよそであるからだ。説明に手こずる。なかなか画けない。が、「できました」と早々の組みもある。終了。聞き手が画いた絵と教材を比べる。「えつ、」と驚く。いかに正しく伝わっていないか、いかに正しく聞けていないかの体験は、日常の意思伝達・指導後の課題を浮き彫りさせる。実感から導き出した改善点は、正しく伝える・正しく聴くスキルアップ法として今後への役立てにする。

1分間の即題で筋道づくりを体得する

 話の筋道はテーマに対する「こう思う・主張」←「なぜならば・根拠、理由付け」→「だからこう思うのです・結び」が三段階法としての基本型。従って、簡潔、明燎なる筋道づくりにの鍛錬は、お題拝借1分スピーチである。日常良く聞かれる「話が長い」「何を言いたいか解らない」「一言で言えばどういうこと」と話し手に対する聞き手からの要望への解決策として有効だ。また、ビジネス現場では突然「この事について端的に教えて下さい」「どう思いますか」「意見を述べて下さい」「態度を決めて下さい」・・と即意思を問われる事も現実。こんな場でも即題演習での極意を体得していれば一応の話の形はできる。

 実施プロセスは、あらかじめ受講者の特性に配慮し、テーマカードを多数作成しておく。演習テーブルにカードを伏せておき、実習者は一枚取り上げ、テーマを確認する。すぐさまプレゼンテーションに入る。うまくいかなくて元々。恥かき道場。この申し合わせ事項で気楽さを促すが、実際は無我夢中。なかなか話には入れないこともある。1分経過ベルで終了合図。感想を訊く。「テーマに対する得手不得手、気持ちの高ぶり、途中で真っ白・・」様々だ。すぐさま当方から内容、筋道を確認し、コメント。興奮状態であるから内容の確認は効果的。ならば、「こうすると良いね」と、本人の言いたいことを筋道の基本に併せて、小生がスピーチモデル例を実演する。本人のみならず受講者全体に対して、その場で共有した教材を生かした指導の施しである。当初「そんなこと無理・・・」と思ったが「思ったよりもできた」この現実も楽しい。ちなみに、30年間月一回継続指導している話し方教室では毎回、この演習を重ねる。受講者には「今回は、どんなテーマか楽しみです」とのりが良い人もいる。筋道の基本形も体得でき、その場でさっと閃く身近な体験談を生かしてまとめ上げていく見事さが、会社で、サークルで、地域の会合でうまくいきましたとの現実も嬉しい。

④ビデオ撮影による自己診断これも良い

 自分のスピーチをビデオ撮影で生に確認し、そこからの気づきの支援と改善ヒントの掴みは効果的演習である。実施は、筋道、話しぶりの基本事項を確認し、2分間のプレゼンテーションの準備に入る。そして、実習・撮影に入る。再生し、診断表に基づき本人の感想、加えて他者からの所感(OKポイント・アドバイスポイント)を頂き、講師の総括指導を施す。初めて自己の話しぶりをビデオで観た事の新鮮さと、照れながらの感想は実感であり以後への改善に功を奏する。日常話す機会の多い対象者だからこそ、自信なき人の自信を持つ手がかりの掴みや、とかく自己流満足者にとっての確認を通しての気づきも多い。ここでは、上位者対象時には特に話しぶりにも留意する。それは話の味は人の味、言葉使い、語調、態度はその人の人物印象として相手に影響を与え、協力関係を如何様にも変えている現実だからである。

 話しぶりが変われば、相手が変わる、相手の変わりは、自分への寄り添いが変わってくる。そこには人間力の向上への示唆も含む指導である。

◆それではちょっと自己診断

 日頃の話す場でのいい対応力の自己診断として次の11項目を提供している。ちょっと診断してみることをお勧めする。

1)話す前に内容を整理して、筋道を簡潔に整えていますか
2)自分は何を言いたいのか、まずはっきりとさせていますか
3)話すとき、感じた事や思ったことを素直に表現することができますか
4)話す時に、相手の立場に立って話す努力をしていますか
5)聞き手に応じて言葉に配慮して、わかりやすい表現を心がけていますか
6)聞き手をよく見て、反応を確かめながら話すようにしていますか
7)とっさの場面でも、機転の利いた一言を言うことができますか
8)相手から話された内容を、次に生かして話を進めていますか
9)苦手な人に対しても、なんとか笑顔で話しかけることができますか
10)話をするとき、態度、表情、服装、声にも注意していますか
11)気になる反応が出されたとき、冷静に話を進めることができますか

 いかがでしょうか。全てわかっている事です。でも、必要なことを・必要なときに・必要な人に・必要なだけ・必要な方法でどれだけ実践されているでしょうか。

◆演習指導のこだわり

 紹介してきた指導実践は、演習、気づき、振り返り、改善点を見いだす事にある、即ち、そのためには基本条件をきちんと共有化し、その内容を踏まえての演習、そして本人、他者コメントで確認できた条件は今後の更なる話力向上への変えるヒントに結びつけていく事に他ならない。更に留意すべき事項は、研修目的にリンクさせて、その立ち位置、職種に落とし込んで最適な話し方を実践するための指導・支援に徹することにある。それは、全体、個人に切り込んでの指導でもある。だからこそ演習指導は、印象に残り、改善による話力向上の実感を享受されるのである。

 今朝も経営者セミナーで講話を聴いた。講話者は筆者が長年担当してきている話力向上セミナーの受講者である。早速、終えた後肘タッチし、進化ぶりが見えるとの所感をお送りした。

 話力向上このニーズは対面場面に限らず、オンライン、リモート方式での話し方も、更なる配慮条件は加味されるが基本条件は共通である。

 新年度の人財育成の実施に向けてお役立て頂ければ幸いである。

(令和3年3月 研修・講演髭講師 ビジネス教育の(株)HOPE 澤田 良雄筆)

 新年度新入社員、新任役職者研修、話力向上研修をお引き受けします。

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