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  ホーム>髭講師の研修日誌

 本コーナーでは、"髭の講師"の澤田が研修で実際に体験し、見聞した事例を、日誌風に纏め報告しています。
 これまでの研修日誌はコチラ。



□感染騒動で目にした寄り添いの話題

 寄り添うとは、ぴったりとそばへ寄るという意味合いがある。「寄り添って歩く」よく口にする言葉だが微笑ましさと、共に結び合う心で目的地に向かっていく光景が目に浮かぶ。昨今寄り添う事例として感染騒動においての記事に共感した。

*滞在するホテル前の砂浜に「がんばってください」、「心は一つ、また来てね」と若い市民がメッセージを画いた。さらに横一列に並んでエールを送った。滞在する人が窓から読んだ、観た。そして伝わった感想は「和ませていただいた」と感謝の言葉として紹介された。

*筋萎縮性側索硬化症の闘病生活を多くっているKさんは「自分は難病になって大変だけど、いろいろな人に支えてもらっている。自分も人を勇気づけたい」と折り鶴を折って贈ることにした。まず200羽を系列ホテルに頼み滞在者に届けた。ホテルの人が書いたメッセージには「あと少しです。頑張ってください。鴨川市民より」次いでホテル従業員宛に300羽を送り届けた。Kさんは「滞在者は長期化して大変だと思う。受け入れてくれたホテルの人たちの決断も素晴らしい。みんながヒーロだと思う。少しでもこうした人の励みになれば」と話した。滞在者からは「勇気づけられた」「大変感謝している」との声が寄せられた。故映画評論家の淀川長治氏の言葉に「苦労よ来たれ、大病患わせずして大病の人の気持ちはわからず」があった。寄り添える深さは(気持ちはわかる)自らの体験によることもある。

*また、地元の中学生は「励ましたい」とホームルームで葉書半分ぐらいのカードに思いをこめて書いた。そして届け、ホテルのロビーに飾った。市民からは竹灯籠3,000本で砂浜に「和」」と描き、「あと少しです。ガンバレ。勝浦にまた来てください」などのメッセージをプロゼクターで映し出した。帰宅日には太鼓の演奏でのお送りを試みた。「帰国(滞在)者に少しでもやすらいでもらえればとの寄り添いの心の届けです。「私は正直、聴いたときには不安でした。でも今思えば、市が一つとなり皆様のお力になれたと思う。」TVインタビューの答えた中学生の言葉です。T市長良かった。安堵感を持てた小生だ。師走に、お会いした折、握手を交わし、「市民に寄り添って尽くします」と何度も話され、きちっとした姿勢でいつまでもお見送りいただいた姿が焼き付いているからである。

*また、子供たちの寄り添い心に拍手もした。クルーズ船に待機状態。小生、かつて12日間の洋上研修船に毎年10年間講師として乗船した体験がある。従って船内生活ぶりは多少実感がわく。感染者数が次々と増加。部屋がすべて快適条件か、室外での行動範囲も限定される。高齢者の方々からは持病の薬切れの悲鳴も上がる。早く収束を・・。ご家族のお気持ちはいかほどか。横浜港に来たご家族との電話のやりとりの報道が心を打った。それは、子供(孫)が乗船の祖母にクイズを出す「四角いボールはなに」「うーん・・・わかんない。教えて」「段ボール」「あっそうね。(笑い)」実に微笑ましい。「早く下船して一緒に航海話をしたい」、「聴きたい」そんな目的に向けての寄り添いの家族愛である。 

 まさに、心を汲み取り、欲する意向を察しての施しである。

□安定と挑戦どう融合させるか

新人への寄り添いも同様である。 現在は過去に例を見ない感染予防徹底対策が多方面に影響を与えている。とりわけ人生の大きな節目である新入社員にとっては入社式さえ取りやめの報道もある。とかく、安定志向が目立つ新人にとっては「こんなはずではなかった」の戸惑いの事態であろう。「だったらどうする」実は採用側からの期待は安定にとどまらず「思い切って」とか「挑戦して」の変化対応の行動力だ。ならば、この「安定」と「挑戦」のギャップをどう融合化していくのかが今年の新戦力育成のキーワードである。そこで、新人に提起する事は「就活での自身の,売り込み能力,あるいは潜在能力を自ら発信し、さらには可能性を信じて新たな能力を蓄えた活躍を積極的に楽しむ事。そのマインドは「チャレンジ」です」ということだ。研修打ち合わせでは担当者と共有化する実効ある研修の軸をここにおいている。多分、今年の入社式でのトップの歓迎の挨拶でも「挑戦・積極的に,失敗恐れず・・」の文言は多いであろう。

 感染騒動の収束が見える頃には,企業、職場にこのような新戦力を迎える。早期戦力化を目指しての研修、育成もスタートする。

□寄り素意の前提は心境、欲求を知ること

 まず、新人の心と考えや欲する事項を知ることが第一歩であり、そのためには「新人は何もできないわけでない」と内なる魅力を引き出すことにある。なぜなら就活を通して体得した多くの知識、情報もある。また面接対応でのマナーもあり、何よりも選んだ職種に関する学業もある。必要資格も有してもいるし、インターシップ制を生かして疑似社員体験もあるし、さらには,バイトを通じた組織活動でリーダー役の体験もある。それにIT機器に関する見識、活用能力は高い。だからこそ引き出しによって、新人の自意識による知られたい事項と、こうしたい,こうして欲しい欲求を掴むことができる。この認識を生かした寄り添い指導は,導入段階で話題に活用し「わかってくれている人」との安心感となる。筆者が研修現場で各自に向けてこの点に触れていくと、こちらに向けたアイコンタクトが強まり図らずも一体感を享受できる。

□楽しく活躍するマインドの喚起

次にどうする。それは「やればできる能力をあなたは持っている。いらぬ自己否定で自己の可能性を捨てるな」とは小生の新入社員への支援軸である。安定とは、無理しない,その奥には恥をかきたくないとの保身の心境があるからだ。そこで提起しているのが「注目の中で期待に応えた明るく,楽しく活躍する実践心意気」である。それは、一人一人のオンリーワンの花を咲かせる蕾が、この実践によって育まれることに他ならない。その10項目は

①心の学生服を即脱ぎ、企業人になりきる覚悟を決めよう
②明るい挨拶・返事でフレッシュさを生かし、好感新人のフアンをつくろう
③ビジネスマナーとルール遵守で安心できる一員となろう 

④基本をマスターし、100点満点の仕事で、信用できる仕事人になろう
⑤生活を自律し、かつ、プラス思考で心身の健康を促進していこう
⑥悩み・心配事はすぐ相談し、ストレスをためないルンルン気分で活躍しよう
⑦「金を獲る厳しさ」を肝に銘じて、今できることの最高実践を重ねよう

⑧ターゲットチャレンジャーで実績残し、名を残すプロとなろう
⑨能力の差は小さいが努力の差は大きい。自分磨きを怠らない

⑩ありがとう、おかげさまの謝念を忘れず、関わる人に感謝しよう

 「心が変われば言動が変わる」,学生から企業の新戦力の一員となる覚悟への脱皮が現実の事態に対応する取り組み姿勢を決める。新戦力とは有言実行で勝負する舞台のキャストである。だからこそ期待に応えたキャストしての活躍は楽しい。当初は「できない自分」から「できる人」に必ずなれる成長の場でもある。それは、故野村克也氏の言葉に「日本海の浜辺に咲く月見草」がある。名もなき高校からテスト生として入団して,凄さのある実績を残した人である。月見草が「ひまわり」になった華である。それは、たとえ、現在、他の人より劣っていても、持ちうる能力と、高い想いで精進して蓄えた能力により次に産み出す成果はランクアップできるとの教えである。「今日の我、昨日の我に勝つ」との故美空ひばりさんの座右の銘も同様である。そこに「まずやってみる」とのチャレンジへのガッツポーズが生まれる。

□寄り添いの育成実践

 ならば、チャレンジ精神に基づく学ぶ楽しみをどのように創り、育成の実効を生み出したら良いのであろうか。その寄り添いの施しをここでは3点提起してみよう。

①成長を楽しめる育成デザインの提示

 「頑張るぞ・楽しみだ」それは笑顔で活躍し,周囲からの褒めのシャワーを浴びているかっこよい自画像。この実現に向けての楽しみを共有するのが育成プランである。それは成長の階段を上っていく楽しみを共有化するデザインである。決して綿密なる計画書でなくても良い。目的は、新人がどんな指導を受け、成長できるかを理解し、自から成長するイメージを描く事であり、「学ぶ楽しみへの誘い」である。と共に以後具体的に指導する「何のために指導するか」の整合性を示していける共通項である。

②やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めて・・・

 昔は「観て覚えたものだ」とは熟練者研修で出される言葉だが現在でも観て、真似する学習法は多い。「やって見せ,言って聞かせて,させてみて,褒めてやらねば人は動かじ」とは指導実践の王道である。まず、観た瞬間「凄いな」「どのようにしたらあのようにできるのだろうか」の訊く意思は学び力を高揚させ、その方法をしっかり聴くし,メモもする。わからなければ、質問もする。早く体得する楽しみが沸くから練習を重ねる。できた褒めは自信を作る。この連鎖結果が指導の実効である。肝心なことは、学ぶ楽しさの誘発は「目指す的」に向けての努力である事だ。その的は指導者が「憧れる人」であり,魅せる専門力の凄さと品格ある言動であることは言うまでもない。     

③寄り添う話し方は新人の条件に対応する

 指導者から「わかってくれない」とのぼやきを告げられる場面も多い。その解決はどう話すかを考える前に、どう新人の条件に対応するかを気にかける事だ。気にかけるポイントは理解レベル、親疎のレベル、心情(喜怒哀楽),疲労感、仕事状況等がある。具体的には、伝える工夫では

*わかりやすい言葉に配慮する。これは専門語(技術、業界・社内語等)をどう新人の理解レベルに落とし込むか。とかく、難しい言葉で話す独りよがりの指導は、易しく話す言葉の不勉強さから来る押しつけである。「相手が理解できないのは話す側の責任である」さらに、言葉だけの話に頼ることなく,

*現場、現実、現物の利用である。言葉には限界がある。例えば「いい音ですよ」の「音」を言葉で言い表すことは難解であり,相手の「いい音」と合致はするとは限らない。正しく伝えるには音を出す現物を利用し同条件で伝えることである。

□春夏秋冬如しの育成で安定と挑戦を融合化

*まず春の如し。それは互いに笑顔での名前を付けた挨拶言葉で始まり、楽しみを高揚させる明るく、親和感に溢れていることだ。互いに声を掛け合う習慣が自然と職場生活に柔らかみ,温かみのある関係ができる。指導場面では進歩ぶりに気を配り、向上に着目して、認めの言葉をかけて行く。

*次に夏感覚は熱き心である。話しぶりに熱意が伝わる話しぶりが学ぶ気を高め、自らものにして行く自己磨きに導く。「熱を持って接すれば、熱を持って返ってくる」この言葉は平成のKO王と言われた元東洋太平洋ライト級チャンピオン坂本博之氏の言葉である。氏は現在ボクシングジム経営、養護施設の訪問を通して問題を抱える幼少者への指導を施している。そのときの信念がこの言葉である。

*秋は、論理の指導。それは「how-to」のやり方のみでなく「why」なぜの根拠・理由付けの指導の施しである。言葉の意味、なぜこうするのかの根拠、守らねばどんな事態が予測されるか等など、マニュアル、手順書の記入事項の解説、過去の事故事例、指導者の体験を基にして納得へ向けた指導である。納得しなければ行動が鈍いのが新人特性の一つでもあるので丁寧さを無精しない。

*冬は厳しさである。挑戦する動機付けであり、叱りの施しである。叱る事は難しい、パワハラと取られるとの声がある事も事実。しかし、教育は指導者と新人の「事の善し悪しの共通の物差し」だ。きちっと【叱る】事は、本人に「本気で育ててくれる愛情ある人」との信頼感を強める機会でもある。時には突き放す指導の実践もある。あがきと、学ぶ意欲の高まりの取り組みは「やれば出来る自分」の自信を必ず持つはずだ。安定と挑戦の融合化された素晴らしさとはこの状況を作り出すことである。

 新たな戦力がもうすぐ入社する。厳しい採用活動で獲得した新戦力である。「早期戦力化して活躍をして欲しい。決して退社者が出ないように、ならばどうする。」このような新人研修に関する多くの支援指導のご相談が一段落の時期である。肝腎なことは教育の目的は受講者が変わることにある。それは、従来の当たり前としていた習慣から,新たな言動を体得し自然に実践される習慣作りである。 相田みつをの言葉に

「本の字 本人 本当 本物 本心 本気 本音 本番 本腰 本質 本性 本覚 本願 本の字のつくものはいい 本の字でいこう いつでもどこでも   何をやるにも       みつを がある。

 新戦力として期待され新人にとっても、受け入れ側にとっても,小生にとってもこの本のつく字を一語一語をかみしめ「変える」「変わる」課題への取り組みを楽しむ事であり、本講がその一助になれば幸いである。

(令和2年3月  研修・講演髭講師 澤田 良雄記) 

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