◆ 花見船は話しの満開、なぜ・・
桜花の楽しみを今年も隅田川の天ぷら船で楽しんだ。19年続いている学んだ仲間の絆船である。それは、20年前に洋上研修船の受講者(小生主任講師担当)で以後毎年同期会と称しての催しだ。花見船内は32人が交わす話しの花で満開だ。皆、寄り合う話しのやりとりが楽しみだからである。そこには発信する人、受容する人が互いに楽しく絡み合った訊く、話す、聴くのコミュニケーションが成り立っている。多分、日頃の生活ぶりや現役での活躍ぶりを互いに気に掛け合っているからこそ、訊き、聴き、「良かった」「こうしてみたら良いかも」との安心と、相互支援が自然に為されているのであろう。小生にとっても楽しみであり、相談事への対応も叉嬉しい。まさに寄ってくるコミュニケーションと評して良いだろう。それは、互いに信頼し合える認め合った対人関係がベースとなり、話したい訊きたい、聴きたい、役立ちたいとの楽しみの機会であるからだ。
職場での上下のコミュニケーションも同様である。特に、上長のコミュニケーションは部下からの寄ってくるコミュニケーション無くして4現主義に(現物、現場、現実、現人(当人)、に立脚した正しい判断による意思決定はできない。つまり、報連相が、必要な事を、必要なときに
、必要な人からなされなければならない事は周知の通りである。しかしながら「報告がない」「相談に来いと言っても相談に来ないと」と部下のふがいなさとして愚痴る上司がいる事も事実。そこには寄ってくるコミュニケーションが無いと言うことだが、読者諸氏はどうであろうか。
◆新任上司は聴ける力を磨こう
ここのところ数回担当した新任管理者研修では、その事に着目して指導した。その極意は「聴く」コミュニケーションである。ということだ。なぜかは、若手研修での部下の相談事の一例を紹介しよう。「先生、私は、今の上司を信頼できません」「なぜ?ですか」「ある時、前任者が異動し自分が指示を受けた。3日間かかっていたとのことだから、何とかもう少し早く仕上げようと(前任者とのライバル感)頑張った。」「できたの?」「ハイ、勇んで報告に行った」「褒められたね」「いや、上司は自分の仕事に夢中で「うん、うん」と空返事、聴いてないのでは思い、ちょっと止めましたら、やにわに顔を上げ「何だっけもう一度いえ」「ひどいな、どうしたの」「そりゃないんじゃないですか、思わずかっとなって仕上げた資料を机に叩きつけて退座しました。どう思います」とのことだ。
研修の場で受講者(管理者)に訊いてみた。「最近の若いやつはすぐ切れるから困る」との回答の人がいたら、すぐ自己改善せよとの指導が小生だ。なぜなら、事の発生に反省無く、すぐ相手の攻め言葉を「流行語的一般論」を都合良く発するずるさだからである。自分の部下は若い人はでなく個人である。ならば、その部下の特性に即した対応をしなければならない。なのに「報告には来るな、俺は忙しいからまともに聴かないよ」との対応で、きれる部下、報告に来ない部下、こんなレッテル貼る事が許されるのだろうか。読者諸氏はどう思いますか。相手を変えたければ自分が変わる。小生の変わらぬ提言だ。
どう変える。寄ってくるコミュニケーションの最たる事は報告である。「報告することの楽しみをどう創っているかがその極意である。部下の気持ちを掴めば当然「褒められる、認められる」との期待がある。ならば、頭書に記してきた聴く、訊く事である。そこから得た本人だからこその努力、成果、を評価し、褒めと
更なる成長のための指導を施す事が報告を受容する上役の役割である。
具体的実践は何をどうする。それは次の聴き方を為すことだ。
●反応を示す=うなづき、相づち、褒め、労いの一言
●内容を正しく理解する
=部下のレベルに応じた事の程度を診る、思い込み、前提 条件は勝手に着けての聞き方は御法度
●気持ちをくみ取りながら聴く=何故その事をいっているのかを関知する
●以前と繋げて聴く=点から線で聴き取る。そこには新たな努力、成果が読める
●何を認めて欲しいかの欲求を察知する
=考え方、実践法、技術、自己啓発とのキ ーワードに 着目し、報告内容に応じて、「ここは良くやった」
「良い着目、考えだ」「腕が上がった」「良い勉強した」「ごくろうさま」「さすがだ」・・の言葉を掛ける事
●指導点を見いだす
=不備、未熟、更なる進歩法などに着目し、「こうするとさらに 良くなった、良くなる」とその具体策を提案
する。必ず上司の示唆は部下自身の反 省となり、上役への評価が高まるはずだ。
●不明な点は訊ねたり、確認する=正しい理解が次の手を打つ前提
以上である。従って、目線を合わせない、外す、仕事をしながら聞く、無表情で聞く、うなづき無し、相づち無しでの聞き方はない。ましてや、話しの遮り、早とちりの聞き方では不快感をを誘う。「聴く施し」と、的確な反応は部下の働きがいを増幅し、部下がさらに寄っていくコミュニケーションを促進させる。部下を愛するというなら愛の漢字が示す意味合いを今一度確認してみると楽しい。心が中心に来て上下で包む組み合わせが受けるである。即ち傾聴は愛なりということである。
◆相談は信頼される人なりそれは聴ける人
少し深めてみよう。以前「パンドル箱」(占い)を主宰しているカルマ研究家であり、家庭問題研究家のI氏と会談した。国内外にフアンを持ち電話相談での救世主的存在である。その極意の一端をお聞きすると、「悩める相手に対して最も大切なことは聴いてあげること、そして褒める事」だと解答された。時には1時間でも、2時間でも半日でも聴き続ける事もあるという。その前提は、心と心の関係がこの人なら安心、と強い信頼の絆にあるとの事だ。それでなければ相談者の悩みの源にたどり着けないとのことだ。源を掴んだならば、どう自分を変えていったら良いか示唆や導きを施す事である。そうでなければ迷いのステージの辺を回り続ける事に陥ってしまうのだという。的確な源の掴みと適切な示唆が光を自ら見いだしていくとのことだ。「聴く」事の奥行きの深さを学ばせていただいた機会でもあった。それは単なる聴き方のスキルではなく、「信頼される人」かの問が先だとの学びであった。昨今、メンタル不全、鬱病の話題が多いが、この源はどうも聴いてあげられない上役自身の不徳にあるようだ。ということは、寄ってくる報連相の局地は相談に来ることである。ならば相談に来ないとの嘆きは「聴けない」「信頼されてない」人との同意語であろう。
新任上司の、期待に応えようとのと力みすぎてのコミュニケーションは困りもの。なぜなら出すことに急ぎ、受けるゆとりのなさとなるからだ。つまり、聴けない、すぐ指示説法に走る独りよがりの一生懸命さに陥るからである。新任一ヶ月いかがであろうか。
◆新人研修で、報連相が肝心と指導しているが・・・
時期柄、新人研修を担当する。そこで新人には「報告をせよ。それは活躍ぶりを正しく理解していただく機会なり」と指導している。良く出される「上司は、自分のがんばりを知ってない」との声に先手を掛けた指導である。報告することにより活躍ぶりを理解していただく、そして善し悪しの評価により褒めによるより自信の高めと、アドバイスによる更なる進歩のヒントをいただけるからだと断言している。新人が報告を実践しても「聴けない上司」であれば、どうなるか察しのごとくである。
「寄ってきてくれる事は嬉しいこと」である。そこには存在間があり、信頼される人物的影響力もあると認められているからだ。
今春も 寄り添う20年来の仲間との花見船は、訊き、聴き、話す事の喜びで、嬉しく楽しかった。来年も九州から、広島、静岡、神奈川、栃木、群馬、茨城、千葉、都内から駆けつけ、寄り合う信頼を互いに持ち合うであろう。職場のコミュニケーションもこうありたいものだ。勿論、ひとときの集団と、恒常的集団の違いはあることは承知のしてのことであるが・・・。
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