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 本コーナーでは、"髭の講師"の澤田が研修で実際に体験し、見聞した事例を、日誌風に纏め報告しています。
 これまでの研修日誌はコチラ。


◆厳しい時なら思い切って転換、今は人手不足にびくともしない

「全ては笑顔のために」の企業文化

「いつもピカピカ」=磨け、磨け、自分を磨け、仕事を砥石に自分を磨け、を経営理念とし「すべては笑顔のために」のビジョンを掲げているのは,総合ビルメンテナス業務・ビル管理業を営む株式会社A社である。創業から50年社員数240人の中堅企業として、現在はいかような企業環境でもびくともしない企業の強さを持続している。その源は企業文化の素晴らしさにある。先日、ここまで牽引してきたO会長から直話をいただいた。O会長によると、「社員が満足して笑顔で仕事すれば,お客様にも満足していただけます。それは社会や地域に貢献する事となり、この流れが円を描くように循環していきます」と現状の企業活動を聲高にかつ熱く語る。

〇本気で取り組む継続のすごさがそこにある
 
 具体的実践に向けては、「顧客満足と従業員満足で日本一の会社」を目指し、そのための社員研修を惜しまず実践し、お客様に「そこまでやってくれるの。ありがとう」との言葉をいただく会社、そして、気遣い・気配りのできる会社の実現を重ねてきた。その取り組みについては「徹底した継続する凄さ」と称するにふさわしい。その取り組み例を何点か紹介してみよう。

 まず社員満足の取り組みは、社員意識調査の継続がある。この調査の特徴は、はじめの段階では社員からの声は大方不平不満、批判、勝手な要望の回答が多い。従って、トップとすれば「こんなに皆のために頑張っているのに何でそんなこという,勝手なことをいうなとの」憤りの局地に陥ることが多い。だからもう二度としない。O会長はここを超えて3回、4回と重ねる内に、社員から自ら何をどうしたいとの建設的回答が増えてくると明かす。「ここに本気で取り組む覚悟が試されています」と笑顔で語るO会長だ。併せて、従業員と語らう場として設置したのが社長塾である。ここでは「夢の実現」を語り,各自の夢の発表と実践報告の機会も作っている。ここの実践は,従業員の声をよーく聞くことであり、声に対しては「できることはすぐ実行」、今すぐできないことは「なぜできないか」の説明と「いつ頃までにするか」の約束をすることだという。

〇3定活動が凄い
  定位置に置く=これは決められた場所に物を置く事であり、場所、用具の置き場は見える化し絵図に必ず合わせる。その徹底ぶりは物に矢印を記し、置き場所にも矢印を記し一致させる実践である。さらに、引き出し内の徹底は不要となった発泡スチールの板版を再利用し、ここに、鉛筆、ペン、はさみ、定規の形をくりぬき填め込む方式である。1日の終了時には点検し、収まっていない時には直ちにさがす。なぜなら日が過ぎては思い出すだけでも時間のロスが発生するからだ。この実践により机上の利用できるスペースが格段に広くなる。O会長曰く、大凡の机上には、32がコの字型に用具箱、書類、書籍など積まれ、31だけが利用スペースになっている。その上、どこにあるかと、探す時間に費やされていると現状だと指摘する。これでは生産性も上がらない。

 「 人も物も働きのある物は生きている  ならば物も働きに出たら人と同じように元に戻る」これがO会長の定位置の徹底の思想である。

  定品これは全社で利用する機材、機器、材料等は購買メーカーを一社に限る施策である。この利点は、利用者が共有化できることから、異種メーカーで、個々持ちに比べて利用しない時の無駄もなく,全社で余分に持つ事がない。また取り替え品など統一できる事により各自保有の必要がなうい。勿論、購買時の価格交渉での有利性もあり,様々な優位なるサービス、便宜もお計りいただける。

  定数これは決まった数だけを保有し、不足分だけ適宜埋め合わせに必要な数だけ購入する方策である。従って、在庫保管場所は不要である。各自はボールペン黒、赤一本づつ、ドライバー一本・・・と決め、余分に持たない,無くなったら新規に揃える事で良い,しかもボールペンでも軸ごとでなく芯だけを取り替えるこのレベルでの補充である。
 それに、紙ベースからPCデータ化の移行には、各自がするのでなく、担当者を決め、社内一括しての推進を図った。それは分類、タイトルの統一を計り、共有化することにより確認事項時の利便性、担当者交代や退職者の後任時にも困らないですむ目的としてのことである。人も物も働きのあることは生きている。利用されないときは死んでいる。

〇順調→低価格競争→思い切って舵を切る
  実はA社は、創業後時代の良き波もあり順調に発展してきた。しかし、官公庁相手の取引方法のへの変革により低価格競争を迎えた。まさに窮地である。「こんなときだからどうする」ならば、ここまでの官公庁主体取引から,民間向けに新たに舵を切る事を勇断する。それは、価格が高くてもお客様が選び続けていただける「理想とする環境を創造する」企業を目指しての企業経営への脱皮である。 以後徹底的に人、仕事の質の向上に尽力し、業界での「経営品質賞」の最高ランク受賞など見事な発展経歴を重ねて来た。そこには「窮地、危機だからこそ新たな企業活動に変えて来た」ともいえる。 まさに「先を見据え、従来を素直に見直し、そこでの気づきに思い切った舵を切り、変える実践の継続の賜」といえる。そこには、「ものの働きに感謝し良き働きの導きをする」ことにある。 

◆被災地で掴んだ人生の転機
〇ミンミの笑顔が見守るこだわりの施設
  
 厳しい状況,こんな時だからこそ人生の転機と熱く語るY社長とお会いした。Y氏は「冬の白い雪が全ての汚れを消し去り,やがて春と共に新しい生命を生み出すという自然の営みがリサイクル=再生=ふさわしい。」この概念を元に環境・教育施設として開設した新庄市の「ヨコタ東北アメニテイセンター」の社長である。まず目につくのは、建物にも命のぬくもりを与えたというこだわりの表現が、建物の中央にデザインされたキャラクター「ミンミちゃん」(兎の顔立ちをモチーフ)の大きな顔である。遠方からも目に止まり、「あれ、ほんとにリサイクルの会社なの」と「不思議な気がする」と思うほどだ。「実は、このことがリサイクルに共感する優しい心を象徴しています」と語る。

  そこには,Y社長の想いの強さがある。それは「美しい地球環境と、ある限りの資源を守りたい。そのためには子供の時から”環境を大切にする心”を育む為の教育が重要であると考え、子供でも見学できる工場として楽しくリサイクルを学ぶための場を作ることを目指した。このような強い想いの演出と芸術性を融合させて実現したのがこのセンターである。

 そこで、実現に向けてのパートナーが創作家のみのわむねひろ氏(育児ノートの表紙・本文、母子手帳イラスト、TV系キャラクターデザイン、レコードジャケット、企業CIデザイン,大手生保・乳業メーカー契約、京都府ランドマークのデザイン・・・広く手懸けた。その実績の評価は燦然と輝く)である。氏はY社長の考えの実現に向けて、キャラクターとしてウサギをモチーフにした「ミンミちゃん」を考案・デザインはじめ「ヨコタ東北リサイクルアメニテイセンター」建設の総合プロデユース、また商品・包装開発の広範にわたって献身的に取り組まれた。その取り組み姿勢にはY社長も、芸術家のすさまじい集中心に驚嘆したと語る。ちなみにみのわ氏とは小生は30年来の交友である。

〇避難所で閃いた剥がせるトレー
  起点に戻ろう。リサイクル商品はY社長が発明した「剥がせるトレー」である。それは「リ・パック」(食品を保管するプラスチック製品)にフイルムを貼り,利用後は洗う手間無く、剥がして回収、100パーセント再生し、フイルムを貼り再利用できる製品である。この考案はどうして生まれたか、「それは,阪神大震災時に避難した避難所での出来事です。そこでパック入り食べ物をありがたくいただきました。食べ終えた後の出来事です。食べ終えたパックは洗えない。だから次に使えない。なぜなら水がないからです。そこで、ラップをかけて利用することを考えた。窮余の策です。これで、食器を洗うことなくラップを剥がせばすぐ使える。これが多くの人に喜ばれ窮地を救う一端になりました。」と紹介された。これを商品化したとの事です。「辛苦は新たな幸せを生み出す機会」ということである。窮すれば通ずということでもあろう。

〇リサイクル・福祉・教育の合体
  この新商品の開発を起点として循環に配慮した理想的なシステムは、利用→回収→リサイクル工場→とし、そこに福祉(障害者の雇用)そして←障害者の福祉に関わる携わる指導支援者の育成機関(大学学部新設など)→さらには子供への環境教育を踏まえた→アメニティセンターの建設、開設→地域の発展への貢献と全国展開の働きかけへと進展してきた。環境と福祉、そこに教育をドッキングし子供への環境教育にとどまらず障害者の自立生活(勤労、納税営める)への支援としての指導者養成までも組み入れた。

  Y社のこの取り組みに対する評価は高く、循環型社会形成推進功労経産省大臣賞、資源環技術システム大臣賞、それに米国環境気候保護賞・・多くの表彰を得ている企業でもある。

  「あのときが私の人生を大きく変えた」とY社長は語り、「あのとき、人・社会に尽くす50代で迎えた転機、出逢いです」と意義づけたのはみのわ氏である。

◆「あのときこんなことがあったから」と未来で語ろう
  現在は新コロナ感染による国難的状況である。事業経営にとっての影響は大きい。現況をなんとか超える事を念じつつ、だからといって悲観的に陥っているだけでは未来はあるまいと期待を込める。「禍転じて福となる」「苦難福門」との言葉がある。それは厳しい状況をなんとか超えて欲しいと念じつつ、反転攻勢をどう仕掛けるかである。それは「こんな時だから」とそれまでの当たり前のありがたさと、当たり前となっている3ムにメスを入れ、思い切った打つ手を揺るぎない継続により習慣替えを実現することだ。現状の辛さ、苦難が、その解決、改善策(種)を生み出す機会を提供してくれている。そして、その種を育て、根を肥やし、芽を吹き,茎、幹,枝を張るまでの育成を施し、花実の実りを得ることである。その過程では、他力を最適に取り込ことも厭わない度量が生きる。なぜなら、スピード、質を高めるうえでの得策だからである。
 
 現在、地元経済団体でも,現況打破に向けての相談窓口を開設している。持ち込まれる当面の案件としての資金繰り、雇用継続、休校対応・・に対して施される補助,助成策の活用支援に加えて反転攻勢に向けての支援施策もある。小生も一躍を担いつつ、一人で悩まず「こんな時だからこそ,力を借りる,こんな時だから相互に支援し合う,こんな時だからこそ総力を結集して」の文言を現実化し活用する好機である。 

  時を経て「あのことがあったから今がある」と誇れる事はこの上なき幸せである。その起点はこんな時だからこその覚悟と「出来ないことを出来るにする」「出来るのに出来て無いことを出来ようにする
 
 「出来ていることをさらによく出来るようにする。」それは何をどうすることか。新たな発想の生み出しに他ならない。こんな時、幸い得られた学びの機会で掴んだお役立ての提起である。

感染騒動が収束され、反転攻勢に向けての人材育成は欠かせません。お気軽に相談ください。企画、実施(講師担当)と寄り添いの研修をいたします。

(令和2年4月  研修・講演髭講師 澤田 良雄記) 

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