◆託された11(いい人)の活躍指針
農業団体主催管理職候補職員の研修を担当した。全国から選ばれた中堅職員の受講であり、業界の変化のスピードが速く、厳しい環境と新たな取り組みに対応する時。だからこそ、選ばれた誇りを軸に置いての支援指導である。従って、託される管理職としての活躍条件を確認し、その実践力の軸をリーダーシップと部下力を喚起するモチベーションをコアとした。小生からの引き出す施しへの応答や、相互の活躍状況の情報交流、更には今後に向けた課題解決的討議など学び合うパワーは見事であった。研修の最終講で当研修で気づいた事を基に発表された活躍指針を、11(いいひと)箇条としてまとめ上げた。
1.挨拶等ABC(=当たり前の事・B=馬鹿にしないで・C=ちゃんとやる)の実践は部下・ 組合員様に心を込めて、かつ胸を張り実践する
2.引き出すコミュニケーション(時には飲み二ケーション)の実践で、部下の心情を汲み取り、それに応えた施しを実践し、信頼関係を構築する。
3.単なる良い人でなく、相手の事を思い、褒め・叱りを心がけ組織目標の結果を出す。
4.上長・部下に歩み寄り、仕事外も含め、仕事上手・心の通わせ上手の管理職となる。
5.ミーテイングを活かし、多様な意見の取り入れや、コウモリの目(逆、相手の目線)を活 かして、固定観念にとらわれない切り口を違えた発想を広げる
6.上司への働きかけに加えて、下からの報連組を積極的に受け取り、下からの要望事項の 適切な繋ぎ役もする。
7.諸制度の内容を自身が十分理解し、伝える相手の目線で話し、理解・納得を得る伝え方をしていく。
8.マニュアルを利用し、一度は実践して教え(やってみせ、言って聞かせて、させてみて) て以後各自の能力に対応し「君なるどうする」と導く。
9.部下のSOSサインをいち早く気が付き、声がけ、モチベーションを高める
10.制度改正、新たな活躍要請等には、経験則にはまらず、新たな気づきを大切にした発 想に生かす。
11.理想の管理者像を描き,実現しよう!! である。
各自が自信と誇りを持った活躍を認められ、次のステージに引き上げてくれる事への感謝(謙虚)と、持ち合わせている覚悟(勇気)と活躍の想像を、今研修での講義、演習で確認したうえでのワークショップ形式で産み出したまとめだ。皆、新たな舞台に向けての意気は高い。勿論不安を超えてであろう。
◆「管理職になりたくない症候群」これ本心ですか
昨今耳にする「管理職にはなりたくない症候群」があることも事実。その大方の理由は、苦労多くして実が薄くなるということだ。これは、上からは「ああしろ、こうしろと言われ、下からは突き上げられるサンドイッチみたいなもんだ。その上、残業代は対象にならず月収は減る。」とネガティブに捉えた論法である。だが、視点を変えてみよう。サンドイッチの美味しさは具によって決まる。具の美味しさは上のパンにも染み通り、下のパンにもおいしさを引き出していく。さらに権限を生かした裁量による創意工夫と育成で業務の効率、品質(クレーム含め)は向上する。働き方改革が話題になる時、「方」とは「方法=やり方」の改革を成す事である。託された管理職の新たな活躍の楽しみはそこにある。そして、新たな具を創り出す組織集団は「美味しいサンドイッチ」として新たな評判を得る。決して挟まれた窮屈さでなく上下に美味しさを醸し出していく発信基地である。当然管理職の活躍評価は待遇へのプラス条件だ。総収入は高まる事にもなろう。
こんな事もある。「子供が名刺をみて、父さん偉いんだね。とニコニコして話しかけてきた。」と新任管理職から言葉を掛けられました。とは先日出講先K社トップからの報告であった。「管理職になりたくない症候群」の本意はどこにあるのだろうか。管理職になれない人の言い訳に過ぎない等という見解は論外である。
◆学ぶ機会と、貴方だからできる、支援の働きかけ
過日、「管理職になって欲しい層のいまいちその気になり得てない現況ですのでぜひ研修を御願いします。」との相談に対応して実施したB社の研修があった。候補者研修とせず、上司力を楽しむ活躍向上アップと称しての支援指導である。「なりたい」でも不安、期待に応えられない能力不足の自分」等「かもしれない」のネガテイブに自身を診ているだけである。何事も「今は出来ない。しかし明日できないことはない。それは新たな学びをすることだ。新たな学びは新たな智恵を産む。その智恵は既に持ち合わせている潜在能力の新たな生かし方もある」と説く。
それは、本心はここまでの活躍に自意識の高さがある事も事実。だからこそ一抹の不安段階で「やります」の決断し、上手くいかなった時のプライドの崩しが怖い。だからこそ、「できそう」←「貴方だからできる」「私がいつでも支援する」との然るべき学びの機会と、太鼓判を押す働きかけが肝腎なのだ。B社の研修後、管理職を数人に発令した。もがきながらも元気に活躍している現在でもある。
管理職は悲観的活躍の舞台では決してない。やればできる人であるから選ばれるのである。なりたい人が必ずしもなれる舞台でない。選ぶ方にも、それだけの責任を背負う覚悟がある事も現実ある。
◆高次元の欲求は自己実現、その大きさは職責が条件
また、若手社員には上昇志向が薄いという。そうでもなかろう。「組織を通じて何かしたいという条件は、権限を持つこと。権限とは決定権もその一つ。その為には職責を高める事、それは上に立つ事である」と説く、入社の初心はそんな活躍ぶりを描いているのだから。本心は「思い切ってやりたい、好きなようにやりたい、個性を出したい」こんな潜在的実現欲求を持ち合わせている。と研修現場での掴みだ。勿論実際の上司による影響力によって否応なしに変化する事も現実だ。
いずれにしても高次元の欲求であり、この自己実現の欲求は誰しもある。その欲求実現の大きさは、得ている権限によって決められているのが組織活動だ。自己が選び続けている舞台(企業、官公庁、団体、集団)だからこそ、自ら機会を確保し、自己実現の働きがいを享受している。そこには、プラス思考に基づく活躍を楽しむ。 楽しみは更なる成長を促進し、活躍パワーとして関わる人の協働温度を高めて行くことが実際だ。
◆上に立つ人(管理職)の楽しみ方と18のパワー
それでは改めて管理職の楽しみ方について確認してみよう。上に立つ人の18の楽しみ方と醸し出すパワーとして提起してみる。前書の発表内容と整合する事である。
①相手の心にプラス波動で灯火をともす楽しみ方 =元気力のオーラ
②上に立つ人としての実践力で感化教育ができる楽しみ =示範力
③当たり前の事を徹底して、安心・信用の強さを育成する楽しみ =活力風土力
④ノリのある好感集団で営業力を高める楽しみ
=顧客啓蒙力
⑤一期一会の心で今出来る事の最高実践する楽しみ =即行力
⑥打つ手無限の智恵で新、初、独自の事を創造する楽しみ =智恵力
⑦常に一番、一流のオンリーワンで関わる相手満足を創造する楽しみ=競争力
⑧自他の力を活かし、組織力を最大に活かす活躍を楽しむ =リーダーシップ
⑨部下がハリのある主人公意識でやりがいを生む楽しみ =部下目標達成支援力
⑩報連相をタテ・ヨコ・ナナメに相互に交わす風通しを良くする楽しみ=意思創通力
⑪異質人間が互いに心を通わす楽しみ =対人関係力
⑫スピード対応に向けて協力を得るための折衝を楽しむ =折衝力
⑬IT時代を組織全体で活用する楽しみ =IT機器活用力
⑭部下個人、職場集団の能力を向上させる楽しみ =教育力
⑮うづき→気づきの感度の良さで事前トラブル(人・事)解決を楽しむ=課題未然解決力
⑯カプセル人間(自分の経験則枠の固まり)から脱皮して器を大きくする楽しみ=改革力⑰逆境こそ前向きに個人、集団が成長できる機会として楽しむ =成長力
⑱たった1回の人生、活躍を通じてより心豊かに生きる楽しみ =生きがい創造力
ということである。18のこだわりは、1は人(自分の潜在能力)・8(八)末広がりに顕在化できる楽しみの拡張である。 舞台を一段上がることにより、出席する会議・場が新たになる。関わる人の特性が変わる。寄ってく人も変わる。それは専門力・社会性・人徳等の一段高い魅力である。人は人中で磨かれる。「役割は人を造る」言い得た言葉である。
転籍・就任・新任のご連絡、ご挨拶をいただく昨今である。ここまでの活躍実績に誇りを持ちつつも、破る勇気で脱皮し、新たな活躍の年輪をお造りくださいとエールを送る。「貴方が○○だから」「貴方が○○になってくれたから」「お陰で更に良くなりました」とは、任を受命した時に心した自分の活躍像だ。それは人生100年時代、当社(所)で今だからこそ残せる活躍の足跡である。それは自分史であり、企業の歴史の一コマである。そして、部下の活躍の楽しみ、働きがいを創造する働きかけである。まさに生涯にわたって「あの時の○○さんのお陰です」と感謝される財産でもある。変化の時だからこそ絶好の機会として成せる楽しみである。
FIFAワールドカップでの日本チームの活躍ぶりに興奮し、その西野監督の采配ぶりに学ぶ事も多い。受けた責任の成すべき目標に最善の戦術を施す事の決断、腹の座りには凄みすら感じざるを得ない。
企業、行政、諸団体でも上に立つ人の見識の豊かさと、最善策の発想と、執着した目的達成で多くの人に喜びを提供する事については変わりはあるまい。
今回、その一段高い管理職の舞台に上がる、そして楽しみ方について記してきた。上がる決断と今後の活躍のヒント、あるいは日常の実践ぶりの確認の一助になれば幸いである。
〇〇髭講師の最近の出講は〇〇
●農業団体管理者候補者研修
全国組合で活躍する中堅職員。厳しい組織活動で次世代に向けて選ばれ、期待される活躍の確認。活躍実践の組織力の活用、リーダーシップの実践のコミュニケーションスキル、若手職員に向けてのモチベーション等を学び合う。
演習、交流を組み入れ今後のブレーンの出会いも仕掛けた。さすが選ばれた職員、自己の考えを持つと共に、他の説を柔軟に入れ込んでいく姿勢が良い。小生が出講した組合職員もあり親和感が心地よい。
●中堅メーカーの中堅社員セミナー
3年から9年の勤続社員対象。第一線の核たる立場での意識、役割、活躍の楽しみ、任 された仕事のリーダーとしての協力関係づくり、説明力のスキルアップ、自分磨きの実践法について演習とワークショップを組み入れ参画型研修の実施。研修が進むにつれて取り組み姿勢の積極性が深まりが面白い。12人の受講者で例年の定番セミナー。
●大手製油所構内企業新人・中途採用社員研修
長年担当してきた研修。トップ幹部との打ち合わせで今年度のキーワードを確認して実施する。新人、中途採用者8人。さすが圧倒的挨拶を徹底している企業であり、きちんとした言動は良い。年齢、職歴、学歴も様々である事が互いに影響し合って良き学びの機会となっている。友好なる仲間ができ,キャリを生かした活躍の楽しみを各自なりに心に期しての締めである。それは,トップ幹部の講話を軸に,今後の活躍に向けて、今研修で掴んだ実践の決意、そのために会社上役への依頼事項を発表、トップ幹部が答を示し,助言をなしたことである。終了後の恒例の懇親会食はより、企業への好感度を高める。「社員の成長が企業の成長」当社の人材育成の基本である。
●行政中堅技能員研修
毎年担当する市役所研修。入職してから昇級機会を期に,更なる活躍の楽しみ方をどうするかを学び合う。「住民サービスの更なる向上」を研修テーマとして,世の中。住民の変化に対応してキャリを生かした活躍の有り様を確認。接遇の基本の確認、改善,チームワーク、対人関係、コミュニケーションの実践スキルを内容として進める。第一線の核の立場で活躍する受講者だけあって,実践の誇りある言動は見事。互いに活躍の情報交換では熱が帯びる。終了したときの互いの快話、小生との挨拶は晴れやかだ。
●話力スキルアップ実践セミナー・・・毎月1回スピーチ演習による学習
●小集団活動の支援指導・・・3月スタートのメーカー。改善活動に入りました
*各社,各所様の人材育成の年間計画をの実施に際して、ご相談に応じる事を第一歩として支援(研修企画・講師)しております。気軽にこのメールでお声がけ下さい。
(平成30年7月 研修・講演鬚講師 澤田 良雄提供)
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