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 今月は安全月間です。各社で催しも多いことでしょう。先日安全大会で講演いたしました。日常の不精なきコミュニケーションが、絶対安全に近づく一歩であることを提案いたしました。終えて次のような声が届きました。
 ①当たり前のようで、できていない現実を鋭く指摘された思いであった。
 ②「わかっているだろう、らしい、ようだ」の勝手な思いこみが現実には多い。その事が、 思わぬ事態を起こしかねない要因となってたかも・・改めて反省の時だった。
 ③例年と違う切り口での話は新鮮味があった。他社事例、会場で拾った話題の取り込みなど、安全に関する事以外でも共通であると感じた。
 
 ④
確かに仲間との心の通わせ、仕事の共通理解は、不快感もなく、不安もない。だから仕事へ集中できる。これは不安全行為を防止できる。
 ⑤「普通のことが普通にできる。これ本物なり」の言葉に、「忙しかったからつい・・」「努力してます」と言いがちな自分に、まだ本物になってないなと活を入れた。

等々の感想を頂いた。現場で活躍する人も多く、良い支援ができたと小生の喜びであった。講演内容を、下記に紹介いたしますが、7/6に生産性新聞に寄稿した内容に基づいています。 

「良好なコミュニケーションが強い絆の安全集団を創る」

 7月は全国安全月間である。「絶対安全」「圧倒的安全」「本日安全」等々のポスターが小生の出講先企業でも目につく。先般出講したD社の今年度のスローガンは「一人の油断が みんなの危機に するな させるな 危険作業」である。これは、社員の県応募で選ばれた作品を活用したとの事だ。なるほど、その通りと納得がいく。それは「今できることの最高実践」あのときにきちんとやっておけばよかったのに、との悔いは取り返しがきかない。「凡事徹底、普通のことが普通にできるこれ本物」と説く小生だからである。ちなみに出講先大手N製鐵所では、ABC作戦と称してA=当たり前のことを、B=馬鹿にしないで、C=ちゃんとやる、の完全実践を促進させている。あれだけの企業でも、とその事の重要性が伺える。

 
さて、D社は、巨大な水道の蛇口のモニュメントで知られる近隣で名をはせている総合設備企業である。協力企業を含めての安全大会。さすが推進担当者の見識も豊かであり、会場での参加者の挨拶も良い。聴き方にも勢いがある。遅れてきた人への気配りも社員、協力会社問わず見事である。

 この種の催しでは、安全作業、管理、取り組みに類した話は多いが、小生の専門分野であるコミュニケーションでの切り口での講演内容とした。「絆」とは繋がり。仕事集団では、関わる人の心の繋がり、仕事の繋がり、情報の繋がりががっちり組みあった状態形成が常態化できれば、共に安心、信頼の総合力を高めることとなる。そこには、コミュ二ケーションがどれだけ日常化され、習慣化されているかが問われる。例えば「わかっているだろう、らしい、ようだ。」の消極的不精や、「わかっているはずだ、べきだ、もんだ」との高圧的不精による「あのときにちゃんといっておけば良かった」ましてや、「忙しかったからつい・・」の懺悔は取り返しのつかない事態を引き起こすと考えたからである。

 
そこで、次の3つのコミュ二ケーションが安全を確保する仕事集団の絆を創ると提言した。まず
 
 
①関わる人同士の心の交流である。そこには「一言のコミュニケーション」があり、その実践は「挨拶言葉の飛び交い」である。
具体的には

    ◆日頃の心の通わせが円滑な業務推進を約束する(相互に名を呼び合う)
 
  ◆相互にねぎらい(お陰様で)、感謝(ありがとう)の一言のプレゼント交換
  
◆挨拶は心と心を繋ぐ金の鎖なり、笑顔は人と人との心の架け橋

 
例えば、精密モーター製造のO技研では、年初から改めて「オアシス運動」を展開中。ご存知の通り、オ=おはよう、ア=ありがとう、シ=親切・失礼します、ス=すみません(が)。多企業で以前から取り入れてきた運動だが「今だからこそ、敢えて原点に返る」と社長の弁。
 
また、大手製油所設備管理C社では、AAA活動(トリプルA)を展開中。その意味はA圧倒的、A挨拶で、A安全確保である。本日安全、安全は最高品質の証なりが社長の考えである。


 
関わる人が気持ちよく挨拶を交わし合う好感関係のできた集団に、「あいつは」「こいつは」のいらぬストレスはない。心の通った仲間だから互いに支え合いもある。

 
次に、
 
②事柄の交流である。それは「対話のコミュニケーション」である。その実践は報連相であり、その機会を生かした喜びの創造と指導、そして得た事柄を生かした情報の発信と予知による対応である。具体的には

  
◆互いの知る、知らせる実践力は風通しの良い仕事集団を創る。
    ◆例えヒヤリハットでも事実データーとして共有化し、先手の危機管理に生かす
     
 ハインリッヒの法則 1(重傷害).29(軽傷害).300(無傷害事故)は周知の如し。
  
◆肝腎なことはリーダーの「聴く力」「適切な褒め、ねぎらい、指導」が寄ってくるコミュニケーションとなる。報連相は一方通行でない。報連相を楽しませる愛情が必要。それが、喜びと、次に向けたモチベーションの施しであり、不安と迷いには、安心感を持たせる指導のチャンス。

  例え、対面の機会が得られなくともIT機器を生かせば、スピードと一斉周知は可能。見える化も容易にでき、得た情報に対しての書き込みで双方のコミュニケーションはできる。

 そして、
 
③事(仕事)の交流。「技のコミュニケーション」である。業務は設計に基づき、工程表が作成され、各パートを職人の技によって進行する。そのプロセスの繋がりを敢えてこう評してみた。その実践は技と心の連携でありひと言でいえば「相褒めの繋ぎ」である。具体的には

   
◆互いに立ち位置(現場代理人、リーダー、遂行者)でのリーダーシップ、パートナーシップが信用信頼関係を深め、グループとしての協働(力を重ね合う)力を高める。それは関わる人の心と技の絆なり。
   
◆前工程、後工程の相褒めの連携で、心の通った最高技術の総合力が生きる。
   
◆お客様からの問いかけに、仲間の心と技の紹介と現況の適切な説明力は、お客様ができあがっていく楽しみと、完成後の満足と誇りを創る(喜び・安心・信頼、自慢) ということである。

   
例えば、本格木造建築S工務店では、下職協力会の申し合わせ事項として、お客様に対して挨拶、前工程担当職の仕上がりを褒める相褒めを実施、お客様に親しめる現場を実現。お客様からの口コミでの顧客拡大へと繋がった。職人は営業マン、技術はお客様によって磨かれる(全く同じ作業はない、その都度新たな知恵と技術が求められる。)との考えからである。

 
以上である。どのこともわかっている、やればできることである。だから軽視する、うっかりする、忙しかったからの言い訳ですまそうとする。しかし、この3つのコミュニケーションが、不精されているとすれば思わぬ事態を引き起こさないとも限らない。N製鐵所で55才のベテラン社員が、ケガしない、させない、ましてや部下の親から頂いた大事な身体に傷を付けることなど断じて許せない。と自分に言い聞かせてここまで来たという。ベテラン社員のこれが俺の誇りだとの言葉は迫力がある。

 
と同時に、企業グループのみならずお客様や現場周辺の地域の方々、関係団体との関わり合いで、このコミュニケーションの不精なく、最適に施されていくことが、企業グループのブランドイメージをたかめることはいうまでもない。

 いずれにしても
必要な事を、必要な時に、必要な人に、必要な方法で実践される双方の意思疎通の最高実践と、最善、最適な技の施しが「絶対的安全、圧倒的安全、本日安全」のスローガンの実現に近づくのである。

D社グループの「一人の油断が みんなの危機に するな させるな 危険作業」のスローガンの具体的実践も同様であろう。             ご安全に。

  (平成24年7月14日 澤田記)

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