2月都内ホテルでの出版祝賀パーテイーに出席した。300人、北は北海道から南は沖縄からの集まりだ。発起人80人、ゲストスピーカーいずれも名の知られた経営者、大学学長、評論家、歌舞伎役者、相撲部屋親方、服飾デザイナー・・の顔ぶれだ。まさにこの種のイベントでは異例である。とはS大学総長の祝辞である。著者はT氏、著書は「一流が大切にしている 人付き合いの流儀」である。氏は宝くじで当たった100万円を資金として人脈づくりの組織を立ち上げて40年。日本一の人脈を築き挙げた人と評される。内容はきっかけを作り、距離を縮め、関係を維持する。たとえ、実績、地位、経験がなくても成功する人間交際術と称して著した実践書である。
小生との縁は、30年となる。氏の開催セミナー講師として招かれて何度か協力した事が出会いであり縁となった。時には発行図書の共著もさせていただいた。T氏を表して「磁石と同じ、それも吸い付いた人に人が吸い付く磁力」だという。長年のお付き合いで観ている1人としても言い得ている言葉である。まさに縁作りの達人である。
◆ビジネス力を高め、嬉しさも味わう
「縁」をつくり生かす、その事は、ビジネス力を高める上で不可欠である。さらに嬉しさを味合わせてくれる基でもある。体験例をいくつか挙げてみよう。
先年、N県経済団体主催セミナーに出講した際、控え室で「先生久しぶりです。社長、専務からよろしくとのことです。これ・・」と言って、手みやげを頂いた。思わず立ち上がり弾む心で握手。N社3人とは7年ぶりだ。出版を主とした若き会社の勢いにトップ陣と3年ほど人材育成に尽力した。初期目標を一区切りとして、又の機会をと交流を続けてきたが、今セミナーの情報を得て、小生が来るならと受講と訪問挨拶を考えたとのことだ。即座に専務に電話入れ謝念を述べた。前日は県内大手部品メーカーA社で25年前研修時の担当部門3人と会食。ここ数年の出講機会のお引立てに感謝しての事である。また、F県大手電子部品メーカー関連企業部長から21年ぶりのお声掛けで3年間研修実施。新人が商工会議所主催セミナーで先生にお会いしたそうで・。と当時専務、現社長から15年ぶりに連絡頂き研修したB社、F県経済団体でのセミナーを受講、8年経ちましたが当社の研修頼みますとのお声掛けでここ二年間研修中の銘菓S社。先日受講したセミナーで名刺交換しました。是非当社でもお願いしますと社内研修実施のA社・C社・N社・S社・・・。勿論、初出講のご縁で長年お引き立て頂いている企業も多い。
そういえば、洋上研修船受講者(小生講師)による隅田川桜観覧同窓船も18回目となった。全国からの参加だ。ご縁に思いを馳せることは嬉しく心豊かとなる。
周知の通り「小才は縁に出会いて、縁に気づかず、中才は縁に気づいて縁を生かさず、大才は袖すり合った縁をも生かす」という言葉もある。人は出会い、関わり合い、支え合いの時がある。そこでどれだけの施し(専門的、人間的)が出来るか、そしてできた縁を、生涯の相互支援のパートナー的お付き合いとして楽しめるかが大切。肝心なことはそのための実践をどうするかである。
◆実践の累積が必要と解っているがさて・・
T氏著書に学ばせていただくと●相手に喜んで貰うことを施す事、喜んで貰うためには、自分が最もして欲しいことを相手にすること●とにかく名前を覚えて貰う、それは何回も工夫した名刺で印象づける●プレゼントはストーリー付けが必要。●誕生日(本人・ご家族)祝いはいつまでも喜ばれる●お子様が欲しいものを、親の友人としてプレゼントする●お迎えは、列車出口で迎え、お見送りは列車乗車口まで、重ねるお見送りが決め手●本業以外に得意な分野を持つ(スポーツ、芸、専門学、研究・・)●塾、学習会、諸団体などには参加継続する●お役は引き受ける。その施しが生きる●自筆ハガキを必ず書くこと 等々、
その実践力の凄さに何故かドキドキ感が湧く。なぜなら、相手が違えども小生の考え、実践に通じることもあるからだ。読者諸氏はいかがであろうか。
さて、小生の実践は「葉書道」おかげさまの感謝のお届けである。お世話になった方にすぐお礼の手書き葉書を書く。名刺交換した方にも書く。小生が呼びかけたセミナー受講者に書く。セミナー参加に派遣してくれた社長に書く。この実践。勿論お会いできた喜び、お世話になった感謝を表してである。ハガキは名刺同様、似顔絵入りであることも紹介させていただく。
以後、小生筆の拙文のご送信や、情報のご提供やらを随時施させていただく。読後の感想メールが小生を育てる。ご無沙汰続きでも年賀状には必ず3行程度の自筆短文を書くことは怠らない。この実践は「相手から切れた縁は回復できるが、こちらから切ったら回復できない、たとえ細い糸でも繋ぐ」事を肝に銘じているからである。
◆持ちつ持たれつ、支援交流の施しの実践
それに「相互の支援」である。時には、小生の抱える課題にご意見、情報を頂くことを依頼する。早速返信いただけることがありがたい。まさに人脈のインデックスの豊富さは、仕事の質を高め、スピード化ができる。「頑張っています」といっても自能力では限界がある。この時代、独りよがりのがんばりの美化はいかがな事かと説いている。自身の弱みは人の力を寄せる事でカバーができるからである。
勿論こちらからの「縁作りの施し」があってのことだ。先日「受注できました」と小規模メーカーI社長、「見積もりを出せました」と士業S所長からの報告があった。いずれも30年間関わってきた地元経営者のモーニングセミナー仲間であり、新たな縁組みづくりの施しである。縁は互いに生かし合い、発展し合える楽しみがある。
申しあげておくが、縁が生かせるとはこちらの利ばかりを求めての言動は御法度である。時折、打算的関わりに閉口することがあるが「商機の切れ目が、縁の切れ目」では持論の枠外である。大事な事は事前よりも、「事後に心を傾けよう」がその本意である。案外、頼む時は熱心だが、それが成された後は軽視する輩がいることも事実。時が経って、多少の立場になると、種を蒔いていてくれた人の恩を忘れる成り上がり人格では、折角の縁も切られていく。「井戸を掘ってくれた人を忘れるな」深謝の念での訪問や墓参をさせていただく継続の実践である。
企業は人なり。トップ幹部の人脈の豊かさは、企業の新たな独自性を生み出し、その実現に向けての発想の多面性は質とスピードを高める。社員も同様。その対応は、自分と異なった特性を有する人との交流が生きる。今や縁を生かしての人脈インデックスを増やす時であり、そのための機会を社内外に意図的に創る事である。
小生は、人材育成の実践機会がその一役になると確信し、お役立てを楽しんでいる今日である。
出版パーテイーの参加を機に縁をつくり、生かす楽しみを再考しての一筆とする。
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